たけだ
「ミステリと言う勿れ」が話題の田村由美先生。同じ作者でも、雰囲気や内容は異なるものも多く、新たな魅力を発見することもあります。ぜひ田村由美先生の作品を堪能してみましょう。今回は、漫画家・田村由美先生の漫画を紹介します。
漫画家・田村由美とは
和歌山県出身の漫画家、田村由美は1983年別冊少女コミックでデビュー。「BASARA」にて第38回小学館漫画賞を受賞。その後も、「7SEEDS」で第52回小学館漫画賞少女向け部門、「ミステリと言う勿れ」で第67回小学館漫画賞一般向け部門を受賞、2013年には、和歌山県文化表彰・文化功労賞を受賞しています。
プロフィールはほとんど公開されておらず、私生活が見えない漫画家さんのひとりですが、猫2匹と暮らしており、その溺愛ぶりで漫画のキャラクターに反映させてしまうほどです。1983年のデビュー後、コンスタントに作品を世に出し続けています。
代表作「BASARA」は、2012年12月時点で累計発行部数は1500万部を記録。「7SEEDS」は2020年時点で650万部、「ミステリと言う勿れ」は2022年現在で1400万部を発行。天才漫画家の呼称で呼ばれ、大人気漫画家としての地位を築いています。
田村由美作品の特徴
田村由美の作品の特徴は、魅力のあるキャラクターたちの複雑な心理描写をそれぞれ描き分けていることです。また、どんなジャンルのマンガを描いても少女漫画として完結させています。
アクションやアドベンチャーものが主流と思いきや、ミステリーやサスペンス、ファンタジー、「龍太郎シリーズ」のような子供が主人公のほっこりするような漫画など、描くジャンルもさまざま。しかし、どれも秀逸な作品ばかりで、それぞれに見応えがあります。
作品の中で複数の主人公が出現し、それぞれの目線や立場でストーリーが展開して行くさまは目が離せません。最終回までにすべての伏線回収を行い、物語を完結させるストーリーテラーとしての手腕は見事で、まさに天才漫画家と言われる所以です。
田村由美先生のおすすめ作品（6作品）
ここからは、田村由美先生のおすすめの漫画6作品を紹介します。どれも大人気漫画ですので、タイトルだけ知っているという方も多いかもしれません。ぜひご一読ください。
おすすめ作品①『巴がゆく！』（1987）
遠い昔、源氏の雄・木曽義仲とともに戦場を疾駆した美しい女武者がいた。名を巴という…。そして今、「首都高の巴御前」と呼ばれる不良娘がいる。スタントマン養成所グリーン・シップの訓練生だ。だがグリーン・シップの実体は、東条財閥のスパイ養成所だった。愛する教官・氷室上総の冷酷な正体を知り、命がけで脱走した巴の前に2人の男が現われた。東条の隠し子・伊織、そしてもうひとりのカルイ男は「義仲」と名のった。待望の第1巻！！
参照：https://booklive.jp/product/index/title_id/183879/vol_no/001
元ヤクザの組長の娘で、運動神経抜群の17歳の少女「シュトコーの巴御前」王島巴が主人公。友人を事故で失い茫然自失になっていたところを、スタントマン養成所の上総にスカウトされます。
しかし、スタントマン養成所ではなく、実はテロリスト養成所だとわかり、巴は脱走。知り合った潜入捜査官の遺言を果たすべく、東條グループの隠し子、伊織を助けるために大活躍する少女の壮大なアクションストーリーです。
（小学館・別冊少女コミックにて連載、全8巻完結済み）
おすすめ作品②『BASARA』（1990）
高度な文明が20世紀末に滅びてしまい、日本は王の一族によって支配されるようになっていた。その後、国民は、暴君の圧政に苦しみ続けてきた。そして300年の時が過ぎた。山陽地方の白虎の村に双子の兄妹が生まれた。兄の方はタタラ、そして妹は更紗（さらさ）と名付けられた。兄のタタラは暴君の圧政から人民を救う“運命の子”と予言され、村人だけではなく、王族に反感を持つみんなの希望を託されていた。ところが、赤の王の軍勢に村を襲われて、タタラは殺されてしまう。妹の更紗は、タタラの死を隠すために自らタタラとなり赤の王への復讐のため、立ち上がった。その時から、つらく長い戦いの旅が始まり…。
参照：https://booklive.jp/product/index/title_id/182958/vol_no/001
暴君の支配する世の中に生まれた、運命の子ども「タタラ」。しかし、王家に謀反ありとして、王の4番目の息子「赤の王」に家族や村を滅ぼされてしまいます。兄の姿を借りて「タタラ」として生きていくと決意した15歳の少女更紗の冒険活劇です。
主人公は男の姿をした少女。その2面性により、荒々しい冒険の反面、切なく淡い恋心も同時に描かれます。また、主人公の周囲には魅力あふれるキャラクターが満載。切ない恋の話が一体どうなるのか、王国という巨大な敵に立ち向かうタタラ達の運命はどうなるのか、最終回まで目が離せない展開です。
（小学館・別冊少女コミックにて連載、全27巻完結済み）
おすすめ作品③『7SEEDS』（2001）
ごちそうを食べて自分の部屋で寝たはず…だが目覚めると、ナツは荒れ狂う海の上にいた。どうして自分がここにいるのかわからない。やがて流れ着いた無人島。生きるための過酷な冒険が始まった！！
参照：https://booklive.jp/product/index/title_id/205641/vol_no/001
天変地異により滅びた数百年後の日本を舞台として、7SEEDSプロジェクトにより、冷凍保存されて未来に送られた若者たちが主人公。春・夏A・夏B・秋・冬チームのメンバーが、崩壊した日本で生き残りをかけてサバイバルを行います。
5チームのそれぞれの動きや現状、各キャラクターの背景、心理描写を巧みに描いており、どの話もストーリーに欠かせない重要な一面をもつため、引き込まれます。複数の複雑な思いを抱える魅力的なキャラクター達を自在に操る、田村ワールドの真骨頂とも言える長編アドベンチャー作品です。
（小学館・別冊少女コミック、月刊フラワーズにて連載、全35巻完結済み）
おすすめ作品④『猫mix幻奇譚とらじ』（2006）
パ・ド・マリアーナ暦3332年、人々はねずみと戦い続けている。ねずみは村を襲い人を食う。中でも「魔法のねずみ」は動物たちを半人型に変えてしまい、変えられたそれはmix（ミックス）と呼ばれる。魔法のねずみに息子リオを連れ去られた勇者パイ・ヤンは、猫のmixである“とらじ”と共に捜索の旅に出るが…！？
参照：https://booklive.jp/product/index/title_id/183877/vol_no/001
人間の天敵であるねずみと戦う父親パイ・ヤンと猫mixとらじのファンタジーアドベンチャーです。ねずみに襲われて連れ去られた息子リオを取り戻すべく、さまざまな奇怪な事件を解決します。
行く先々で出会う魅力的なキャラクターや奇怪な現象がファンタジーらしく、不思議な世界観に溢れた作品です。作者の猫愛を感じる、とらじと銀次の表情やしぐさもかわいらしく、作品をより魅力的にしています。
（小学館・増刊flowersにて連載、既刊13巻連載中）
おすすめ作品⑤『イロメン～十人十色～』（2012）
【個性ある社員たちの“色”をテーマにした会話劇！】十色商事に勤める青木と緑川は、なによりも「色」を意識する男たち。カラフルな人生を送るために、ある3人を待ち望んでいた。そこへ…赤・黄・桃色が青木の部署へ配属されやってくる。「赤」は俺様ヒーロー気取りの赤木、「桃色」は紅一点の桃栗、そして「黄色」に選ばれたのは名前がカレーに似ているという理由の枯枝。彼らのカラフルな日常が始まる──！
参照：https://booklive.jp/product/index/title_id/377388/vol_no/001
現代オフィスを舞台に業界初の「イロ（色）漫画」として注目を集めた作品。十色商事という会社内に配属された色を表す文字をもつ登場人物たちが、色にちなんだ内容の会話を行うショートストーリーです。
赤・青・黄・桃（ピンク）・黒など、戦隊ものを意識した配色での会話が秀逸。ヒット作品に比べて、重厚感やストーリー展開などの見どころはないものの、軽い会話のなかに作者の巧みな言葉遊びが含まれていて面白いです。
（集英社・Cocohanaにて連載、全2巻完結済み）
おすすめ作品⑥『ミステリと言う勿れ』（2018）
話題沸騰★青年・久能整！ついに登場！！ 『BASARA』『7SEEDS』の田村由美、超ひさびさの新シリーズがついに始動！！ その主人公は、たった一人の青年！ しかも謎めいた、天然パーマの久能 整（くのう ととのう）なのです！！ 解決解読青年・久能 整、颯爽登場の第一巻！！ 冬のある、カレー日和。アパートの部屋で大学生・整がタマネギをザク切りしていると・・・警察官がやってきて・・・！？ 突然任意同行された整に、近隣で起こった殺人事件の容疑がかけられる。 しかもその被害者は、整の同級生で・・・。 次々に容疑を裏付ける証拠を突きつけられた整はいったいどうなる・・・？？？ 新感覚ストーリー「ミステリと言う勿れ」、注目の第一巻です！！
参照：https://booklive.jp/product/index/title_id/484330/vol_no/001
天然パーマの髪の毛がトレードマークの大学生、久能整（ととのう）が主人公。あまり社交的ではなく、神経質な性格の持ち主で、さまざまな事件に巻き込まれながらも、知識や言葉を武器に犯罪者やミステリーに挑みます。
ひとりで快適に生きているものの、事件を通して心を通じた人にはなりふり構わず持論を展開する、整の自己主張の強い面が笑いを誘います。言い回しやセリフが印象的な作品で、中でも倫理観を問うようなセリフは度々話題に。2022年にテレビドラマ化、2023年には映画化もした話題作です。
（小学館・月刊フラワーズにて連載、既刊13巻連載中）
もっと読みたい方におすすめの作品をご紹介！
田村由美作品をもっと読んでみたい方におすすめの作品を紹介します。漫画家、田村由美の初期作品や短編作品集など、ファン必見の作品を集めました。ぜひチェックしてください。
『天使かもしれない』（1985）
エキセントリックで能天気なのーこの物語。 「のーこ」の本名は川中島濃子、つるちゃんとジャイアンツを愛する高校生だ。一見ちょっとエキセントリックで能天気。だけど、もしかしたら彼女は「天使かもしれない」！？ 誘拐事件解決に活躍する表題作ほか、タイムスリップ先の戦国時代で信長くんにお嫁入り「神話になった午後」、天才ピアニストが濃子にのりうつる「17日めのショパン」など、8編を収める「のーこ」シリーズ完全版。 ※収録作品 天使かもしれない／宇宙人といっしょ／神話になった午後／ソフトボーイ つるちゃん回想録／シャワー・ロード／17日めのショパン／六本木心中／水中都市
参照：https://booklive.jp/product/index/title_id/898645/vol_no/001
のーこシリーズとして、初期作品の中でも人気の高いシリーズの単行本です。短編で不定期連載されたものを一冊にまとめたもので、全8話が収録されています。小学生にしか見えない、天然女子高生川中島濃子がさまざまな事件に出くわすファンタジーストーリーです。
『ボクが泥棒になった理由（ワケ）』（1991）
高台にある大きな家に、元女優の美人なママと2人暮らし。お嬢様育ちでわがままなママは贅沢が大好き。でも家にはお金がなく、ママは家の骨董品を売っては贅沢を。そして龍三郎がガールフレンドのリエちゃんからのあずかりものの指輪まで、骨董屋に売ってしまう始末。龍三郎はあわてて取り戻そうとするが、時すでに遅し。腹を立てる龍三郎にママは一言「盗めばいいんじゃない」とドロボウ宣言!不器用なママにはまかせられないと、龍三郎も盗みにいくのだが…!? ●収録作品 ボクが泥棒になった理由/パパが泥棒になった理由/ボクが王様になった理由/ボクが幽霊になった理由
参照：https://booklive.jp/product/index/title_id/264539/vol_no/001
龍三郎シリーズとして人気の「ボクが泥棒になった理由（ワケ）」。内容は、小学生の龍太郎が美人ママに振り回されながらも健気に奮闘するコメディタッチのお話です。ほのぼの系ながら、作者の描く魅力的なキャラクターは健在です。一味違う田村由美作品を味わいたい方におすすめですよ。
『田村由美ベストセレクション』（2008）
初期の田村由美作品を集めた第一弾。「拾った男」「きねづかん」「彼女は誰を殺したか」「あの夏が終わる」「ウェディングベルは聞こえない」の5作品を収めています。サスペンスやミステリー要素の高い内容となっていて、オカルト好きな方にもおすすめです。
『田村由美ベストセレクション2』（2009）
アクションが好きな方におすすめの長編読み切り集です。1990年代の傑作「女神が落ちた日」「通り魔1991」「MADONNAに告ぐ」の3作品は、読み切りながら見ごたえがあります。田村作品ならではの強い女性像は健在で、気負いなくサクッと読みたい方におすすめの1冊です。
『シカゴ』（2001）
20××年、M7.8の直下型地震が襲った東K市で、唯一甚大な被害が出た「湾岸D地区」。駆けつけた自衛軍レスキュー班・第四部隊のレイと魚住は、そこで正体不明のセスナ機に爆撃されてしまう!! 「第四部隊全滅」が伝えられる中、奇跡的に生き残った2人の前に謎の男が現れて!? “Clean City”物語、第1巻。
参照：https://booklive.jp/product/index/title_id/273631/vol_no/001
自衛軍レスキュー班第四部隊の全滅を機に起こるミステリー事件を、壮大なスケールのもと描いた作品です。全2巻。腕っぷしの強い美人で、相棒の魚住に叶わない恋心を抱く、レイが主人公。もうひとりの相棒シンや魚住の恋人ミカとの関係性も気になる中、物語は着実にラストに向かいます。アクション満載の作品です。
漫画家・田村由美先生のおすすめ作品 まとめ
田村由美先生の代表作を含む計11作品を紹介しました。田村由美先生の作品は、どれもスケールが壮大で複雑に絡み合う人間関係の心理描写が上手く描かれたものばかり。読み応えのある作品を読みたい、という方にもおすすめです。
世代・性別を問わず楽しめる田村由美作品。まだ読んでいない作品がある方は、ぜひご覧ください。壮大な田村作品の世界観に浸って、現実感をリフレッシュしましょう。
田村由美作品を読むための電子書籍ストアを探している方は、こちらの記事をご参照ください👇
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それでは素敵な電子書籍ライフを！
TKD
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