【令和3年12月②週目】メディア編集部が注目する今週のおすすめ漫画!

毎週、本メディアの編集部がオススメする漫画をご紹介していきます。

令和3年(2021年)12月2週目は5冊をご紹介。

その中には、先日発表された宝島社『このマンガがすごい!』に選出されているタイトルも。

今後注目のマンガを中心にリストしていますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

令和3年12月②週目・編集おすすめ漫画

それでは早速、5冊分ご紹介していきます!

 

『まじめな会社員』冬野梅子(講談社)

自意識強めガールの生き地獄コメディ

『まじめな会社員』

あらすじ
コロナ禍における、新種の孤独と人生のたのしみを、「普通の人でいいのに!」で大論争を巻き起こした新人・冬野梅子が描き切る! 菊池あみ子、30歳。契約社員。彼氏は5年いない。いろんな生き方が提示される時代とはいえ、結婚せずにいる自分へ向けられる世間の厳しい目を、勝手に意識せずにはいられない。それでもコツコツと自分なりに築いてきた人間関係が、コロナで急に失われたら…!?

注目ポイント

人の機嫌を伺いながら、なるべくストレスのかからない生き方を心がけている独身女子・菊池あみ子。彼女は、周囲が期待する自分でいる方がラクで快適だと思っている反面、そんな自分にどこか虚しさを感じています。恋人いない歴は5年で、今後もできる予定は皆無…。あみ子は全くモテないのです。親からは帰省のたびにプレッシャーをかけられ、独身友達からも気を遣われる始末。彼女自身も自分のことをどこか諦めてしまっている、そんな主人公の生きづらさを描いている物語です。

本作の注目ポイントは何といっても、超高解像度で言語化された心理描写です。社会と調和すること、なるべく摩擦を生まないこと、周囲に馴染んで目立たないこと…それらを意識するあまり疲弊してしまう”自意識強めな人”の現実を、巧みな言葉で的確に表現しているその言語センスに脱帽。

『まじめな会社員』コマ

参照:『まじめな会社員』公式Twitter

自分をとことんまでに客観視して、あえて周囲が期待するコスパの良い役割に徹する彼女。物語は、そんな生きづらい彼女が同僚社員と仲良くなることで、少しずつ自分の理想?とする自分に近づいていく形で展開していきます。

そしてコロナ禍を描いているのも、本作の大きな特徴の一つです。少しずつ世界と繋がり始めたあみ子を襲うコロナ。全ての物事がストップし再び停滞した日々を送るあみ子。世間も同じように停滞していると思ったら、意外にも皆リスクを冒しながら好きなことをやっていて…。コロナ禍がもたらす精神的な孤独についても、抜群の言語化センスで繊細に描き出している傑作です。

 

『東京ヒゴロ』松本大洋(小学館)

編集者の静かにたぎる漫画愛について

『東京ヒゴロ』

あらすじ
人は漫画を生きるのか。大手出版社を早期退職した漫画編集者の塩澤。理想の漫画誌を作るため、自分が信じる漫画家たちを訪ね、執筆を依頼する。仕事か、表現か、それとも友情か。漫画を描く者、描かぬ者、描けぬ者、東京の空の下、それぞれの人生が交差する。松本大洋が初めて描く漫画家漫画、初めて語られる創作哲学。これを読まずに松本大洋を知ることはできない、必読の一冊。
参照:https://booklive.jp/product/index/title_id/20036539/vol_no/001

注目ポイント

担当していた雑誌が廃刊になったことから、出版社を退職をする決断をした漫画編集者の主人公・塩澤。漫画と決別することで自分を見つめ直そうとする塩澤ですが、結局は漫画を作りたいという自らの性には嘘をつけず、ふたたび漫画を作ることになります。それも、自分で自分の理想とする漫画雑誌を一から。そんな彼の内に秘めた漫画への愛を描く漫画家漫画です。

『東京ヒゴロ』バナー

参照:『東京ヒゴロ』公式サイト

静かなトーンで語られる物語全体の雰囲気が、より主人公・塩澤の漫画への情熱を際立たせており、その空気感や佇まいが本作の一番の魅力です。やはり何かに没頭して取り組む人間はかっこいいと、改めて彼の姿から実感させられます。そして編集者の彼と同じように苦悩する漫画家の姿もまた魅力的。漫画を作ること(ひいては物語を作ること)は、ここまで苦しく、ここまで麻薬的なのか…。生みの苦しみに喘ぎながらも、どうしてもその道を選んでしまう、理屈を越えた世界がそこにはあるのだろう。そう読者に思わせてくれる、渋くてかっこいい大人の物語です。

 

『矢野くんの普通の日々』田村結衣(講談社)

“ケガまみれ男子” という新たなジャンルの誕生

『矢野くんの普通の日々』

あらすじ
吉田さんは、人よりちょっと心配性なクラスの委員長。最近のもっぱらの心配事は、同じクラスになった矢野くんが、なぜか毎日大ケガをして学校にやってくること。ありとあらゆるケガをする矢野くんから、目が離せない!手当がしたくてたまらない!ケガまみれ男子と心配性女子による、日常系ラブコメディー!
参照:https://booklive.jp/product/index/title_id/1034557/vol_no/001

注目ポイント

日々あらゆる角度からのラブコメが生まれていますが、またしても新たなジャンルが誕生…それは「ケガまみれ男子」。主人公の清子は、同じクラスになった矢野くんが毎日傷だらけで学校に来ることが気になって仕方がない。当初はいじめやDVを疑いますが、実際はただただドジで不運だったことが判明します。あまたの災難を引き寄せるケガ男子・矢野くんを心配する清子には「守ってあげたい」という感情が芽生えはじめて…。これは母性本能か?それとも恋心なのか?

『矢野くんの普通の日々』コマ
引用:『矢野くんの普通の日々』公式Twitter

本作の斬新なところは、ケガばかり引き寄せてしまい落ち着いて弁当も食べられない矢野くんに、「普通の日常生活を送らせてあげたい」というモチベーションから清子たちが立ち上がるというコミカル展開。そして、清子たちが協力しようとしても全てが裏目に出て、余計に矢野くんがケガをしてしまうことに。さらに矢野くん自身も自分と一緒にいることで友達までケガに巻き込んでしまう…と特殊すぎるジレンマを抱えています。

「ケガまみれ男子」という破壊力抜群のキラーワードと、そんな彼を守りたい!と一生懸命になる女子の物語は、旧来の男子が女子を守るという男性優位の構造を脱している点においても好感度が高い作品です。『女の園の星』で話題の和山やまさんにも通ずる絵のタッチとセンスにも注目です。

 

『教室の片隅で青春がはじまる』谷口菜津子(KADOKAWA)

自分を好きになりたい気持ちは皆同じように持っている

『教室の片隅で青春がはじまる』

あらすじ

あの頃の私たちにとって“教室”は世界のすべてだった。

吉田まりもが主人公になれるのはいつだって一瞬だ。有名になりたいだけなのに、いつも空回りして、イタイ奴になってしまう。一方、宇宙人のネルは、地球で“〇〇〇がしたい”という夢があり……。でこぼこなふたりの夢は、どこへ向かう……?

他にも、オタクであることを隠している子。SNSで理想の自分を演じる子。自分が特別だと信じて疑わない子。イイ男とヤることで、自分の価値を確かめる子。

教室には、たくさんの“秘密”があって。隣にいるあの子のことだって、本当はわかっていなくて。大好きなあの子にだって、伝えられないことがあって。ほんの少し窮屈で、ほんの少し愛しい関係を描く、青春オムニバス・ストーリー。

参照:https://booklive.jp/product/index/title_id/20033989/vol_no/001

注目ポイント

ファンタジー要素の強いテイストかと思いきや、高校におけるスクールカーストの描写は共感性抜群でヒリヒリとするものばかり。自分はどこのカーストに属していたか、あの子が好きであの子が嫌いで、こんな悩みを抱えていたよな…。そんな風に過去の自分の境遇と重ね合わせながら読み進められる物語です。

本作のポイントは、あらゆるカーストに位置する人間の視点で描いているところ。よくある青春オムニバスといえばそうなのですが、全くカーストも考え方も違う人間たちのドラマが「それぞれが自分ではない別の誰かに憧れている」という共通項で繋がっている点が面白いんです。誰しもが自分にはないものに憧れてしまう思春期の不安定さを丹念に描いており、その過程で徐々に自分が持っているものに目を向けられるようになる展開も素敵です。

また、宇宙人のキャラクターがクラスにいるというファンタジー設定を作ることで、人種や思想の違う人を排除しようとしてしまう教室の無意識的な差別を分かりやすい形で提示しているところに新しさがあります。映像化するには工夫が必要ですが、ドラマでも見てみたい作品です。

 

『ひとりでしにたい』カレー沢薫/ドネリー美咲(講談社)

35歳で終活をはじめるヒューマンライフストーリー

『ひとりでしにたい』

あらすじ
いわゆるひとつのバリバリのキャリアウーマンで、優雅な独身生活、余裕の老後を謳歌していたかに見えた伯母がまさかの孤独死。黒いシミのような状態で発見された。その死にざまに衝撃を受けた山口鳴海(35歳・学芸員・独身)の人生は婚活から一転終活へ。死ぬのは怖い。だけど人は必ず死ぬ。ならば誰より堂々と、私は一人で死んでやる。一人でよりよく死ぬためには、よりよく生きるしかない。愛と死をひたむきに見つめるフォービューティフルヒューマンライフストーリーの決定版誕生!
参照:https://booklive.jp/product/index/title_id/726292/vol_no/001

注目ポイント

叔母の孤独死をきっかけに ”叔母のような最期を迎えたくない!”と思った35歳の独身女子・鳴海が「終活」を始める異色作。

まず鳴海が「終活」をはじめるに至った経緯として、結婚のリスク面が描かれるのですが、これが非常に納得させられるのです。当初、鳴海は孤独死を避けるために婚活をはじめようとするのですが、それを後輩社員の那須田に止められます。その理由は「結婚=安定ではない」というもの。相手が借金を作ったら?DV男だったら?子供が引きこもったら?そもそも男の方が平均寿命が短いので、結局結婚しても孤独死は避けられないのでは!?…など。今まで見落としていた価値観を次々と提示されます。

そしていざ「終活」をはじめる過程においても、鳴海はさまざまな問題について向き合うことになります。孤立しない親戚付き合い、親の介護問題、墓や葬式の現状把握、いざという時に頼れる行政の窓口のこと…などなど。それは読者自身も今後の人生を生きてゆく上で絶対に避けては通れない諸問題でもあり、読み進めながら身につまされることばかり。そして「 ”よく死ぬこと” について考えることは “よく生きること” に繋がる!という物語の全体に共通するメッセージ性もビシビシと感じます。

本作は、令和3年文化庁メディア芸術祭マンガ部門で優秀賞を受賞した超話題作。超高齢化社会に突入している現代の日本において「孤独死」はもはや人ごとではありません。そんな時代だからこそ、今後の人生を再構築するために今最も読むべき漫画の一つと言えるのではないでしょうか。

 

 

以上、12月2週目の編集部・注目マンガでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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