【漫画レビュー】『神様のバレー』|I(嫌がらせ)とD(騙し)を駆使した性悪IDバレーとは⁉︎

『神様のバレー』看板バナー

数ある漫画ジャンルの中でも、友情・努力・勝利といったような青春要素が強い作品が多いのがスポーツ漫画。

不断の努力を重ね、夢に向かって一直線に進み続ける主人公の姿にグッとくる方も多いのではないでしょうか。

はたまた、自分にもこんな青春時代があったなぁと部活動に励んだ懐かしの学生時代を思い出す方もいるかもしれませんね。

そんな皆さんのために今回ご紹介するのは、バレーボールを主題とした作品『神様のバレー』

美しい友情、熱い青春、そんな物は一切ありません。輝かしい青春なんて物は全く描かれず、嫌がらせや騙し討ちなどなんでもありのバレーボールが描かれます。

それなのに、アッと驚く戦術に騙されてるのがクセになってしまう作品。

そんな、いい意味であなたの期待を裏切ってくれる頭脳戦バレー漫画『神様のバレー』の魅力について徹底的に解説していきます!

 

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それでは早速『神様のバレー』を紹介していきます!

 

『神様のバレー』渡辺ツルヤ / 西崎泰正(芳文社) 基本情報

まず最初に『神様のバレー』の基本的な情報について説明していきます!

 

『神様のバレー』あらすじ

『神様のバレー』サムネイル

あらすじ
アナリスト…それは、相手チームを分析し、ベンチ外から監督に作戦を指示する“チームの黒幕”。阿月総一は実業団バレーボールチーム<日村化成ガンマンズ>のアナリスト。とあることを条件に、全日本男子バレーボール監督の座を約束される。それは、万年地区予選1回戦敗退の私立中学校男子バレー部に全国制覇させることだった!
引用:https://booklive.jp/product/index/title_id/266547/vol_no/001

当作品『神様のバレー』は、2012年から週刊漫画TIMES(芳文社)にて不定期で連載されている漫画です。

物語の主人公は、実業団Vリーグチームの日村化成ガンマンズのアナリストとして活動する阿月総一。日村化成会長から「万年一回戦負けのチームを全国優勝させれば全日本男子代表監督の椅子を用意する」と言われ、その取引に応じることにします。

そのチームというのが実は私立中学校の部活動であることを知った阿月は、文句を言いながらもチームを勝たせるために動いていくことに。アナリストとしての腕を活かして、対戦相手が思いも寄らないような戦略でチームを導いていきます。

よくあるスポ根モノや仲間との絆が描かれるタイプのスポーツ漫画とは違い、あらゆる手段を使って如何に相手を騙し勝利を掴み取るかという頭脳戦がメインのバレーボール漫画です!

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作者:渡辺ツルヤさん / 西崎泰正さんとは

『神様のバレー』は原作:渡辺ツルヤさん、作画:西崎泰正さんです。

『神様のバレー』作者
参照:https://www.cdc-de.ac.jp/newinfo/2015/08/post-587.html

原作担当の渡辺ツルヤさんは日本の漫画原作者。男性です。

当作品『神様のバレー』がデビュー作かつ代表作。

デザインの専門学校で漫画家志望の方向けに原作やシナリオ設定についてのトークイベントを行うなどの活動もされています。

『神様のバレー』作者2
参照:https://www.cdc-de.ac.jp/job/advice.html

作画担当の西崎泰正さんは岡山県出身の男性漫画家で、生まれつき骨が弱かったことからサラリーマンは無理だと考えて漫画家を目指したそうです。

当初はマエダフトシの名義で成人漫画を描いていましたが、2003年に『士魂の風』が漫画アクション(双葉社)にて短期連載されてからは現在の西崎泰正名義で活動されています。

漫画アクションにて発表された『カリスマ』(原作:新堂冬樹、構成:八潮路つとむ)で連載デビューを果たし、2011年からは週刊漫画TIMES(芳文社)にて『ハルカの陶』の連載がスタート。原作者のディスク・ふらいと共に2011年度の岡山芸術文化賞において功労賞を受賞しています。漫画サンデー(実業之日本社)で連載された『監禁探偵』(原作:我孫子武丸)は2013年に三浦貴大さんと夏菜さんのダブル主演で映画化もされました。

基本的に原作者ありきで作品を描かれている漫画家です。

 

『神様のバレー』の3つの魅力を徹底解説!

ここからは『神様のバレー』の特徴的な部分について、大きく3つに分けて解説していきます!

 

魅力①:主人公・阿月を筆頭に、個性的な登場人物が多い

阿月を始めとして、この作品の登場人物たちはキャラが非常に立っています。

 

まず始めに、主人公・阿月総一。

阿月総一
参照:https://m-uroko.com/kamisamanovalley/

阿月は元々実業団Vリーグチームの日村化成ガンマンズのアナリストでした。

ある日日村化成の会長から呼び出され、一つの提案をされます。

その内容がかなり壮大で、「万年一回戦負けの弱小チームを全国優勝させたら全日本男子監督の椅子を用意する」というものでした。

自信家な阿月はその提案に乗りますが、なんと弱小チームというのは幸大学園中学校のバレーボール部のことでした。

会長に騙されたと感じながらも、なんだかんだで引き受けることになります。

性格に難のある阿月
参照:https://m-uroko.com/kamisamanovalley/

阿月は彼岸不遜で傍若無人と、性格に難があります。

生徒たちには、自分をバレーの神と呼んで崇めろとか言い出すくらいです。かなりヤバい。

それでも実業団チームを2連覇させたアナリストとしての腕は本物で、チームをどんどん変えていき勝利を掴んでいくのです。

I(嫌がらせ)とD(騙し)をフル活用したIDバレーを掲げる阿月
参照:http://manga.blogo.jp/archives/13181778.html

そして彼が彼の掲げるバレー観も独特で、I(嫌がらせ)とD(騙し)をフル活用したIDバレーを掲げています。

彼の性格が前面に出ているこのIDバレーがチームに浸透していくにつれ、チームが強くなっていく展開が非常に面白いです。

 

次は、幸大学園中学校の監督・鷲野孝子

監督・鷲野孝子
参照:http://rikuto01.com/2019/08/24/%E3%80%90%E7%A5%9E%E6%A7%98%E3%81%AE%E3%83%90%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%80%91%E3%81%82%E3%82%89%E3%81%99%E3%81%98%E3%83%BB%E9%AD%85%E5%8A%9B%E3%82%92%E5%BE%B9%E5%BA%95%E8%A7%A3%E8%AA%AC%EF%BC%81%E5%BC%B1/

元は実業団の選手で、全日本入りも期待されていたほどの選手。

膝の怪我が原因で引退したのち、幸大学園中学校の監督に就任しています。

素直で真っ直ぐな性格でかなりのいい人で、「大切なのは気合と根性」というまさにスポ根を絵に描いたような人物。

熱血スポーツ漫画ならこういった人物がチームを引っ張っていくと思いますが、彼女は阿月に真っ向から否定されます。

まあ嫌がらせバレーを掲げる阿月からしたら、こんなに何も考えていない監督は論外でしょうね。笑

阿月が赴任した際には、レギュラー陣を率いた鷲野VS控え組を率いた阿月の試合が行われ、完敗した末に阿月の方針に従うようになりました。

ちょっと前時代的な考え方の鷲野が監督として阿月の隣にいることで、阿月のやり方が非常に映えて面白くなっているのです。

 

続いて、阿月と共にガンマンズのアナリストを務めていた木下勇紀

木下勇紀
参照:https://twitter.com/COMICFUZ/status/1195906930868473856/photo/3

中学生の頃に阿月に出会い感銘を受け、ガンマンズのアナリストになるまで追っかけてきた木下。阿月が幸大学園中学校のコーチになるときに、木下もついてくることになります。

対戦相手などの分析をしたり、実際に生徒に指導したりするなど、チームを陰から支えています。

データを重視するタイプであり、阿月の方針に最も理解のある人物。

阿月にこき使われすぎていて、ちょっと可哀想な人物でもあります。笑

 

他にも、阿月と同様で使える手段はなんでも使ってくる他中学の女監督だったり、阿月の考え方が浸透しまくっている幸大学園の選手たちだったり、物語を面白くしている登場人物たちがたくさんいます。

ここでは紹介しきれませんが、全員のキャラが立っていて非常に面白いです!

 

魅力②:阿月の戦術・戦略に驚きの連続

この作品の1番の見所と言っていいのが、阿月の戦略のネタバラシの瞬間です。

試合に勝つために様々な戦略をとるのですが、彼の真骨頂は嫌がらせと騙しうち。

この騙し討ちは緻密に計算され、様々な布石が打たれています。

そのタネが明かされたとき、全ての点が繋がって一つの線に。

そして相手が騙されたことに気付く瞬間がたまらなく気持ちいいのです。

嫌がらせと騙しうちの種明かし
参照:https://ameblo.jp/toraieisu/entry-11616115534.html

幸大学園の選手が落としたフォーメーション表を試合前に対戦相手に拾われてしまいます。

チームの作戦がバレているんですから、普通に考えたらかなりマズいですよね。

阿月総一の思惑通り
参照:https://ameblo.jp/toraieisu/entry-11616115534.html

ただ、これも阿月総一の思惑通り。

自分で掴んだ情報は他人からの情報より信用しやすいという人間の心理面を利用して、わざとフォーメーションを相手にバラして対策を練らせたのです。

布石を打つ選手たち
参照:https://twicomi.com/manga/COMICFUZ/1168033262926614528

選手も試合中、布石を打っています。

戦略に騙される瞬間

そしてコレです。

最も白熱している土壇場の場面で、フォーメーション表とは全く違うことをするのです。

対戦相手だけでなく、自分のチームの監督である鷲野も呆気にとられています。

会場全体が阿月の戦略に騙されるこの瞬間が最高に気持ちいいんです。

そしてこの悪魔のような阿月の顔。

ステキです。

 

他にも一つの試合を丸ごと別の試合のための餌にしたり、プライベートでのお酒の場でさえも罠であったりと、様々なところで策略を張り巡らせている阿月。

読んでいて騙されることを楽しむのも良し、阿月と同じ目線に立って騙した気持ち良さを感じるのも良し。とにかくスカッとする展開が最高です!

 

魅力③:考え方や心構えを学べる

この作品は頭脳戦が展開されていくため、バレーボールの戦術や戦略、そして人間の心理面などについても知ることができます。試合展開もきちんと描写されているため、読みやすいです。

そして戦術や戦略以上に、阿月の考え方や心構え知ることができるのがなかなか面白いです。

阿月は元々は実業団チームのアナリストとして活躍してきた人物。勝つということに関して大切な考え方を身に付け実行しています。

データを重視しすぎる木下に対して放った一言

データを重視しすぎる木下に対して放った一言。

データ上の数値はあくまで参考値であって、それを逆に利用することも大事だと。

これはバレーに限らずどのスポーツでも同じですが、プレーヤーは人間ですから当然心理戦も絡んできます。

阿月はこの人間の心理を利用しているからこそ、彼なりのIDバレーを遂行することができるのです。

阿月が控え組に言った言葉
参照:https://xn--kck4aa4nk081acvh.com/%E3%83%90%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%AB%E6%BC%AB%E7%94%BB%E3%81%BE%E3%81%A8%E3%82%81/

これは阿月が控え組に言った言葉。

限りある椅子は自分の手で他者から奪い取るものだ、と。

確かに、同じ仲間だからと遠慮していては自分もチームも強くはなれません。

チーム内で競争意識を持って奪い合うことで、個人そして全体のレベルが上がっていくのです。

当たり前のことかもしれませんが、この考え方って実際できない人の方が多いと思います。

見習いたい。

 

嫌がらせや騙しを軸とする彼の戦い方は教育という意味ではいいものではないかもしれませんが、勝利のためにあらゆる手段を駆使するということは非常に大切なこと。

目的から手段を逆算し実行する能力は、社会に出たら必須スキルですもんね。

漫画なので極端な部分も少なからずありますが、阿月の考え方の一端に触れるだけで自分自身の思考もちょっと新しいものになるかもしれませんよ!

 

『神様のバレー』の魅力を紹介!まとめ

『神様のバレー』看板バナー
参照:https://comic-fuz.com/series/1486

ここまで頭脳戦バレーボール漫画『神様のバレー』の面白さについてお届けしてきましたが、いかがでしたでしょうか。

勝利のためには嫌がらせや騙し討ちなどの汚い手段も積極的にとっていく主人公・阿月。

清々しいほどの彼のゲスさに、逆に気持ち良くなってしまいます。笑

そして戦略や心理などを駆使した頭を使った展開が非常に魅力的。相手が術中に嵌った瞬間の爽快感はたまりません。『ONE OUTS』や『GIANT KILLING』などの頭脳戦が好きな方には特にオススメしたい漫画です!

※『ONE OUTS』に関するレビュー記事はこちら👇

www.omaeha-warauna.com

※『GIANT KILLING』に関するレビュー記事はこちら👇

www.omaeha-warauna.com

ともあれ、友情や努力にフォーカスしたスポ根漫画とは違った面白さを感じることができる本作『神様のバレー』、気になった方は是非読んでみてくださいね!

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