【裁判シーンが見所!】法廷映画のオススメ作品45選を厳選してご紹介!

法廷映画アイキャッチ

皆さんは法廷映画をご覧になったことはありますか?

とある問題を巡って裁判が白熱してゆくシーンなど、手に汗握る見所が盛り沢山な法廷映画。家族の問題からサスペンス的な事件、そして成否を決めることが難しい社会問題など、取扱うテーマが幅広く、見応えも抜群です。

そこで今回は「法廷映画」のオススメ作品を一挙にご紹介していきたいと思います!

前述の通り、法廷映画と一口に言っても多様なテーマがあるので、以下の切り口でジャンル分けしてみました。

  1. 「戦犯裁判」を描いた法廷映画
  2. 「離婚・親権裁判」を描いた法廷映画
  3. 「差別」を描いた法廷映画
  4. 「家族愛」を描いた法廷映画
  5. 「伝記」を描いた法廷映画
  6. 「社会問題」を描いた法廷映画
  7. 「ミステリー・サスペンス」を描いた法廷映画
  8. 「女性弁護士」を描いた法廷映画
  9. 「ヒーロー弁護士」を描いた法廷映画

 

以上の9つのジャンルに分けてご紹介していきます!

 

「戦犯裁判」を描いたオススメ法廷映画(5作品)

裁判というと事件などで犯罪を犯した人が有罪・無罪の判決を下されるというイメージが強いのではないでしょうか。しかし、中には過去に遡り戦争犯罪を追及するための裁判が存在します。戦争という特殊な状況下で犯された罪はいかにして裁かれるのか。ここではホロコーストやアメリカ南北戦争の真実を争点とする裁判を描く作品を5つご紹介します。

 

『ニュールンベルグ裁判』  “JUDGMENT AT NUREMBERG”

戦犯もまた被害者ではないのか?ナチス・ドイツの戦犯裁判を描いた作品。

『ニュールンベルグ裁判』

あらすじ
終戦後のドイツ、ニュールンベルグ。アメリカの判事ヘイウッドを裁判長に、ナチスのためドイツの法律を変えてユダヤ人虐殺に至らしめた司法関係者たちを裁く国際軍事裁判が開廷された。被告の中には、かつて司法大臣として第三帝国憲法の起草に関わった世界的法律学者ヤニングの姿もあった。ローソン検事が鋭く戦争責任を追及し、ロルフ弁護士が激しく反論する中、しばらく沈黙を続けていたヤニングは突然に自らの非を認める発言をする。こうして、裁判はいよいよ終局を迎えていくのだが…。(参照:https://www.allcinema.net/cinema/17061)

公開年

1962年

制作国

アメリカ

監督

スタンリー・クレイマー

出演

スペンサー・トレイシー、バート・ランカスター
リチャード・ウィドマーク、モンゴメリー・クリフト

興行収入

1000万ドル

おすすめポイント

アカデミー主演男優賞2回受賞経歴のあるスペンサー・トレイシーをはじめとした超豪華すぎる俳優陣による大作です。歴史に深く刻みつけられた戦争裁判を通して責任とは何か、国家と個人の責任の所在などを描き真実と向き合い贖罪をする意義を問う実に重い作品です。法廷ドラマでありながら、フィクションだからこその人間ドラマにもなっています。

戦争犯罪者とはいえ彼らもまた戦争の被害者。裁判長、検察官の主張も、被告人の主張もそれぞれの立場から共感できるものです。そして、原告、被告がそれぞれの立場を理解し称賛していながら厳しい判断を下し、またそれを受け入れなければならないことが観ていて本当につらいです。

戦争によってもたらされるものは悲しみでしかないとつくづく感じさせられます。この作品を観たら戦争に対して簡単に白黒つけたり、一方的な視点から語ることはできなくなるはずです。戦争を知らない若い世代の人にも観てほしい心に突き刺さる名作です。

 

受賞歴

第34回アカデミー賞(1962年)

受賞 男優賞 マクシミリアン・シェル

  脚色賞 アビー・マン

第19回ゴールデングローブ賞(1962年)

受賞 最優秀主演男優賞 マクシミリアン・シェル

   最優秀監督賞 スタンリー・クレイマー

ノミネート 最優秀作品賞

      最優秀助演男優賞 モンゴメリー・クリフト

      最優秀助演女優賞 ジュディ・ガーランド

 

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『コリーニ事件』  “THE COLLINI CASE”

フランコ・ネロの無言の演技が光る社会派法廷サスペンス。

『コリーニ事件』

あらすじ
新米弁護士カスパー・ライネンは、ある殺人事件の国選弁護人を担当することに。それは、ドイツで30年以上にわたり模範的市民として働いてきた67歳のイタリア人コリーニが、ベルリンのホテルで経済界の大物実業家を殺害した事件で、被害者はライネンの少年時代の恩人だった。調査を続ける中で、ライネンは自身の過去やドイツ史上最大の司法スキャンダル、そして驚くべき真実と向き合うことになる。(参照:https://eiga.com/movie/92446/)

公開年

2020年

制作国

アメリカ

監督

マルコ・クロイツパイントナー

出演

エリアス・ムバレク、アレクサンドラ・マリア・ララ
ハイナー・ラウターバッハ、マンフレート・ツァパトカ

興行収入

690万ユーロ

おすすめポイント

本作はドイツの著名な刑事事件弁護士でもあるフェルディナント・フォン・シーラッハの同名ベストセラー小説を映画化した社会派法廷サスペンスです。ドイツ史上最大の司法スキャンダルへと発展するこの事件を通してドイツ国民は知りたくなかった真実に向き合うこことなります。原作の影響でドイツ連邦法務省が省内に調査委員会を設置したという曰くつきの作品です。

重々しく進んでいくストーリー展開、ナチスの戦争犯罪、そして過去から今に至る怨念が悲しく美しく描かれています。

被告人コリーニを演じるのは名優フランコ・ネロです。セリフもほとんどなく口をとざしていたコリーニですが、動機が明らかになるや目や表情がどんどん変わり、それだけで演じていた様が彼のすごさを物語っています。彼が独房から空を見上げる表情が目に焼き付いて離れません。

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『否定と肯定』 “Denial”

ホロコーストは存在したのか…ユダヤ人歴史学者が挑む世紀の歴史的裁判

『否定と肯定』

あらすじ
1994年、イギリスの歴史家デビッド・アービングが主張する「ホロコースト否定論」を看過することができないユダヤ人女性の歴史学者デボラ・E・リップシュタットは、自著の中でアービングの説を真っ向から否定。アービングは名誉毀損で彼女を提訴するという行動に出る。訴えられた側に立証責任があるイギリスの司法制度において、リップシュタットは「ホロコースト否定論」を崩す必要があった。そんな彼女のために組織されたイギリス人大弁護団によるアウシュビッツの現地調査など、歴史の真実の追求が始まり、2000年1月、多くのマスコミの注目が集まる中、王立裁判所で歴史的裁判が開廷した。(参照:https://eiga.com/movie/86500/)

公開年

2017年

制作国

イギリス / アメリカ

監督

ミック・ジャクソン

出演

レイチェル・ワイズ、アンドリュー・スコット、ティモシー・スポール、トム・ウィルキンソン、ジャック・ロウデン他

興行収入

920万ドル

おすすめポイント

1996年、アメリカの大学で教鞭を執るユダヤ人歴史学者デボラ・リップシュタットは、自身の著書でホロコースト否定論者のデイヴィッド・アーヴィングを非難したことで名誉毀損の訴えを起こされます。本作はホロコーストの歴史認識を争点とした法廷闘争を回顧録を基に映画化した法廷サスペンス。

裁判の舞台となるイギリスの法廷では、訴えられた側に立証責任が課せられ、デボラはホロコーストが起きたという本質的な真実を証明する必要に迫られます。しかし、客観的証拠からホロコースト否定論を崩したい弁護団は、ホロコースト生存者やデボラ自身が証言台に立つことを認めません。自らの言葉で真っ向から闘いたいデボラは、戦略に関する弁護団との意見の食い違いに葛藤します。

孤立状態に置かれる彼女が彼らと折り合いをつけ、裁判の中で直情的な自分を変えていく様子は、人間ドラマとしての本作の大きな見所です。

また、本作ではノンドキュメンタリー映画としては珍しく、実際のアウシュビッツで撮影されたシーンが登場します。法廷劇と人間ドラマを交えながら、秀逸な脚本と豪華出演者の圧巻の演技を通して、真実のための戦いと歴史の重要性について教えてくれる映画です。

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『ミュージックボックス』  “MUSIC BOX”

父はユダヤ人虐殺に加担したのか?揺れ動く娘の心理を描くサスペンス

『ミュージックボックス』

あらすじ
女性弁護士アンの父親であるマイク・ラズロは生まれ故郷ハンガリーからの移民として第二次大戦後アメリカに移り住んできた。早くに妻を亡くし、男手で子供を育てあげた彼は暖かい家庭人。がハンガリー政府からの資料から彼が実はミシュカと呼ばれるユダヤ人虐殺に関与した戦争犯罪人である事がわかり、逮捕引渡しを求められる。無実を求める父親の弁護をアンは引き受け裁判が始まるが、無罪を立証しようと努力する彼女にだんだんと父親の過去が見えてきて..(参照:https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=352)

公開年

1990年

制作国

アメリカ

監督

コンスタンチン・コスタ=ガブラス

出演

ジェシカ・ラング、フレデリック・フォレスト
ドナルド・モファット、ルーカス・ハース他

興行収入

630万ドル

おすすめポイント

ユダヤ人虐殺の嫌疑をかけられた父の無実を晴らそうとする女弁護士の遭遇する衝撃的事実を描くサスペンス。

父の弁護をすることになる彼女が父をどこまで信じられるのか揺れ動く心理が描かれています。戦争犯罪者は許されるものではないと同時に戦争の狂気に耐えるためには狂うしかないという部分もあるのではないのか。それゆえに裁判で明らかになる残虐な事実に憤りながら、もしかして本当は父は犯罪者なのかとの僅かな疑念を持ち始め苦悩する娘に観ているものも一緒に苦悩することとなります。

また、人間がどれほど簡単に悪魔になれるのかを認識させられ、過去の悲劇を忘れてはならないと思い知らされます。回想シーンなどを一切使わず、証言と古い証拠写真だけで物語が進んでいくという監督の飽きさせない手腕は見事です。見ごたえのある法廷劇です。

 

受賞歴

第62回アカデミー賞(1990年)

ノミネート 主演女優賞 ジェシカ・ラング

第40回ベルリン国際映画祭(1990年)

受賞 金熊賞 コンスタンチン・コスタ=ガブラス

第47回ゴールデングローブ賞(1990年)

ノミネート 最優秀主演女優賞   ジェシカ・ラング

 

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『声をかくす人』  “THE CONSPIRATOR”

合衆国政府によって処刑された初めての女性メアリー・ラサット。彼女は母であり続けた

『声をかくす人』

あらすじ
リンカーン大統領暗殺の罪に問われ、アメリカ合衆国政府によって処刑された初めての女性メアリー・ラサットの隠された真実を描く。南北戦争終結直後の1865年、第16代アメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーンが暗殺される。犯人グループはすぐに捕えられ、犯人一味にアジトを提供したという理由で、下宿屋を営む南部出身の女性メアリー・サラットも逮捕される。メアリーの弁護を引き受けることになった北軍の英雄フレデリックは、メアリーがある秘密を守るため自ら犠牲になろうとしているのではないかと考えるが……。(参照:https://eiga.com/movie/56348/)

公開年

2012年

制作国

アメリカ

監督

ロバート・レッドフォード

出演

ジェームズ・マカヴォイ、ロビン・ライト
ケヴィン・クライン、エヴァン・レイチェル・ウッド

興行収入

1550万ドル

おすすめポイント

リンカーン大統領暗殺の罪に問われ、合衆国政府によって処刑された初めての女性メアリー・サラットの隠された真実を、ロバート・レッドフォードがメガホンを取り映画化した歴史ドラマです。

彼女の人生は南北戦争直後の不安定な情勢に捻じ曲げられた壮絶なものでしたが、彼女の弁護人も北軍の英雄であるだけにまたつらく苦しい立場におかれます。正義と法律を遵守するために信念を貫き通そうとする執念が熱く心に響きます。

北軍と南軍の憎しみにより犠牲になった女性を描くことにより、戦争を経験し勇気と知恵を身に着け人の温かみを知った弁護士フレデリックの人間としての素晴らしさを際立出せています。歴史の暗い面と、自分の命を懸けてまで黙秘を続ける母親の愛の対比が重く心に浸み込みます。

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「離婚・親権裁判」を描いたオススメ法廷映画(3作品)

離婚訴訟は離婚そのものだけでなく、子供の親権や財産分与を決めるなど、その後の人生に大きく左右する裁判です。そして何よりも辛いのは一度は愛し合った家族と争わなければならないということ。離婚裁判や養育権を巡る裁判を題材にした人間ドラマが見所の3作品をご紹介します。

 

『マリッジ・ストーリー』  “ Marriage Story”

離婚裁判に臨む夫婦の矛盾と思いやりに溢れた愛の物語

『マリッジ・ストーリー』

あらすじ
女優のニコールと監督兼脚本家のチャーリーは、かわいい息子がいる仲のいい家庭を築いていたが、夫婦の関係は少しずつ悪化していき、離婚を決める。円満な協議離婚を望んでいたが、ため込んできた相手への怒りを爆発させ、負けず嫌いの二人は離婚弁護士を雇って争う。(参照:https://www.cinematoday.jp/movie/T0024751)

公開年

2019年

制作国

アメリカ

監督

ノア・バームバック

出演

スカーレット・ヨハンソン、アダム・ドライバー
ローラ・ダーン、アラン・アルダ、レイ・リオッタ

興行収入

230万ドル

おすすめポイント

本作は一組の夫婦が結婚生活に葛藤を抱え、離婚に向かっていく様子をリアルに描いたヒューマンドラマ。

女優のニコールと夫で舞台演出家のチャーリーは円満な協議離婚を進めることを望みますが、積年の怒りや不満が露わになり協議は決裂、息子ヘンリーの親権をめぐり、双方が弁護士をたてた法廷闘争になってしまいます。

お金も時間も精神も削られる離婚プロセスに戸惑い、怒鳴り合いながら本音を曝け出し傷ついてボロボロになる2人。溝を深めながらも、それでも心の中に残っている相手への信頼や愛情が、「この人をかつては愛していたのに」という喪失感を煽ります。

離婚を決意しながらも、弁護士との話の中でつい夫との思い出を懐かしんでしまうニコール。自信に満ちた表面の下に脆弱な心を隠し、傷ついているチャーリー。二律背反的な感情や人間の儚い矛盾が丹念に描かれています。

本作の魅力はニコールとチャーリーの両方に善と悪を見ることができること。そして主演のスカーレット・ヨハンソンとアダム・ドライバーの人間味あふれる繊細な演技は、どのシーンでも胸が張り裂けそうになるほど上手いのです。

離婚という重たいテーマを大人の視点でシリアスに、時にユーモアも交えつつ描き切った秀作です。

 

受賞歴

第92回アカデミー賞(2020年)

受賞 助演女優賞  ローラ・ダーン

ノミネート 作品賞

      主演男優賞 アダム・ドライバー

      主演女優賞 スカーレット・ヨハンソン

      脚本賞 ノア・バームバック

      作曲賞 ランディ・ニューマン

 

第77回ゴールデングローブ賞(2020年)

受賞 最優秀助演女優賞 ローラ・ダーン

ノミネート 最優秀作品賞

      最優秀主演男優賞 アダム・ドライバー

      最優秀主演男優賞 スカーレット・ヨハンソン

      最優秀脚本賞 ノア・バームバック

      最優秀作曲賞 ランディ・ニューマン

 

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『クレイマークレイマー』  “KRAMER VS. KRAMER”

父との絆、母への愛。狭間で揺れ動く子どもの姿に涙が止まらない名作

『クレイマークレイマー』

あらすじ
テッドとジョアンナの結婚生活は8年目を迎え、一人息子ビリーも7歳となったクレイマー家。ジョアンナは、かねてより家庭を顧みず仕事優先の生活を送るテッドに不満を募らせていた。そしてある日、ついに彼女は自立を決断し、家を出て行ってしまう。一転して妻に任せっきりとなっていた家事と仕事の両立をせざるを得なくなったテッド。しかし始めは覚束ないものの、次第に2人の生活にも慣れ、これまで以上に父と子の絆を強めていく。だがそんな中、ジョアンナが突然養育権を訴えてくる。失業したことも重なってテッドに不利な形で裁判が進み、養育権はジョアンナ側に。こうして、テッドとビリーは父子最後の朝食を迎えるのだが…。(参照:https://www.allcinema.net/cinema/6556)

公開年

1980年

制作国

アメリカ

監督

ロバート・ベントン

出演

ダスティン・ホフマン、メリル・ストリープ
ジャスティン・ヘンリージョージ・コー
ジェーン・アレクサンダー他

興行収入

1.73億ドル

おすすめポイント

別居、親権裁判を通して仕事人間だった1人の男が戸惑いながらも良き父親になる物語を描き、アカデミー賞で作品賞、監督賞を含む5部門を受賞したファミリードラマ。

仕事一筋で家庭を顧みない夫テッド・クレイマー。8年間連れ添った妻のジョアンナは遂に愛想を尽かし、5歳半の息子ビリーを置いて家を出ていきます。突如一人で息子を育てることを余儀なくされ上手く仕事をこなすことができないテッド。ビリーは母親から受けた愛情を恋しがり、親子関係は上手くいきません。そんな二人の関係が徐々に愛情に満ちたものへと発展していく様子はなんとも微笑ましいです。

しかし、1年後ジョアンナが現れ、テッドは息子の親権をめぐって裁判で争うことになります。裁判の様子は見ていて苦しくなりますが、なんとしても愛する息子と一緒にいたいと心から願っていながら、ビリーを証言台に立たせることは頑なに拒むところに父親の真の愛情が感じられます。

幼いビリーが父との絆、母との絆の狭間で揺れ動く葛藤が痛いくらいに伝わってきて、小さな胸を痛める姿には思わず涙してしまいます。見事にビリー役を演じたジャスティン・ヘンリー君はアカデミー賞にもノミネートされています。

価値観の違いですれ違う夫婦、父親の成長、息子の葛藤など描写が繊細で重たいテーマなのに温かさに包まれたとても素敵な作品です。

 

受賞歴

第4回日本アカデミー賞(1981年)

受賞 外国作品賞

 

第52回アカデミー賞(1980年)

受賞 作品賞

   監督賞 ロバート・ベントン

   主演男優賞 ダスティン・ホフマン

   助演女優賞 メリル・ストリープ

   脚色賞 ロバート・ベントン

ノミネート 助演男優賞 ジャスティン・ヘンリー

      助演女優賞 ジェーン・アレクサンダー

      撮影賞 ネストール・アルメンドロス

      編集賞 ジェリー・グリーンバーグ

 

第37回ゴールデングローブ賞(1980年)

受賞 最優秀作品賞

   最優秀主演男優賞 ダスティン・ホフマン

   最優秀助演女優賞 メリル・ストリープ

   最優秀脚本賞 ロバート・ベントン

ノミネート 最優秀助演男優賞 ジェイソン・ロバーズ

      最優秀助演女優賞 ジェーン・アレクサンダー

      最優秀監督賞 ロバート・ベントン

 

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『アイ・アム・サム』“I Am Sam” 

7歳の父親は愛する娘を取り戻すことができるのか。親子の絆を描く感動のヒューマンドラマ

『アイ・アム・サム』

あらすじ
7歳の知能しか持たないサムは、コーヒーショップで働きながら、ひとり娘ルーシーを育てるが、ソーシャル・ワーカーに娘を取り上げられ、敏腕女性弁護士に助けを求める。彼女は夫と息子との関係に悩んでいた。(参照:https://eiga.com/movie/1439/)

公開年

2001年

制作国

アメリカ

監督

ジェシー・ネルソン

出演

ショーン・ペン、ミシェル・ファイファー
ダコタ・ファニング、ダイアン・ウィースト
ロレッタ・ディヴァイン、リチャード・シフ

興行収入

9780万ドル

おすすめポイント

知的障害により7歳の知能しか持たないサムは養育能力が無いと判断され、愛する娘ルーシーと引き離されてしまいます。本作は一人の父親が周囲の人に支えられながら法廷に立ち愛する娘を取り戻すために奮闘します。

知能の面では娘に追い越されてしまうものの、誰よりも愛と優しさに溢れるサム。ルーシーにとっては人として大切なことを教えてくれる、世界でたった一人の素晴らしい父親です。幼いながらにそんな父親を気遣うルーシーの父への愛情に涙がこぼれます。

何としてでも自分の子供を守りたいと思いながらも、障害の壁に阻まれてどうしてよいか分からないサム。そんな彼の人柄や子供にかける一途な愛情は、次第に弁護士や里親夫婦の心を動かしていきます。愛が大きすぎるが故に空回りしてしまう親子の姿は切なく、本作でアカデミー賞にノミネートされたショーン・ペンと天才子役ダコタ・ファニングの演技力に終始泣かされます。

本作では全編に流れる様々なアーティストたちがカバーするビートルズの名曲も聞き逃せません。人生の教訓のほとんどをビートルズの歌から学んでいるサムが ”Lucy In The Sky With Diamonds”の話をするシーンはとても印象的。父と娘の絆、2人をとりまく周囲の人々の優しさに心がじんわりと温かくなる作品です。

 

受賞歴

第26回日本アカデミー賞(2003年)

ノミネート 外国作品賞

第74回アカデミー賞(2002年)

ノミネート 主演男優賞 ショーン・ペン

 

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「差別」を描いたオススメ法廷映画(7作品)

法律に基づき公平に裁きが下るはずの裁判。しかし裁判官や陪審員も人間であり、偏見や差別感情が冤罪など不当な判決に繋がることも。差別をめぐる裁判は人間の尊厳を賭けた闘いだからこそ検察側と弁護側の対立は激化、さらに周囲の人々の法廷外の対立にも火をつけます。

今回はそんな法廷で人種差別や同性愛者に対する差別に立ち向かう人々を描いた作品7つをご紹介します。

 

『黒い司法  0%からの奇跡』  “Just Mercy”

立ちはだかる差別と偏見、そして司法制度の闇。冤罪の死刑囚に奇跡は起きるのか

『黒い司法  0%からの奇跡』

あらすじ
黒人への差別が根強い1980年代アラバマ州、犯してもいない罪で死刑宣告された黒人の被告人ウォルターを助けるため、新人弁護士ブライアンは無罪を勝ち取るべく立ち上がる。しかし、仕組まれた証言、白人の陪審員たち、証人や弁護士たちへの脅迫など、数々の差別と不正がブライアンの前に立ちはだかる。果たしてブライアンは、最後の希望となり、彼らを救うことができるのか―!? 可能性0%からの奇跡の逆転劇に挑む!(参照:https://filmarks.com/movies/82222)

公開年

2020年

制作国

アメリカ

監督

デスティン・ダニエル・クレットン

出演

マイケル・B・ジョーダン、ジェイミー・フォックス
ブリー・ラーソン、ティム・ブレイク・ネルソン他

興行収入

5040万ドル

おすすめポイント

1980年代、黒人への差別が根強いアメリカ、アラバマ州。本作は冤罪の死刑囚たちの解放に奮闘する弁護士ブライアン・スティーブンソンの回顧録に基づき史実を忠実に描いた実話。

ブライアンは18歳の少女を殺害した罪で死刑判決を受けた黒人の被告人ウォルター・マクミリアンの事件を知り、彼の無実を確信、何としても彼の冤罪を晴らしたいと自ら弁護を引き受け、裁判の差し戻しに奔走することに。しかし、死刑囚支援の事務所を開くことでさえ困難な時代、法廷では人種差別に基づいた卑怯極まりない不正が相次ぎ、死刑囚となったウォルターだけでなく自身も不条理に曝されます。困難に直面しながらも、ブライアンは揺るぎない意思で正義を貫き通し、ウォルターの命を救うため闘い続けます。

人種差別に基づく杜撰な裁判、腐敗した警察官、無実の人を守ることができない司法制度の闇など、心痛くなる現実がドキュメンタリーを見ているのかと錯覚するほど生々しく描き出される本作。“JUST MERCY”という原題が示す通り、これはアメリカの人種差別問題だけでなく、正義とは何かという普遍的な問いを投げかける作品なのです。

法廷モノの要所をしっかりと押さえながら緊張感を途切らさない展開、マイケル・B・ジョーダンとジェイミー・フォックスの確かな演技に一瞬たりとも目が離せません。

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『アラバマ物語』  “To Kill a Mockingbird”

父親として人間としてどうあるべきか。黒人差別に立ち向かう白人弁護士

『アラバマ物語』

あらすじ
1932年、人種差別が根強く残るアラバマ州の田舎町。弁護士フィンチは妻に先立たれ、まだ幼い2人の子どもたちと暮らしている。ある日、彼は白人女性に性的暴行を加えた容疑で逮捕された黒人青年の弁護を担当することに。何よりも正義を重んじるフィンチは、差別や偏見に立ち向かいながら、青年の無実を証明するべく奔走する。しかし町民たちはそれを快く思わず、フィンチや子どもたちに対する風当たりは日ごとに強くなっていく。(参照:https://eiga.com/movie/42203/)

公開年

1963年

制作国

アメリカ

監督

ロバート・マリガン

出演

グレゴリー・ペック、メアリー・バダム
フィリップ・アルフォード、ジョン・メグナ
ブロック・ピータース他

興行収入

1310万ドル

おすすめポイント

ピュリッツァー賞を受賞したハーパー・リーの自伝的小説を原作に、1930年代のアメリカ南部で人種差別に立ち向かう弁護士の闘いを幼い子どもたちの視点から描いた名作ドラマ。

舞台は1932年人種差別の激しいアラバマ州の小さな町。幼い息子と娘を抱えながら弁護士として働くフィンチは、若い黒人労働者トム・ロビンソンが白人女性を強姦したとして不当に訴えられたとき彼の裁判を引き受けることを決意します。しかし、法廷で彼を弁護することで、誰もが黒人の無実を信じようとしない町の人々を敵に回してしまいます。

差別や偏見が色濃く残る時代、トムは白人ばかりの陪審員から有罪の評決を受けるのが当然と思われています。そんな状況でフィンチは強い信念を持ち、正義のために戦い、そして子供たちに正しさを教えます。裁判でフィンチが陪審員に語りかけるシーンは圧巻で、静かさの中に込められた威厳と正義感、怒りに見ている側も胸が熱くなります。

差別問題を取り上げながらメッセージ性は前面に出さず、淡々とした客観的な描写が多い本作ですが、6歳の子供の純粋無垢な目を通して偏見と不正がより克明に写し出されます。それがアメリカ史上非常に重要な映画とされる由縁かもしれません。

物語冒頭では児童文学のような世界観に引き込まれ、最後には見応えたっぷりの裁判シーンでフィンチのブレない静かな正義感に心を揺さぶられる作品です。

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『評決のとき』  “A TIME TO KILL”

復讐のための殺人は許されるか、深まる人種間対立の中で正義を貫く若手弁護士

『評決のとき』  “A TIME TO KILL”

あらすじ
ミシシッピー州の街カントンで10歳の黒人少女が二人の白人青年に暴行を受けるという事件が起った。娘の哀れな姿に心を傷めたその父カール・リーは、マシンガンを持って裁判所に出向き、その青年2人を射殺してしまう。新米弁護士として働くジェイクは有能な法学生エレンの助けを借りてカール・リーの弁護を務める事になるが、この事件は彼の周りで大きな犠牲者を生み始め、やがて白人と黒人を巡る大きな社会問題へと発展してゆく……。(参照:https://www.allcinema.net/cinema/51814)

公開年

1996年

制作国

アメリカ

監督

ジョエル・シューマカー

出演

マシュー・マコノヒー、サンドラ・ブロック
サミュエル・L・ジャクソン
ケヴィン・スペイシー、オリヴァー・プラット

興行収入

1.52億ドル

おすすめポイント

一つの事件の裁判を通して人種差別や正義を描いたサスペンス・タッチの社会派映画。

アメリカ、ミシシッピ州で黒人の少女が人種差別主義者の白人青年2人に暴行されるという悲惨な事件が起こります。地域に根強く残る人種差別のために犯人たちが釈放されてしまうことを恐れた父親カール・リーは自らの手で裁きを下すことを決意し、法廷で多くの目撃者の前で彼らを殺害してしまいます。白人陪審員だらけの法廷でカールの無実を勝ち取るため、若手弁護士のジェイク・ブリガンスは法務学生のエレン・ローアンの力を借り、法廷での闘いに挑みます。

判決の日が近づくに連れ、町では人種間の憎しみと対立が深まり、黒人団体と白人至上主義者団体KKKの間にただならぬ緊張感が漂います。ジェイクはカール・リーを弁護したことでKKKの恨みを買い、妻や娘までもが危険にさらされますが、後戻りはできないと弁護を続けます。

復讐という正義の裁きを下した父親と、家族の危険を顧みずに正義のために闘う弁護士。正義とは何かを考えさせられる映画です。

作品のメッセージが込められた最終弁論のシーンは痺れます。

人種差別×裁判という重たい内容ですが、ケヴィン・スペイシー初め超豪華キャストの演技は必見、最後の最後には希望を感じさせる映画です。

 

受賞歴

第54回ゴールデングローブ賞(1997年)

ノミネート 最優秀助演男優賞   サミュエル・L・ジャクソン

 

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『マーシャル 法廷を変えた男』  “Marshall”

黒人弁護士と白人弁護士のタッグが素晴らしい!差別に立ち向かう正義の法廷

『マーシャル 法廷を変えた男』  “Marshall”

あらすじ
1941年の米コネティカット州。黒人運転手が白人女性への強姦と殺人未遂の容疑で逮捕され、全米黒人地位向上協会の弁護士マーシャルが容疑者の弁護を担当することになる。差別主義者の判事から発言権を奪われ、マスコミからも激しいバッシングを受けるなど、マーシャルは次々と困難に直面するが、やがて事件に隠された嘘が明るみになり……。(参照:https://eiga.com/movie/88224/)

製作年

2017年

制作国

アメリカ

監督

レジナルド・ハドリン

出演

チャドウィック・ボーズマン、ジョシュ・ギャッド
ケイト・ハドソン、、スターリング・K・ブラウン他

興行収入

1010万ドル

おすすめポイント

1941年の米コネティカット州で白人女性への強姦と殺人未遂の容疑で逮捕された黒人運転手の弁護を担当した弁護士マーシャルを描いた実話をもとにした映画。アフリカ系アメリカ人で初めて最高裁判所判事となったサーグッド・マーシャルが若い頃、ユダヤ人のフリードマンとともに黒人運転手を弁護した裁判について描いています。

当時の黒人差別はどうだったか。それに立ち向かうマーシャルの強さ。そして正義とは。人間とは。命とは。色々な重い要素を考えさせられる映画です。不当な差別にさらされた人々の描写は胸が痛くなりますが、昔からこれだけの勇気をもって戦った人が数多くいるにも関わらず今もってなお差別がなくなったわけではないことも忘れてはなりません。

法廷映画の中ではベストという人が多いこの映画。キング牧師も称賛した偉大な歴史を残したマーシャルのヒーローとしての姿が大きな勇気を与えてくれます。

 

受賞歴

第90回アカデミー賞(2018年)

ノミネート 主題歌賞

 

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『ザ・ハリケーン』  “THE HURRICANE”

無罪を勝ち取るため何度も立ち上がり続けた黒人ボクサー

『ザ・ハリケーン』  “THE HURRICANE”

あらすじ
その驚異的な強さで“ハリケーン”の異名を持つボクサー、ルービン・カーター。1966年、彼は故郷パターソンで白人3人を殺害した容疑で逮捕され、終身刑を宣告される。無実を訴えて獄中で書いた自伝を出版し反響を呼ぶが、再審で再び有罪判決を受け、カーターの存在は次第に世間から忘れられていった。レズラ少年が古本市でカーターの本を見つけたのは、まさにそんな時だった。カーターの生きざまに胸を打たれたレズラは、その思いを手紙に託しカーターへ送る。(参照:https://eiga.com/movie/1829/)

公開年

2000年

制作国

アメリカ

監督

ノーマン・ジェイソン

出演

デンゼル・ワシントン、ヴィセラス・レオン・シャノン
デボラ・カーラ・アンガー、リーヴ・シュレイバー他

興行収入

7400万ドル

おすすめポイント

殺人の罪で不当に投獄された黒人ボクサー”ハリケーン”とその疑いを晴らすまでの波乱に満ちた半生を描いた実話。

相手を一撃で負かす強烈な左フックを誇り、 “ザ・ハリケーン “という呼び名で知られたボクサー、ルービン・カーター。ボクシング選手として華々しい功績をあげる最中、彼は白人3人を殺害した容疑で逮捕され終身刑を言い渡されてしまいます。無実を証明しようと自叙伝を出版しますが、人種差別は根強く、彼は犯してもいない罪で19年以上も牢屋に入れらることとなります。そんな絶望の淵に立たされ全ての希望を奪われた彼が、一人の少年との出会いをきっかけに再び立ち上がる姿、彼らが心を通い合わせていく過程は感動的です。差別や権力に屈せず闘い続けたカーターだからこそ、終盤のセリフもグッと来ます。

カーターは、ボブ・ディランやモハメド・アリなどの著名人からも支援を受けていました。主題歌の”ハリケーン “はボブ・ディランが、彼を救うため、また、そうした状況を生み出す社会に対しての批判を込めて歌ったものです。

リングに立つボクサーのように何度でも立ち上がり闘志を燃やすカーターの姿に勇気をもらえる作品です。

 

受賞歴

第72回アカデミー賞(2000年)

ノミネート 主演男優賞 デンゼル・ワシントン

第50回ベルリン国際映画祭(2000年)

受賞 銀熊賞(最優秀男優賞) デンゼル・ワシントン

第57回ゴールデングローブ賞(2000年)

受賞 最優秀主演男優賞  デンゼル・ワシントン

ノミネート 最優秀作品賞

      最優秀監督賞 ノーマン・ジェイソン

 

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『モンスター:その瞳の奥に』 “MONSTER”

アーティスティックな映像で描かれる少年犯罪ドラマ

『モンスター:その瞳の奥に』 “MONSTER”

あらすじ
17歳のスティーブ・ハーモンが強盗殺人罪で起訴される。彼はエリート高校に通い、映画制作に夢中な高校生だった。ハーモンは無実を訴え、裁判前から有罪と決めつけてかかる刑事司法制度に立ち向かう。(参照:https://www.cinematoday.jp/movie/T0026332)

公開年

2021年

制作国

アメリカ

監督

アンソニー・マンドラー

出演

ケルヴィン・ハリソン・Jr、ジェニファー・ハドソン
ジェフリー・ライト、ジェニファー・イーリー他

興行収入

1億150万ドル

おすすめポイント

強盗殺人罪の容疑をかけられた17才の黒人少年が無実を訴える姿を描いた法廷ドラマ。有罪を前提に進められる刑事司法制度と戦います。

主人公は映像を学ぶ学生でその授業の中で黒澤明監督の「羅生門」を引用し、真実とは数ある側面の一つであるということを述べています。彼の教師は証言台に立った時「彼のすべてを知っているわけではないが、私の知る限りでは~」と述べることで、見る視点によってその真相は曖昧になってしまうことを説明しています。「自分の記憶したいものを見つけよう」という映画作りを示す言葉は、同時に、真実がどうかよりもどう信じてもらえるかが重要であるという裁判が孕む恐ろしさを示しているのかもしれません。判決前から有罪の目を向けられる黒人少年にとってはなおさらでしょう。本作ではそんな少年の視点から見た事件の様子が緊張感とともに描かれています。

アーティスティックな映像が挿入されたスタイリッシュな作品です。

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『フィラデルフィア』  “PHILADELPHIA”

人の愛に溢れた街フィラデルフィア、人間の尊厳を賭けた最後の審判の行方は…

『フィラデルフィア』  “PHILADELPHIA”

あらすじ
一流法律事務所に勤務する弁護士ベケットは、自分がエイズに感染したことを知る。やがて会社はベケットに解雇を宣告。エイズ患者に対する不当な差別だとしてベケットは訴訟を決意し、以前は敵として法廷で闘ったことのあるミラーに弁護を依頼する。ミラーはベケットがエイズ患者であり、かつ同性愛者であることに偏見を抱き、一度は依頼を断るが、それでも偏見や蔑視と戦おうとするベケットの姿に心を打たれ、弁護を引き受けることに。しかし、裁判は日に日に衰弱していくベケットとその関係者にとって過酷なものになっていく……。(参照:https://eiga.com/movie/26024/)

公開年

1994年

制作国

アメリカ

監督

ジョナサン・デミ

出演

トム・ハンクス、デンゼル・ワシントン
ジェイソン・ロバーズ、メアリー・スティーンバージェン

興行収入

2.067億ドル

おすすめポイント

若き弁護士アンドリュー・ベケットは、HIV感染が発覚したことをきっかけに仕事を解雇されてしまいます。まだHIV感染の正しい知識が知られていない時代、アンドリューは同性愛者やエイズへの偏見や差別のための不当解雇であるとし元雇主を訴え、エイズによって衰弱しながらも差別と闘うために訴訟を起こします。

作中では「エイズ」患者に出会った時の人々の反応が非常にリアルに表現されていて、当時のエイズ患者に対する偏見がどれだけ強いものだったかを伺わせます。そんななか、最初はエイズや同性愛者について偏見があり嫌悪していた弁護人ジョーが、裁判を通してアンドリューと関わっていく内に理解を深め、偏見や差別の根本原因である「無知」を打ち砕くために闘う姿に心動かされます。

差別を包み隠さず、まるでムチを打つような法廷でのやりとりは見ていて胸が痛みますが、エイズで死にゆくアンドリューを理解し支え最後までそばにいてくれる家族や友人の存在は、タイトル『フィラデルフィア』が意味する「友愛」を力強く感じさせます。

派手な演出や予想外の展開などはなく、可能な限り誠実にエイズや同性愛へ偏見を描きあらゆる差別に対する批判が込められた作品です。

症状が悪化し衰弱していく主人公を見事に演じ、本作でアカデミー賞を受賞したトム・ハンクスの演技は圧巻です。

 

受賞歴

第66回アカデミー賞(1994年)

受賞 主演男優賞 トム・ハンクス

   主題歌賞 

ノミネート 脚本賞 ロン・ナイスワーナー

      メイクアップ賞

      主題歌賞

第44回ベルリン国際映画祭(1994年)

受賞 銀熊賞(最優秀男優賞) トム・ハンクス

 

第51回ゴールデングローブ賞(1994年)

受賞 最優秀主演男優賞 トム・ハンクス

   最優秀主題歌賞

ノミネート 最優秀脚本賞 ロン・ナイスワーナー

 

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「家族愛」を描いたオススメ法廷映画(7作品)

裁判では様々な真実が明かされていく分、対立が深まったり、逆に絆が深まったりと人間ドラマも濃くなります。法廷での出来事は家族関係に大きな影響を与えるものです。

今回はサスペンス、コメディ、実話など様々なジャンルから、弁護士や被告人が主人公の、裁判を通して家族愛が描かれる作品7つをご紹介します。

 

『ジャッジ 裁かれる判事』  “The Judge”

絶縁状態の弁護士親子が織りなすドラマチックな法廷劇

『ジャッジ 裁かれる判事』

あらすじ
母の葬儀のため久々に帰郷したヤリ手弁護士のハンク・パーマー。地元で長年判事を務め、人々の尊敬を集める父ジョセフとは折り合いが悪く、現在はほとんど絶縁状態。葬儀が終わり、早々に引き返そうとしていたハンクに思いも寄らぬ一報が入る。なんとジョセフが殺人の容疑で逮捕されたというのだ。ところがジョセフはハンクの弁護を拒絶してしまう。それでも、頑固に正義を貫いてきた父に限って殺人など犯すはずがないと確信していたハンクだったが…。(参照:https://www.allcinema.net/cinema/350687)

公開年

2015年

制作国

アメリカ

監督

デビッド・ドブキン

出演

ロバート・ダウニー・Jr、ロバート・デュヴァル
ヴェラ・ファーミガ、ヴィンセント・ドノフリオ
ジェレミー・ストロング他

興行収入

8440万ドル

おすすめポイント

本作は地元で長年信頼されてきた判事でありながら殺人の容疑者となった父と、その弁護を引き受けることになった絶縁状態の息子が、互いに確執と葛藤を抱えながら裁判に臨む様子を描いた法廷サスペンス。

敏腕弁護士でありながら「無実の人には私を雇う余裕はない」と豪語するほど実利主義者のハンクは、長年別居中であった父親ジョセフがひき逃げの容疑で逮捕されるかもしれないという事態に直面し、父親の弁護をすることになります。

頑固で厳格な父親とは犬猿の仲ですが、法廷で42年間も正義を貫いた父親が殺人を犯すはずがないと、最初は父の無実を確信していたハンク。しかし、法廷では予想外の真実が次々と浮上、

弁護の方針を巡り2人の対立は激化していきます。そんな中徐々に解き明かされていくのは、親子の関係を破綻させた過去の出来事と、ひき逃げ事件との意外な関連性。

ドラマチックな裁判劇を通して描かれるのは、同じ法曹界で仕事をしながらも相容れない不器用な親子が、裁判を通じて絆を取り戻していく過程です。それぞれの登場人物にストーリーがあり、最後には思わず涙してしまうこと間違いなしのヒューマンドラマです。

 

受賞歴

第87回アカデミー賞(2015年)

ノミネート 助演男優賞 ロバート・デュヴァル

 

第72回ゴールデングローブ賞(2015年)

ノミネート 最優秀助演男優賞 ロバート・デュヴァル

 

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『訴訟』  “CLASS ACTION”

弁護士親子の法廷ガチンコ勝負。父娘が見つける正義と愛

『訴訟』 

あらすじ
サンフランシスコを舞台に、裁判の場で被告、原告双方の弁護人として父娘が対決する法廷ドラマ。サンフランシスコの敏腕弁護士ジェドには、同じ道を進み今では男勝りの優秀な弁護士となった娘マギーがいた。マギーは、昔父が浮気をしたことを未だに許さず、二人の仲は冷え切ったままだった。そんなある日、ジェドは自動車事故で家族を失った男性が大企業アルゴ・モータースを訴えた訴訟で原告の弁護を引き受けた。一方、娘マギーは被告側の弁護人として法廷に立つのだが…(参照:https://www.allcinema.net/cinema/13233)

公開年

1991年

制作国

アメリカ

監督

マイケル・アプテッド

出演

ジーン・ハックマン、メアリー・エリザベス・マストラントニオ
コリン・フリールズ、ジョアンナ・マーリン他

興行収入

2828万ドル

おすすめポイント

自動車事故の裁判で被告、原告双方の弁護人として父娘が対決する法廷ドラマ。

ジェド・タッカー・ウォードは巨大企業や行政権力から社会的弱者を守ることに奔走し、市民から英雄視されてきた弁護士。今回は自動車事故で家族を失った男性のため、最大手の自動車会社アルゴを相手に訴訟を起こしますが、企業側が法廷に送り出してきた弁護士はなんと、娘のマギーでした。マギーは父と同じく弁護士の道を歩んできたものの、社会的名声とは裏腹に、仕事を理由に家庭を顧みず、女性関係で母親を悲しませてきた父親を嫌悪しています。

反目する父娘は法廷で対決することとなり激しくぶつかり合うのですが、仲の悪さを象徴しているかのように、二人の弁論スタイルが正反対。陪審員や傍聴人の正義感に訴えかけ、法廷から歓声が上がるほどの雄弁なスピーチを繰り出すジェドはさすがのベテラン感。一方、父への反感とキャリアアップへの欲望に駆り立てられるままにアルゴ社の弁護に奔走するマギーの、鋭く論理的な弁論もできる女感がありかっこいいです。

そして弁護士親子らしく法廷外でも激しい口論が続きます。辛辣な言葉を投げかけるマギーに対して、負けずらいな父親はつい感情的になり娘に反発してしまうのですが、本当は娘を大切に思っているということが滲み出ていて父の愛を感じます。

しっかりと裁判シーンもありながら、父と娘の確執、そして親子愛に焦点が当たった作品です。

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『ディア・ブラザー』  “CONVICTION”

兄の無罪は私が証明する。妹の18年間に及ぶ闘い

『ディア・ブラザー』  “CONVICTION”

あらすじ
貧乏な家庭で母親の愛を受けることなく育ったベティ・アンと兄のケニー。二人は幼いころから仲が良く、お互い身を寄せ合うようにして生きてきた。そんなある日、ケニーが女性殺害の容疑で逮捕されてしまう。ケニーは無実を訴えるが、裁判で罪が覆ることなく終身刑が言い渡される。判決が不服のベティ・アンだが、もはや弁護士を雇う余裕はなかった。自殺未遂を起こしたケニーを救うため、ベティ・アンは自らが弁護士となることを誓う。しかし、それは困難の始まりであった。(参照:https://www.allcinema.net/cinema/343107)

製作年

2010年

制作国

アメリカ

監督

トニー・ゴールドウィン

出演

ヒラリー・スワンク、サム・ロックウェル
ミニー・ドライヴァー、メリッサ・レオ
ピーター・ギャラガー他

興行収入

1110万ドル

おすすめポイント

兄の冤罪をはらすために弁護士資格を取り、18年かけて兄の無罪を勝ち取った女性ベティ・アン・ウォーターズの実話の物語。舞台は1983年、ボストン、貧乏な家庭で親の愛をうけることなく育った兄妹。兄は常に妹を愛し、守ってきました。そんな兄が殺人罪で収監された時、妹は自力で兄の無罪を証明するため高校卒業資格から取り直し弁護士になることを誓います。兄に対する愛情、無罪を信じる心、冤罪をはらすことにかける執念。そんなことを本当にやってのけた人がいるというだけで驚きです。

この時代冤罪は珍しいことではありませんでした。そして無実を証明できても失った18年という月日戻ってこないと考えるとなんとも恐ろしいです。

逆境の中で死力をつくして頑張り抜く妹の姿から、信じたことを諦めずに追求することの大切さを教えられました。死ぬ気で頑張ればなんでもできるという勇気を与えてくれます。

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『いとこのビニー』  “MY COUSIN VINNY”

従兄弟を助けようとする新米弁護士が奮闘する法廷コメディ

『いとこのビニー』

あらすじ
大学生のビル・ガンビーニと、スタン・ローゼンシュタインは、大陸横断の旅の途中で立ち寄った、アラバマ州ワーズ市のコンビニエンス・ストアの店員が殺害された事件の容疑者となり、困り果てたビルは、ニューヨークで弁護士をしている従兄のヴィニーに助けを求めた。キャデラックでフィアンセのモナ・リサを連れてワーズ市に駆けつけたヴィニーは、ビルとの再会を喜んだが、弁護士になったのは6週間前で法廷に立ったことがなく、司法試験に合格するまで6年間もかかったことを明かしビルをがっかりさせる。いよいよ開廷となるが、、。(参照:https://ameblo.jp/arcadiaaa/entry-12435779803.html)

公開年

1993年

制作国

アメリカ

監督

ジョナサン・リン

出演

ジョー・ペシ、ラルフ・マッチオ
マリサ・トメイ、ミッチェル・ホイットフィールド
フレッド・グウィン他

興行収入

6410万ドル

おすすめポイント

殺人容疑をかけられた従兄弟の冤罪を晴らすため、新米弁護士が奮闘する様子をコミカルに描き、マリサ・トメイがアカデミー助演女優賞を獲得した法廷コメディ。

頼りない弁護士のお間抜けなコメディの雰囲気と、法廷劇としての意外な真面目さの絶妙なバランスが秀逸。サスペンスとしての重要な伏線が前半にちゃんと組み込まれており単なるコメディ映画とは一線を画しています。

本作は、製作費11百万ドルと低予算作品ながら、法律の学位を持つジョナサン・リン監督が、実際の公判の口述を脚本に取り入れるなど裁判の正確な描写にこだわっただけあり、法廷劇としても評価の高い作品です。また自己主張を明確にするアメリカ社会の風潮もよく表現されています。時代を感じさせるど派手メイクやファッションも楽しめます。軽い気持ちで法廷映画を見たい方にはおすすめの作品です!

 

受賞歴

第65回アカデミー賞(1993年)

受賞 助演女優賞   マリサ・トメイ

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『父の祈りを』  “IN THE NAME OF THE FATHER”

獄中の親子。息子に対する父の愛は何よりも強かった!

 『父の祈りを』  “IN THE NAME OF THE FATHER”

あらすじ
1974年、北アイルランド。定職にも就かず遊んでいる青年ジェリー・コンロンは、IRAを挑発したために彼らから目をつけられてしまう。父ジュゼッペはほとぼりが冷めるまで、ジェリーをロンドンへ行かせることに。やがて、ロンドンから約50キロ離れたギルフォードで爆破テロ事件が発生。久々にアイルランドに帰ったジェリーは、爆破テロをIRAの犯行と考える警察に容疑者として逮捕され、父ジュゼッペも連行されてしまう。ジェリーは厳しい尋問の末に白紙の供述書に署名し、父子は同じ刑務所に投獄される。(参照:https://eiga.com/movie/46709/)

公開年

1994年

制作国

イギリス/アメリカ

監督

ジム・シェリダン

出演

ダニエル・デイ=ルイス、エマ・トンプソン
ピート・ポスルスウェイト、ジョン・リンチ

興行収入

6580万ドル

おすすめポイント

1970年代のロンドンで起きた実在の冤罪事件「ギルフォード・フォー事件」をもとに映画化した社会派ヒューマンドラマ。

多くの市民を巻き込んだ爆弾テロ事件の犯人として、いわれなき罪に問われ投獄された父ジュゼッペと息子ジェリー。獄中での気の遠くなるような歳月の中でそれまで定職にもつかず生きる目的もなかった息子と、刑務所でともに過ごし側で見守った父親の想いは想像すらできません。ジェリーは無実の罪での投獄にもかかわらず、カトリック教徒としての尊厳をもって生きる父親の姿を目の当たりにします。再審への長い戦いまでに父子は反発と和解を繰り返しながら絆を深め、息子ジェリーは生きることの真剣さに目覚めていくのでした。

英国の司法制度に真っ向から光を当てながら、父息子の自由を取り戻すための闘いと絆を丁寧に描いた本作。刑務所に入っても決して諦めず、あくまで無実の人間として振る舞う父親の人間としての、強さ、尊さに涙が止まりません。失われた15年は決して戻ることはありません。ただ、ただ、息子を信じ、一心に支えてくれた父に祈りを。

 

受賞歴

第66回アカデミー賞(1994年)

ノミネート 作品賞

      監督賞 ジム・シェリダン

      主演男優賞 ダニエル・デイ=ルイス

      助演男優賞 ピート・ポスルスウェイト

       助演女優賞  エマ・トンプソン

       脚色賞 テリー・ジョージ / ジム・シェリダン

       編集賞 ジェリー・ハンブリング

第44回ベルリン国際映画祭(1994年)

受賞 金熊賞 ジム・シェリダン

第51回ゴールデングローブ賞(1994年)

ノミネート 最優秀作品賞

      最優秀主演男優賞 ダニエル・デイ=ルイス

      最優秀助演女優賞 エマ・トンプソン

      最優秀主題歌賞

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『ブレスレット鏡の中の私』  “THE GIRL WITH A BRACELET”

16歳の少女リーズは親友を殺したのか?淡々と進むフランスの法廷劇

『ブレスレット鏡の中の私』

あらすじ
16歳の少女リーズは親友のフローラを殺した罪に問われて裁判にかけられるが、無罪を主張。彼女の両親も当然ながら我が子の無実を信じ、何度も法廷に立つ。しかし裁判が進むにつれ、友人たちの証言から両親も知らなかったリーズの交友関係や私生活が明らかになっていき、フローラとの間にも確執があったことが疑われる。自分たちの知らない娘の一面に両親も思い悩むある日、自宅のガレージで事件の凶器と思われるナイフが見つかり……。(参照:https://eiga.com/movie/93503/)

公開年

2020年

制作国

フランス/ベルギー

監督

ステファヌ・ドゥムースティエ

出演

ロシュディ・ゼム、キアラ・マストロヤンニ
アナイス・ドゥムースティエ、メリッサ・ゲルス
キアラ・マストロヤンニ他

興行収入

6億8400万ドル

おすすめポイント

被害者の親友だった16歳の少女が被告人となった殺人事件の裁判を通して次第に浮かび上がってくる多感な少女たちの心の内と、娘の知られざる一面に動揺する両親の葛藤を描いた作品。これは法廷映画でもありますが人間の心理描写に重きをおいたドラマです。

16才という不機嫌な危うさを持った多感な少女と両親の心の乖離。裁判が進むにつれリーズという少女がどういう人間なのかわからなくなります。どこか他人事のような穏やかな様子も恐ろしい。両親も娘は当然無罪だという思いで裁判に臨みますが、親の知らない娘の一面が次々に明らかにされ戸惑いを隠せません。

リーズの言っていることは真実なのか、嘘なのか。人間の心理の複雑さが描かれています。両親が娘を理解していない描写、そして弁護人が16才とはそんなものと理解しているところも絶妙なリアリティがあります。

アメリカの派手な法廷サスペンスとは違うフランスならではの淡々とした描写が見るものに次々と疑問を投げかけます。はたしてリーズは無実なのか?そしてブレスレットの意味することとは?

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『ライアーライアー』  “LIAR LIAR”

ジム・キャリーの変顔炸裂!嘘をつけないってつらい!

『ライアーライアー』

あらすじ
フレッチャーは一流の弁護士だが、それは得意な“嘘”のおかげ。どんな依頼でも、その口先で無罪を勝ち取ってしまうのだ。そんな彼は私生活でも、別れた妻に引き取られた息子マックスとの面会日をすっぽかす始末だった。ところが誕生日のパーティをすっぽかされたマックスが、パパが嘘をつきませんようにとお願いすると奇蹟が起きる。フレッチャーは絶対に嘘をつけないようになってしまったのだ。しかし彼には大事な裁判があって……。(参照:https://www.allcinema.net/cinema/54734)

公開年

1997年

制作国

アメリカ

監督

トム・シャドヤック

出演

ジム・キャリー、モーラ・ティアニー
ジャスティン・クーパー、ジェニファー・ティリー
ケイリー・エルウィズ他

興行収入

3億200万ドル

おすすめポイント

ジム・キャリーの魅力炸裂のハートウォーミングコメディ。

口八丁手八丁の嘘で次々に勝訴するやり手弁護士フレッチャー。そんな父にがっかりした幼い息子は「たった1日だけでいい、パパが嘘をつきませんように……」という願い事をします。すると不思議なことに、翌朝からフレッチャーは嘘が全くつけない男になってしまうのです。

嘘をつかないことにより本当の自分に気づく主人公。何かを失い代わりに大切なものを手に入れるというおとぎ話です。嘘つきの主人公も息子を思う気持ちには嘘偽りがなく息子もお父さんが大好き。そんな一番大切な真実にほっこり幸せな気持ちにさせられます。

嘘ばかりでごまかしていた人間が嘘をつけなくなる様子をジム・キャリーが演じるとほんとうに面白くて笑えます。ジム・キャリーならではのユーモアが存分に発揮され、笑ったり涙を流したり心から楽しめる非常に出来の良い作品です。元気になりたい人は必見の映画です!

 

受賞歴

第55回ゴールデングローブ賞(1998年)

ノミネート 最優秀主演男優賞 ジム・キャリー

 

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「伝記」を描いたオススメ法廷映画(6作品)

歴史に残る裁判や法曹界を変えたレジェンド的弁護士など、裁判にまつわるドラマチックな実話は多く存在します。今回は被告、原告、弁護人、さらには裁判を傍聴した哲学者など、実在の人物に焦点を当てた裁判映画を6作品紹介します!

 

『シカゴ7裁判』  “THE TRIAL OF THE CHICAGO 7”

反戦運動で起訴された活動家7人を待ち受ける理不尽な裁判

『シカゴ7裁判』  “THE TRIAL OF THE CHICAGO 7”

あらすじ
1968年、アメリカ・シカゴの民主党全国大会。当初の予定では平和的に行われるはずだったベトナム反戦デモは次第に激化し、警察との衝突に発展してしまう。7人のデモ主催者は、暴動の責任を問われ逮捕・起訴されることに。そして、歴史に悪名を轟かせる理不尽な裁判が始まる。(参照:https://www.cinematoday.jp/page/A0007774)

公開年

2020年

制作国

アメリカ

監督

アーロン・ソーキン

出演

エディ・レッドメイン、サシャ・バロン・コーエン
ヤーヤ・アブドゥル=マティーン二世、ジョセフ・ゴードン=レヴィット
マイケル・キートン、マーク・ライランス他

興行収入

11.57万ドル

おすすめポイント

1968年、シカゴでベトナム戦争に反対する大規模なデモが行われ、警官隊と衝突する事態に発展、その首謀者とされたシカゴ・セブンと呼ばれる7人の男が逮捕・国から起訴されます。本作はそんなシカゴ7裁判の様子を実話に基づいて描いた人間ドラマです。

彼らを待ち受けていたのは歴史に名を残す卑怯極まりない裁判。国を敵に回した彼らは圧倒的不利な立場に置かれ、裁判では陪審員の買収や盗聴、人種差別的措置が横行します。それでも妨害に屈することなく自らの信念を貫く男たちの気概に圧倒されます。

また本作では裁判の進行と共に発展する人間模様が大きな見所。被告人である7人はそれぞれ別のグループに属していたため、立場や考え方、裁判に対する姿勢も異なります。不当な裁判に苛立ちながら互いに意見をぶつけ合うシーンは裁判所での駆け引き以上に引き込まれます。

法廷での動きのないシーンが大半であるにも関わらず、テンポの良い展開やウィットに富んだセリフ、人間味あふれるキャラクターのおかげか、見応えたっぷりで全く飽きずに見ることができます。

警察による暴力や人種差別、法の正義など現代の問題にダイレクトに繋がる要素が満載の本作。当時の歴史的背景を学んでからもう一度見直したいと思える作品です。

 

受賞歴

第93回 アカデミー賞(2021年)

ノミネート 作品賞

      助演男優賞  サシャ・バロン・コーエン

      脚本賞 アーロン・ソーキン

      撮影賞 フェドン・パパマイケル

      編集賞 アラン・ボームガーデン

         主題歌賞

 

第78回ゴールデングローブ賞(2021年)

受賞 最優秀脚本賞 アーロン・ソーキン

ノミネート 最優秀作品賞( ドラマ)

         最優秀助演男優賞   サシャ・バロン・コーエン

         最優秀監督賞 アーロン・ソーキン

      最優秀主題歌賞 

 

  Netflixで『シカゴ7裁判』を見る  

 

『ビリーブ 未来への大逆転』  “ON THE BASIS OF SEX”

史上初「男女平等裁判」に挑んだスーパー女性弁護士の逆転劇

『ビリーブ 未来への大逆転』  “ON THE BASIS OF SEX”

あらすじ
貧しいユダヤ人家庭に生まれたルース・ギンズバーグ。名門ハーバード大学法科大学院に入学した彼女だったが、同じ大学に通う夫マーティンがガンを患い、学業に加え夫の看病に幼い娘の育児にと多忙な日々を送る。2年後、全快したマーティンがニューヨークの法律事務所で働き始めたため、ルースはコロンビア大学に編入する。やがて首席で卒業するルースだったが、女性というだけでどの法律事務所も彼女を採用しようとはせず、やむなく大学教授として働き始める。それでも弁護士への夢を諦めないルースは、マーティンからある訴訟記録を見せられると、世の中を変える裁判になると確信、自ら弁護を買って出るのだったが…。(参照:https://www.allcinema.net/cinema/366590)

公開年

2019年

制作国

アメリカ

監督

ミミ・レダー

出演

フェリシティ・ジョーンズ、アーミー・ハマー
ジャスティン・セロー、ジャック・レイナー
ケイリー・スピーニー他

興行収入

3880万ドル

おすすめポイント

本作は1993年女性として2人目の合衆国最高裁判事に指名され、アメリカ中から尊敬を集める女性判事ルース・ベイダー・ギンズバーグの若き日の物語を描いた伝記ドラマです。

舞台は人種や性別による有形無形の差別が根強く残っていた1970年代のアメリカ、弁護士を目指すルース・ギンズバーグは名門ハーバード大学のロースクールに入学し、家事、育児、病に倒れた夫マーティンの看病をこなしながら必死で勉学に勤しみ、編入先のコロンビア大学を主席で卒業します。しかし、女性であるという理由から彼女は弁護士になる夢を閉ざされ、止む無く大学教授に就任するのでした。そんな時、ある判例がきっかけとなり、ルースは100%勝ち目がないと言われた史上初の“男女平等裁判”に挑むことになります。

弁護士の夢を閉ざされた時、「次の世代に変革のための戦い方を教えるんだ」という夫の励ましに対する、「自分が変化のために戦う人になりたかった」というルースの言葉から、彼女が男女平等やマイノリティの権利の実現にそれだけ熱意を持っていたかということが伺えます。本作は不屈の闘いに挑んだ一人の女性の物語であり、また、生涯に渡って彼女を愛し支え続けた夫マーティンとの絆の物語でもあります。

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『ハンナ・アーレント』  “Hannah Arendt”

ユダヤ人哲学者が暴き出したアイヒマンの姿とは!?「凡庸な悪」はいかにして生まれたのか

『ハンナ・アーレント』  “Hannah Arendt”

あらすじ
ドイツに生まれ、ナチス政権による迫害を逃れてアメリカへ亡命したユダヤ人の女性哲学者ハンナ・アーレントを描いた歴史ドラマ。1960年代初頭、ハンナ・アーレントは元ナチス高官アドルフ・アイヒマンの裁判の傍聴記事を執筆・発表するが、記事は大論争を巻き起こし、アーレントも激しいバッシングを受けてしまう。その顛末を通して絶対悪とは何か、考える力とは何かを問うとともに、アーレントの強い信念を描きだしていく。(参照:https://eiga.com/movie/77521/)

公開年

2013年

制作国

ドイツ

監督

マルガレーテ・フォン・トロッタ

出演

バルバラ・スコヴァ、アクセル・ミルベルク
ジャネット・マクティア、ウルリッヒ・ノエデン
マイケル・デゲン他

興行収入

ドル

おすすめポイント

本作は1960年エルサレムで行われたナチスの指導者アドルフ・アイヒマンの裁判傍聴を通じ、哲学者としての持論を展開、世間から激しいバッシングを受けたユダヤ人学者ハンナ・アーレントの波乱の人生を描いた伝記ドラマ。

アイヒマン裁判を傍聴したアーレントは想像していなかったアイヒマン像に戸惑いながらも、彼の犯した恐ろしい行為に対し「全体主義の最終段階で絶対的な悪が現れる」という持論を展開し、『悪の凡庸さ』という言葉を生み出します。しかし、ホロコーストに関わった人間は非道な絶対的悪であり、人として許してはならないという風潮の中で、彼女のアイヒマンを擁護するかのような論調は世間から糾弾されることに。同胞であるユダヤ人から猛烈な非難を浴び孤立しながらも、彼女は絶えず思考し、自らの信念を訴え続けます。

自身も強制収容所に収監された経験を持ちながらも、「残虐な出来事を理解しようとすることと許すことは全く別のことである」という視点に至るアーレントの思考の深さに圧倒されるとともに、思考を停止した凡庸な人間が流された末の悪が最も残虐であるという教訓は、現代にこそ問われるべき教訓であると感じさせられます。

全編を通して哲学的要素と、知性と人間性溢れる思考の数々が描かれており、特にアーレントが自らの難解な哲学を授業で紐解く最後のシーンは印象的。また、作中に挟み込まれるアイヒマン裁判の実際の映像も本作の見所です。

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『弁護人』  “THE ATTORNEY”

後に韓国大統領となった廬武鉉の弁護士時代の活躍を描く社会派ドラマ

『弁護人』  “THE ATTORNEY”

あらすじ
高卒ながら猛勉強の末に司法試験に合格し判事となったソン・ウソク。しかし学歴もコネもなく、横行する差別の前に出世の道は閉ざされ、やむなく弁護士に転身した彼は、未開拓の分野である不動産登記業務に目を付け、大金を荒稼ぎする。そんなある日、なじみの食堂の息子ジヌが突然公安当局に逮捕され、相談を受けたウソクがようやく拘置先を突き止め面会してみると、ジヌの身体に無数のアザを発見する。衝撃を受けたウソクは、国家を相手にジヌの冤罪を晴らすべく、彼の弁護を引き受けるのだったが…。(参照:https://www.allcinema.net/cinema/356510)

公開年

2016年

制作国

韓国

監督

ヤン・ウソク

出演

ソン・ガンホ、キム・ヨンエ、イム・シワン
オ・ダルス、イム・シワン他

興行収入

7410万ドル

おすすめポイント

後に韓国大統領となった盧武鉉の弁護士時代の実話を映画化し韓国で観客動員1100万人を突破する大ヒットを記録した社会派ドラマ。

必ずしも正義が勝つわけではないことを知りながらも、国家の横暴を暴くため最後まで諦めずに、たった一人で巨大な権力に立ち向かう主人公の姿に胸が熱くなります。

冤罪はどの国にも少なからず存在するかもしれませんが、検察、裁判所、軍隊など組織ぐるみでの隠ぺいとは実話だけに恐ろしいです。当時の韓国政府の恐ろしさを映画化して描き切れる制作スタッフに称賛を送りたいです。映画を通して世界を変えようとする心意気に感動します。

中盤からラストにかけて手に汗にぎる展開で、実話ということもあり見るのがつらい場面もありますがこれは知っておくべき歴史です。

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『コネクション マフィアたちの法廷』  “FIND ME GUILTY”

ニュージャージーの悪名高いマフィアの男が自分で自分を弁護する?!実録マフィア法廷もの

『コネクション マフィアたちの法廷』  “FIND ME GUILTY”

あらすじ
ニュージャージーで悪名高いルッケーゼ・ファミリーの一員、ジャコモ・“ジャッキー・ディー”・ディノーシオ。ある日、麻薬取引の現場を押さえられ、30年の刑を受ける。その後、検察から仲間の犯罪を証言すれば刑期を短くししてやると持ちかけられるが、ファミリーへの忠誠を誓うジャッキーはこれをきっぱりと拒否。しかも、自分の弁護を自分で行うという大胆不敵な行動に出るのだが…。(参照:https://www.allcinema.net/cinema/341503)

公開年

2012年

制作国

アメリカ

監督

シドニー・ルメット

出演

ヴィン・ディーゼル、ピーター・ディンクレイジ
ライナス・ローチ、ロン・シルヴァー
アナベラ・シオラ他

興行収入

260万ドル

おすすめポイント

アメリカを代表するマフィアの一つ“ルッケーゼ一家”を相手に行われたアメリカ犯罪史に残る実在の裁判を基に、被告人でありながら自らの弁護に立つというジャッキー・ディノーシオの型破りな法廷戦略の行方を描く異色の法廷ドラマ。

硬派社会派シドニー・ルメット監督による実録マフィア法廷ものというとどれほど重い内容なのかと思ってしまいますが、意外にも軽快でユーモラスでさえある印象です。

裁かれるマフィアの視点で見ると登場人物の人間臭さと誠実さに共感してしまいます。

素人でありながら自分で自分の弁護をすることとなったジャッキーが、有能な検察官とやりあえるわけもないと思いきや、人間的愛嬌と鋭い直観で陪審員たちの心をつかんでいく様子に引き込まれます。そして、それを裁く裁判長が厳しくも柔軟で、情け深い公平な人物として描かれているのも魅力的です。

実際の裁判記録からセリフなどを脚本に落とし込んでいるというだけあって、リアリティもあり最後まで時間を忘れて楽しめる作品です。

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『ラリー・フリント』  “THE PEOPLE VS. LARRY FLYNT​​”

雑誌「ハスラー」の創刊者ラリー・フリントの自由を獲得するための戦い

『ラリー・フリント』  “THE PEOPLE VS. LARRY FLYNT​​”

あらすじ
過激なポルノ雑誌“ハスラー”を創刊した男、ラリー・フリント。本作は、社会と戦い続けた彼の姿を「アマデウス」のミロシュ・フォアマン監督が映画化したものである。70年代のアメリカ。フリントは、自分がオーナーをつとめるストリップ・クラブの客寄せのため、ヌード写真入りの新聞を発行した。この成功に目をつけた彼は、出版社を設立し、“ハスラー”を創刊。巨万の富を得るフリントだったが、その過激な内容に良識派からの非難を受け、それはやがて裁判沙汰へと発展していく……。(参照:https://www.allcinema.net/cinema/54866)

公開年

1997年

制作国

アメリカ

監督

ミロス・フォアマン

出演

ウディ・ハレルソン、コートニー・ラヴ
エドワード・ノートン、ブレッド・ハレルソン
ドナ・ハノーヴァー他

興行収入

4300万ドル

おすすめポイント

ポルノ雑誌で巨万の富を得たラリー・フリントの伝記映画。

ポルノを通して発言の自由を主張するのは一見馬鹿馬鹿しく思えますが彼の破天荒な半生がそのまま描かれています。こうした役柄が似合うウディ・ハレルソンの演技もピカイチ。また成功するにつれて敵も増え訴訟が絶えないラリーの弁護士を演じるエドワード・ノートンの名演も光ります。

フリントは米国では言論の自由の象徴とされていますが、彼の主張は自由を規制する社会はよくない、女性の裸は猥褻なのか、そもそも自由とは何なのかいうことを問うています。自由を主張するため大きな犠牲を払った彼ですが、妻アリシアはいかなる苦難の時も彼を支えます。そしてエイズによりこの世を去ります。本作は、愛の喪失と痛みを描いたラブストーリーでもあるのです。

 

受賞歴

第69回アカデミー賞(1997年)

ノミネート 監督賞 ミロス・フォアマン

      主演男優賞 ウッディ・ハレルソン

第47回ベルリン国際映画祭(1997年)

受賞 金熊賞 ミロス・フォアマン

第54回ゴールデングローブ賞(1997年)

受賞 最優秀監督賞 ミロス・フォアマン

   最優秀脚本賞 スコット・アレクサンダー

ノミネート 最優秀作品賞

      最優秀主演男優賞 ウッディ・ハレルソン

      最優秀主演女優賞 コートニー・ラブ

 

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「社会問題」を描いたオススメ法廷映画(4作品)

社会問題を取り上げる映画は多く存在しますが、法廷ものでは対立する人々の主張が明確に描かれ、裁判での議論を通してより深く問題に切り込んでいるのが特徴です。今回は裁判を通して民族間対立や銃社会、死刑制度など様々な社会問題を描く作品4つをご紹介します。

 

『12人の怒れる男』  “12”

鍵を握るのはおじさんたちの自分語り!?人を裁くとはどういうことなのか

『12人の怒れる男』

あらすじ
ロシアのとある裁判所で世間の耳目を集めたひとつの殺人事件が裁かれていた。被告人はチェチェンの少年。養父であるロシア軍将校を殺害した罪に問われ、検察は最高刑に当たる終身刑を求刑。3日間の審理も終わり、残すは12人の陪審員による評決を待つばかりとなる。いくつもの状況証拠から、有罪は誰の目にも明らかと思われた。陪審員たちの中にも簡単に済ませてしまおうとの空気が流れ、直ちに挙手による投票が行われた。ところが、11人が有罪に手を挙げる中、ただひとり、陪審員1番の男だけが遠慮気味に無罪に1票を投じる。有罪票を投じた男たちは、陪審員1番の思いがけない行動に不快感を露わにするが…。(参照:https://www.allcinema.net/cinema/329922)

公開年

2008年

制作国

ロシア

監督

ニキータ・ミハルコフ

出演

セルゲイ・マコヴェツキー、ニキータ・ミハルコフ
セルゲイ・ガルマッシュ、ヴァレンティン・ガフト

興行収入

750万ドル

おすすめポイント

レジナルド・ローズ監督による不朽の名作『12人の怒れる男』(1957)をロシアの名匠ニキータ・ミハルコフ監督が現代ロシアに置き換えてリメイクした緊迫の法廷ヒューマン・サスペンス。

チェチェン戦争で両親を失った青年が、ロシア軍将校である継父を殺害した罪で裁判にかけられ、青年の最終的な運命は人種差別や偏見で分断された12人の陪審員たちに委ねられることとなります。陪審員たちは、人種差別主義者のタクシー運転手、疑い深い医師、優柔不断なテレビプロデューサー、ホロコーストの生存者、ミュージシャン、墓地の管理人など。陪審員12人中11人が彼の有罪を支持する中、たった1人だけが反論を試みたことからストーリーが展開していきます。

当初は陪審員の誰もが早く終わらせてしまおうという空気感でしたが、次第に議論は白熱していき、それぞれの心情が変化する中で様々な駆け引きが行われます。本題から脱線した自分語りを繰り広げるおじさんたちの議論からは、現代ロシアの社会問題やロシアの人々が抱く鬱屈さを感じられます。

一つの部屋の中で延々と議論が繰り広げられる本作。舞台である体育館は暗く、物語は冷たい雰囲気の中進んでいきます。様々な視点から一人の少年の無実を証明していくというなかなかシリアスな内容で、代わり映えのない映像にも関わらず、想像力を刺激され不思議と引き込まれ、ラストまで飽きることなく見れる作品です。

 

受賞歴

第80回アカデミー賞(2008年)

ノミネート 外国作品賞

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『判決、ふたつの希望』  “L’INSULTE THE INSULT”

宗教的対立を巡る裁判。彼らはなぜ謝罪に固執するのか

『判決、ふたつの希望』

あらすじ
レバノンの首都ベイルート。パレスチナ難民でイスラム教徒のヤーセルは現場監督として住宅の補修作業にあたっていた。するとアパートの住人でキリスト教徒のトニーとトラブルになってしまう。翌日、ヤーセルは上司に伴われ、トニーのもとへと謝罪に赴く。神妙なヤーセルだったが、トニーの放ったある一言に感情を抑えられず、思わず手を上げてしまう。ついに2人の対立は法廷へと持ち込まれるが、弁護士同士の激論は火に油を注ぐ結果に。そこにメディアが飛びつき、事態はトニーとヤーセルの思惑を超えてレバノン全土を巻き込んだ巨大な政治問題へと発展してしまうだったが…。(参照:https://www.allcinema.net/cinema/363477)

公開年

2018年

制作国

レバノン・フランス

監督

ジアド・ドゥエイリ

出演

アデル・カラム、カメル・エム・バシャ
カミーユ・サラメ、リタ・ハイエク
クリススティーヌ・シェーイリ他

興行収入

160万ドル

おすすめポイント

レバノン作品として初めてアカデミー賞にノミネートされた、人間ドラマとサスペンスが融合した法廷社会派映画。

レバノンの首都ベイルート。自動車修理工事を営むレバノン人でキリスト教徒のトニーと住宅補修の現場で働くパレスチナ難民でイスラム教徒のヤンセル。二人はアパートの水漏れを巡り口論を始めますが、ある侮辱的な言動をきっかけに対立は法廷へ持ち込まれ、やがて国中を巻き込むパレスチナ難民や宗教を巡る論争へと発展していきます。

謝れば許してやると訴える男と、頑なに謝らない男。過去に傷を負う2人が「謝罪」に固執する姿からは、戦争が終わっても個人の記憶や想いは全く終わっていないという現実が浮かび上がります。

映画を見終わった後「ただ、謝罪だけが欲しかった」というキャッチフレーズの意味を考えさせられます。

全体の40%が法廷シーンで構成される本作。法廷劇特有の緊張感が続きます。その中で対立する主人公の間で交わされる沈黙や視線は、言葉以上のものを語っているようです。

本作は一つの裁判を通して、どの国にも起こりうる普遍的な問題を描き、人と人の尊厳を訴えます。民族的、宗教的な対立に基づく古くからの敵対関係を抱えるレバノンの状況やその背景となる内戦の歴史をしっかりと学んでから見たい映画です。

 

受賞歴

第90回アカデミー賞(2018年)

ノミネート 外国語映画賞

第74回ベネチア国際映画祭(2017年)

受賞 ボルピ杯(最優秀男優賞)   カメル・エム・バシャ

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『ニューオーリンズ・トライアル』  “RUNAWAY JURY”

緊迫のリーガル・サスペンス。ジーン・ハックマンとダスティン・ホフマンの初共演作

『ニューオーリンズ・トライアル』  “RUNAWAY JURY”

あらすじ
ある朝、ニューオーリンズの証券会社で銃乱射事件が発生。犯人は16人を死傷させ、最後には自殺した。そして、この事件で夫を失った女性セレステが地元のベテラン弁護士ローアを雇って、犯人の使用した銃の製造メーカー、ヴィックスバーグ社を相手に民事訴訟を起こす。2年後、いよいよ裁判が始まろうとしていた。被告側は、会社の存亡に関わるこの裁判に伝説の陪審コンサルタント、フィッチを雇い入れる。彼は早速あらゆる手段を駆使し陪審員候補者の選別に取り掛かる。やがて陪審員団が決定するが、その中には謎に包まれた男ニックも含まれていた。(参照:https://www.allcinema.net/cinema/318914)

公開年

2004年

制作国

アメリカ

監督

ゲイリー・フレダー

出演

ジョン・キューザック、ジーン・ハックマン
ダスティン・ホフマン、レイチェル・ワイズ
ブルース・デイヴィソン他

興行収入

8020万ドル

おすすめポイント

ニューオーリンズの銃乱射事件の被害者家族が弁護士とともに銃器製造会社を相手に訴訟を起こすリーガル・サスペンス。

本作品はベストセラー作家ジョン・グリシャム原作。そしてジーン・ハックマンとダスティン・ホフマンの記念すべき初共演作品とくればそれだけでも見逃すわけにはいきません。

ひとつの民事訴訟を巡って繰り広げられる法廷外バトルをテンポよくかつスリリングに描く本作。陪審員をめぐる駆け引きに焦点を当てた巧妙なプロットで、最後の最後までラストが読めない上質の法廷サスペンスです。裁判=正義ではなく裁判=多数になってしまっていいのかという疑問もわいてきます。

また、ドラマとして人間の痛みに触れてくるグリシャムの暖かさを感じるストーリーにもなっています。銃社会アメリカにおいて銃とは護身のために必要という事情はあるとしても、やはり敵対、憎しみの感情と切り離せないものなのだと痛感させる作品です。

 

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『羊飼いと屠殺者』  “SHEPHERDS AND BUTCHERS”

重く重くひたすら重い。でも目をそらしてはいけない。

『羊飼いと屠殺者』  “SHEPHERDS AND BUTCHERS”

あらすじ
南アフリカで死刑囚房看守の青年が7人を射殺。絞首刑の立ち合いという過酷な任務を強いられてきた若者の心神状態とは。熱意ある弁護士が真相の究明に動き出す。(参照:https://www.netflix.com/title/80117684)

公開年

2016年

制作国

南アフリカ

監督

オリヴァー・シュミッツ

出演

スティーブ・クーガン、アンドレア・ライズボロー
ガリオン・ダウズ、ロバート・ホッブス他

おすすめポイント

物語の舞台は1987年、ネルソン・マンデラが大統領になる前の南アフリカ。死刑執行制度はマンデラ大統領によって撤廃されますが、これはそれ以前に起きた実話がベースとなっています。

死刑囚房看守として処刑執行人を任ぜられた青年が、7人を銃殺してしまうという凄惨な事件が起こります。本作はその青年の弁護士の視点で展開される物語。弁護士は日常的に死刑執行に立ち会っていた看守の精神状態に着目します。看守は死刑囚の日常生活の世話をする立場でありながら死刑執行にも日々立ち会い続けるという過酷な任務を強いられ心を蝕まれていきます。ですが、淡々と真実を追求する弁護士に青年に対する過剰な同情心はありません。

死刑執行という重いテーマに重ね、アパルトヘイト隔離政策の真っただ中の南アフリカでの差別という状況もあり、考えても考えても答えの出ない問題が提議されています。

「羊飼いと精肉屋は一緒にはできない」という弁護士の言葉が何日も心に残ります。見るのに体力が必要ですが、一見の価値がある作品です。

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「ミステリー・サスペンス」を描いたオススメ法廷映画(6作品)

法廷映画といえば先の読めない展開やどんでん返しが醍醐味ですよね。今回はその中でもミステリーやサスペンス要素の強いおすすめの作品を6つご紹介します!話が進むにつれて明らかになる事件の全貌や意外な真相に振り回されること間違いなし!推理が得意な方は結末を予想しながら見るとより楽しめるかもしれません。

 

『真実の行方』  “Primal Fear”

エドワード・ノートンの強烈な演技が光る!あなたもきっと騙される傑作法廷サスペンス

      「ミステリー・サスペンス」を描いたオススメ映画(6作品)  法廷映画といえば先の読めない展開やどんでん返しが醍醐味ですよね。今回はその中でもミステリーやサスペンス要素の強いおすすめの作品を6つご紹介します!話が進むにつれて明らかになる事件の全貌や意外な真相に振り回されること間違いなし!推理が得意な方は結末を予想しながら見るとより楽しめるかもしれません。     『真実の行方』  “Primal Fear”

あらすじ
大司教惨殺事件で逮捕されたのは、彼の侍者のアーロンという青年だった。売名家と呼ばれている弁護士マーティンは、事件の話題性から無償での弁護を申し出た。あどけないアーロンの表情を使ったマーティンの作戦も、明らかにされていく宅地開発に絡む大司教への恨みや“悪魔払い”の名のもとにビデオに収められた醜聞も、元恋人の検事ジャネットによって次々と提出される物的証拠の前にはなす術が無かった。そんな時、アーロンの精神分析を担当したアーリントン女医がつかんだ事実とは……。(参照:https://www.allcinema.net/cinema/51437)

公開年

1996年

制作国

アメリカ

監督

グレゴリー・ホブリット

出演

リチャード・ギア、ローラ・リニー
ジョン・マホーニー、アルフレ・ウッダート
フランシス・マクドーマンド他

興行収入

1.02億ドル

おすすめポイント

全米ベストセラーミステリーを映画化した正統派法廷サスペンス映画。

シカゴの大司教が殺害された事件で19歳の青年アーロン・スタンプラーに容疑がかけられ、世間の注目を集める中、敏腕弁護士マーティン・ベイルはマスコミの脚光を浴びたいがためにアーロンの弁護を無償で引き受けます。ベイルは内気な性格のアーロンと面会する中で依頼人が本当に無実であると信じるようになりますが、不利な証拠が多数存在する上、連邦検事はこの事件で第一級殺人の有罪判決と死刑を望んでおり、裁判は弁護側にとって順調に進みません。

そんな中、アーロンの不幸な子供時代や大司教の本性など様々な真実が浮かび上がります。クライマックスでは、ベイルはアーロンを証人席に立たせ法廷で勝負を仕掛けますが….。

一級品の法廷サスペンスと称賛される本作。思わず「やられた」と思ってしまうような衝撃的なラストが待ち受けます。

また何といっても圧巻は、デビュー作とは思えない程強烈に存在感を放っていてたエドワード・ノートンの怪演。二転三転するプロットとその演技に翻弄されること間違いありません。

法廷映画ならではの予期せぬ状況が次々と畳み掛けてくるため、「真実の行方」に惑わされながら前半と後半で違った面白さを味わえます!

 

受賞歴

第69回アカデミー賞(1997年)

ノミネート 助演男優賞 エドワード・ノートン

第54回ゴールデングローブ賞(1997年)

受賞 最優秀助演男優賞 エドワード・ノートン

 

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『情婦』  “WITNESS FOR THE PROSECUTION”

「情婦」ってそういうことか!どんでん返しの決定版法廷ミステリー

『情婦』  “WITNESS FOR THE PROSECUTION”

あらすじ
金持ちの未亡人を殺した容疑をかけられたレナードは、老齢ながらロンドンきっての敏腕弁護士ロバーツに弁護を依頼。だが“検察側の証人”として法廷に立ったレナードの妻クリスティーネから、思いもかけない証言が発せられた……。(参照:https://www.allcinema.net/cinema/10814)

公開年

1958年

制作国

アメリカ

監督

ビリー・ワイルダー

出演

タイロン・パワー、マレーネ・ディートリッヒ
チャールズ・ロートン、エルザ・ランチェスター
トリン・サッチャー他

おすすめポイント

アガサ・クリスティの短編小説「検察側の証人」の映画化したネタバレ厳禁の法廷ミステリー。

妻と二人で慎ましく暮らすレナードヴォールはお金持ちの未亡人殺しの容疑をかけられます。彼の弁護を引き受けたのはかつて凄腕の弁護士として名を馳せたベテラン弁護士ウィルフリッド。陪審員全員がレナードが犯人だと信じている中、唯一の見方であるはずの妻クリスティーネが検察側の証人として証言台に立ちアリバイを否定、レナードは窮地に追い込まれます。

ここから物語は二転三転し、最後にはウィルフリッドさえも予想しなかった陰謀が明らされ衝撃の結末をむかえます。

本作の魅力はしっかりと作り込まれた脚本と一人一人丁寧に描かれた登場人物たち。役者の雰囲気もそれぞれの役にぴったりです。特に病気を患い女性看護師に叱られる頼りないおじいちゃんから、法廷に立った瞬間に超有能な弁護士へと変貌するウィルフリッドのキャラが立ちます。

ミステリーの女王アガサ・クリスティと「映画の8割は脚本で決まる」という名言を残した監督ビリー・ワイルダーの見事な手腕に驚かされます。

60年以上前の古典映画でありながら、ミステリー通に高く評価され続けるどんでん返しの決定版的法廷ミステリー作品です!

 

受賞歴

第30回アカデミー賞(1958年)

ノミネート 作品賞

      監督賞 ビリー・ワイルダー

      男優賞 チャールズ・ロートン

      助演女優賞 エルザ・ランチェスター

      編集賞 ダニエル・マンデル

      音響録音賞

第15回ゴールデングローブ賞(1958年)

受賞 最優秀助演女優賞 エルザ・ランチェスター

ノミネート 最優秀作品賞

      最優秀主演男優賞 チャールズ・ロートン

      最優秀主演女優賞 マレーネ・ディートリッヒ

      最優秀監督賞 ビリー・ワイルダー

 

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『砂上の法廷』  “THE WHOLE TRUTH”

無言の被告人に隠された秘密とは?嘘が積み重ねられる裁判の行方は?

『砂上の法廷』  “THE WHOLE TRUTH"

あらすじ
莫大な資産を持つ大物弁護士が自宅で殺害され、17歳の息子が容疑者として逮捕された。少年は完全黙秘を続け、敏腕弁護士ラムゼイが少年の弁護を引き受けることに。法廷でも何も語らない少年をよそに、多くの証人たちが少年の有罪を裏付ける証言を重ねていく。やがてラムゼイが、証言のわずかなほころびから証人たちの嘘を見破ると、裁判の流れが変わりはじめる。そんな矢先、少年がついに沈黙を破り、驚くべき告白をする。(参照:https://eiga.com/movie/80087/)

公開年

2016年

制作国

アメリカ

監督

コートニー・ハント

出演

キアヌ・リーブス、レニー・ゼルウィガー
ググ・ンバータ=ロー、ガブリエル・バッソ
ジム・ベルーシ他

興行収入

180万ドル

おすすめポイント

虚偽に溢れた法廷を舞台に、父親殺害の容疑にかけられた少年を弁護する敏腕弁護士を描いた法廷ミステリー。

大物弁護士が殺害される事件が起き、17歳の息子マイク・ラシターが殺人容疑で逮捕されます。家族と親交のあった敏腕弁護士リチャード・ラムゼイがマイクの弁護を引き受けますが、マイクは完全黙秘を貫きます。何も語ろうとしない被告人をよそに、開廷された裁判で検察側の証人が語るのはマイクの有罪を裏付ける証言の数々。ラムゼイがマイクの無罪を勝ち取るため、証人たちの嘘を見破り、殺された父親の本性を暴く証拠をみつけだす一方、正義感に溢れた助手のジャネルは違和感を抱き、すべての真相を解き明かそうとします。

何も語らない被告、回想と異なる検察側の証言、陪審員の印象操作など見ている側もどこに「真相」があるのか分かりません。

証言台に立つ人達がそれぞれ保身のために小さな嘘を吐いているのが印象的で、真偽が定かでなくても情に訴えれば逆転可能な陪審制度の欠陥も見え隠れし、正義はこんなにも脆いのかと思わされます。

物語は静かに進んでいきますが、終盤の怒涛の展開は息つく暇もなく、最後には衝撃の真実が明かされます。

果たして少年は本当に有罪なのか、94分間というコンパクトな時間に詰め込まれたスリリングな展開から目が離せない作品です。

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『リンカーン弁護士』  “THE LINCOLN LAWYER”

事務所は車!?異端弁護士に降りかかる危機とは?

『リンカーン弁護士』  “THE LINCOLN LAWYER”

あらすじ
高級車リンカーン・コンチネンタルの後部座席を事務所代わりにLAを忙しく駆け回り、司法取引を最大限に利用して軽い刑で収める得意戦略で依頼人の利益を守るやり手弁護士、ミック・ハラー。ある時、資産家の御曹司ルイスの弁護というおいしい話が舞い込む。事件はルイスが女性を殴打し重傷を負わせたとされるもので、いつものように司法取引をまとめるだけで高額の報酬が舞い込むはずだった。ところが頑なに無実を訴えるルイスは司法取引を拒否し、ミックの戦略に狂いが生じ始める。さらにルイスが、4年前にミックの担当した殺人事件の真犯人としても浮上し、次第に自分自身が追い込まれてしまうミックだったが…。(参照:https://www.allcinema.net/cinema/342511)

公開年

2012年

制作国

アメリカ

監督

ブラッド・ファーマン

出演

マシュー・マコノヒー、マリサ・トメイ
ライアン・フィリップ、ジョシュ・ルーカス
ジョン・レグイザモ他

興行収入

8710万ドル

おすすめポイント

人気ミステリー作家マイクル・コナリーの小説を映画化したスリリングな法廷サスペンス。

敏腕弁護士ミック・ハラーは元依頼人が弁護費用を工面するために運転する高級車リンカーンを事務所がわりに活動する異端弁護士。いつものようにLAの裁判所を巡回してお金になりそうな仕事を探していると、ビバリーヒルズの不動産王の息子ルイス・ルーレが暴行とレイプの容疑で告発されたという情報を入手、多額の報酬目当てに弁護を引き受けます。一見単純そうに見えるこの事件でしたが、調査を進める中で過去の依頼人の事件との繋がりに気がつきます。そこから事件は突如、ハラーにとって命がけのサバイバルゲームに発展します。

物語の冒頭では悪どい事もサラリとこなす世渡り上手なハラーが少し嫌なキャラに映りますが、後半弁護士としての正義と守秘義務との間に揺れ動き、人情も見え出す辺りからどんどん感情移入してしまいます。「評決の時」で正義感に燃える若手弁護士を演じたマシュー・マコノヒー、本作ではお金に目がないけれど家族や義理を大事にするちょいワル弁護士にはまり役です。

演技派が勢揃いの豪華キャスト、おしゃれな音楽とカメラワーク、そして手際良く進むエンタメ感。​​オープニングから引き込まれ、ド派手な展開はないものの、緩やかに着実に緊張感が高まっていく感覚は新鮮で、スカッとする結末が最高です。

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『ディアボロス 悪魔の扉』  “THE DEVIL’S ADVOCATE”

神と悪魔の戦い?!キアヌ・リーヴス主演オカルト法廷サスペンス

『ディアボロス 悪魔の扉』  “THE DEVIL'S ADVOCATE”

あらすじ
フロリダの青年弁護士ケビンは、天才と評判のミルトンという法律家が経営する法律事務所に誘われる。ケビンはニューヨークに移り住み、ミルトンのもとで働くことになる。だが、裁判中に検事補が突然倒れるなど、奇妙な事件が続発。それらはすべて、ミルトンの仕業だった。ミルトンは自分が悪魔であることをケビンに告白、ケビンは必至に抵抗を試みるが……。(参照:https://www.allcinema.net/cinema/83910)

公開年

1998年

制作国

アメリカ

監督

テイラー・ハックフォード

出演

キアヌ・リーブス、アル・パチーノ
シャーリーズ・セロン、ジェフリー・ジョーンズ
ジュディス・アイヴィ他

興行収入

1.53億ドル

おすすめポイント

裁判で連勝を続ける弁護士の虚栄心を描いたサスペンススリラー。

ニューヨークを舞台に、悪魔が法曹界の黒幕となり若き弁護士の魂を狙うという訴訟王国アメリカならではの法廷サスペンス+オカルトという珍しいテイストの作品。恐怖に追い込まれるさまや展開のスピード感、終わり方などなかなかの映画です。シャーリーズ・セロン演じる主人公の妻が壊れていくい姿も恐怖を盛り上げます。

金のために黒をも白にする弁護士たち、有能であることと善人であることは両立するとは限らないという人間の本能の怖さをテーマとした作品です。良心と仕事の板挟みになる弁護士の心に潜む悪魔のささやきを巧みに描いており、キアヌ・リーヴス、アル・パチーノ、シャーリーズ・セロンの共演も見ごたえ充分です。神も悪魔も常に人間のそばにいてどちらを選ぶも自分次第と感じさせられます。

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『私は確信する』  “UNE INTIME CONVICTION ”

250時間に及ぶ電話記録が隠された真実を暴きだす。衝撃の完全犯罪に挑む渾身の裁判サスペンス

『ディアボロス 悪魔の扉』  “THE DEVIL'S ADVOCATE”

あらすじ
2000年2月、フランス南西部のトゥールーズ。3人の子どもがいる女性スザンヌ・ヴィギエが忽然と姿を消した。やがて夫のジャックが殺人の容疑で逮捕される。メディアがセンセーショナルに取り上げる中、第一審では確たる証拠がなく無罪となるも、検察は控訴し、第二審が始まろうとしていた。そんな中、シングルマザーのノラは、息子の家庭教師がジャックの娘だったことがきっかけで彼の力になりたいと立ち上がる。敏腕弁護士のデュポン=モレッティに弁護を懇願し、自らも助手として250時間にもおよぶ通話記録を丹念に調べ始めるノラだったが…。(参照:https://www.allcinema.net/cinema/374409)

公開年

2021年

制作国

フランス/ベルギー

監督

アントワーヌ・ランボー

出演

マリナ・フォイス、オリヴィエ・グルメ
ローラン・リュカ、ジャン・ベンギーギ
フランソワ・フェネール他

おすすめポイント

2000年にフランスで実際に起こった未解決事件を題材にした裁判サスペンス。刑事視点ではなく弁護士視点のミステリーです。隠された真実を暴き出すのは250時間に及ぶ電話記録のみ。想像を掻き立てられます。

容疑者の無実を確信するノラが真実を追い求めていく感情的な姿と、「犯人探しではなく被告人が無実かどうか」に重きを置く冷静なモレッティ弁護士の姿が印象的です。

人の人生を決めてしまう裁判にも関わらず証拠のない事件、仮説ばかりが積みあがります。人はいかに噂やメディアの報道を簡単に信じてしまうのか。人間とは信じたいことを信じてしまうものであり、陪審員裁判における陪審員一人ひとりの判断がいかに重要かということも痛感させられます。

分かるはずのない真相を求めて、判決が下される時を待つのみ。どこに向かってもおかしくない危うさにどんどん引き込まれます。

最後の弁護人の大演説は見ものです。その後法務大臣に抜擢されるなど大活躍した実在のモレッティからにじみ出る熱量は圧倒的です。

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「女性弁護士」を描いたオススメ法廷映画(2作品)

世界的に法曹界ではまだまだ男性が多くの割合を占めていますが、女性弁護士も著しく増えてきています。ここでは女性だからこその強みや葛藤などを描いた女性弁護士が主役の法廷映画を2つご紹介します!

 

『リーガル・マインド ~裏切りの法廷~』  “THE TRIALS OF CATE MCCALL”

母として弁護士として自分の正義を信じ続けた女性が挑む冤罪事件

『リーガル・マインド ~裏切りの法廷~』  “THE TRIALS OF CATE MCCALL”

あらすじ
腐敗した法システムと戦い続けてきた女性弁護士のケイトは、そのストレスからアルコール依存症となり、娘の養育権を失ってしまう。娘との関係修復のため、依存症から抜け出そうと努めるケイトは、ある日、殺人事件で有罪判決を受けた女性レイシーの弁護を依頼される。涙ながらに自分はやっていないと訴えるレイシーに冤罪の可能性を感じたケイトは、事件の真相を調査。さまざまな偽証が明らかになっていく。裁判はケイトとレイシーにとって好転し、最終弁論の日を迎えるが……。(参照:https://eiga.com/movie/79727/)

公開年

2014年

制作国

アメリカ

監督

カレン・モンクリーフ

出演

ケイト・ベッキンセイル、ジェームズ・クロムウェル
アナ・アニシモーワ、クランシー・ブラウン他

興行収入

25万ドル

おすすめポイント

アルコール依存、離婚、養育権剥奪など人生のどん底から復帰中の女性弁護士が世間が注目する冤罪事件と闘う姿を描いた映画。

仕事と家庭の両立に苦しむ敏腕女性弁護士ケイト・マッコールは、日々のストレスからアルコール依存症となり、保護観察処分を受けることに。キャリアばかりか娘の養育権も失ってしまいます。弁護士に復帰し、娘の親権を取り戻すため更生を目指すケイトの元に、不当に殺害罪に問われたとし控訴

している女性ケイシー・スタッブスの弁護の依頼が舞い込みます。再起のチャンスと思い、弁護を引き受けたケイト、冤罪の可能性を感じた彼女は事件の真相を追い掛けることに。調査を進めるうちに次々と警察や検察の偽証が明らかになって裁判は好転していきますが、最終弁論の日に思いも寄らなかった事実が浮かび上がります。

自分の信念に従い強く生きているケイト。すごく優秀なのに、不器用なあまり弁護士としての自分の正義に疑問を抱き自暴自棄に陥ってしまいます。

本作は法廷劇を通して彼女のプライベートな苦悩が浮き彫りにされる人間ドラマでもあります。​​母であり弁護士である一人の女性が挫折、葛藤、再生していく姿から自分を信じることの大切さを教えてくれる作品です。

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『依頼人』  “THE CLIENT”

弁護士と少年の絆が美しくかっこいい

『依頼人』  “THE CLIENT”

あらすじ
上院議員殺しの真相を知る弁護士が自殺した。検事局は、目撃者の11歳の少年マークの口を割ろうと執拗な接触を図る。頼る者のないマークは、わずか1ドルで女弁護士を雇うが……。(参照:https://www.allcinema.net/cinema/2056)

公開年

1994年

制作国

アメリカ

監督

ジョエル・シューマカー

出演

スーザン・サランドン、トミー・リー・ジョーンズ
ブラッド・レンフロー、メアリー=ルイーズ・パーカー

興行収入

1.176億ドル

おすすめポイント

上院議員殺しに関する事件の目撃者の少年が、自分と家族の身を守るために1ドルで雇った弁護士レジーとともにマフィアと戦い絆を強めていく物語。

この作品はジョン・グリシャム原作で、彼の描く数多くの法廷ミステリーの中でも特に人間がよく描けているものとして評判が高い作品です。

被告が子供であることもサスペンスを盛り上げている要素ですが、弁護士と被告の関係の描き方が秀逸です。少年でありながら弟と母親を守ろうとするけなげで強くあろうとする主人公と、彼の弁護をすることになったレジーが次第に心を通わせていく過程が丁寧に描写されています。弁護士を演じるスーザン・サランドンはカッコよく少年を子ども扱いせず対等に接するところが素敵です。彼女が演じる強い女性がピタッとはまります。

証人保護プログラムで護られることとなった少年が、レジーとはもう会えないと知り抱きつくラストシーンは最高です。

 

受賞歴

第67回アカデミー賞(1995年)

ノミネート 主演女優賞 スーザン・サランドン

 

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「ヒーロー弁護士」を描いたオススメ法廷映画(5作品)

法廷映画では事件にまつわる熱い人間ドラマが描かれるのも特徴です。そんな中でも弁護士には葛藤がつきものです。犯人を弁護する立場だからこそ、裁判での不正や人権が正当に守られない法制度やなどに立ち向かう姿は正にヒーロー。今回は弁護士が正義を貫く姿が見所の映画を5つご紹介します!

 

『ジャスティス』  “..AND JUSTICE FOR ALL.”

受け持ったのは反目する判事の弁護。痛快なラストシーンが見所

『ジャスティス』  “..AND JUSTICE FOR ALL.”

あらすじ
あやまって投獄された青年の保釈訴訟で奔走する若手弁護士アーサー。彼は権力だけを振りかざす横暴なフレミング判事と常に対立関係にあった。が、ある日、婦女暴行罪で訴えられたフレミングの弁護を受け持つことになり……。(参照:https://www.allcinema.net/cinema/10292)

公開年

1980年

制作国

アメリカ

監督

ノーマン・ジェイソン

出演

アル・パチーノ、ジャック・ウォーデン
ジョン・フォーサイス、リー・ストラスバーグ
ジェフリー・タンバー他

興行収入

3330万ドル

おすすめポイント

メリーランド州、ボルチモアを舞台に、腐敗した法曹界で正義を貫く一人の弁護士を描く法廷ドラマ。

アル・パチーノ演じる弁護士アーサー・カークランドは、依頼人を大切にする姿勢から多くの人々に信頼されています。無実の罪で起訴された人々を弁護する中で、矛盾と不正に満ちたアメリカの法制度に疑問を抱くアーサー。それ故に法規だけをふりかざす権力主義者のフレミング判事とは度々対立し、法廷侮辱罪で逮捕される事も。そんなある日、その憎むべきフレミング判事が強姦罪で告訴されるという事件が起き、アーサーは仕方なく彼の弁護を引き受けることになります。

無実の人を守るために罪を犯した判事を弁護することを余儀なくされ、アーサーは弁護士として道徳的にも法的にもジレンマに直面しますが、罪を犯した人には罰を、無実の人には正義を与えるため信念を貫きます。アル・パチーノのパワフルな演技からはアーサーの内に抑えた正義が滲み出る様が伝わります。

腐敗しきったバルチモアの裁判所や刑務所の様子がリアルに描かれる本作ですが、アーサーの妥協を許さない熱血漢ぶりが痛快で、プライベートで仲のいい判事の癖の強さなど笑える要素もあります。シリアスなシーンとコメディシーンが緩急つけてテンポよく進んでいくため観やすい作品です。

 

受賞歴

第52回アカデミー賞(1980年)

ノミネート 主演男優賞 アル・パチーノ

      脚本賞 バレリー・カーティン / バリー・レビンソン

第37回ゴールデングローブ賞(1980年)

ノミネート 最優秀主演男優賞 アル・パチーノ

 

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『レインメーカー』  “THE RAINMAKER JOHN GRISHAM’S THE RAINMAKER”

法曹界の闇に挑む新米弁護士の奮闘記!

『レインメーカー 』  “THE RAINMAKER JOHN GRISHAM'S THE RAINMAKER”

あらすじ
理想に燃える若き法学部卒業生ルーディ。しかし現実は彼が抱いていた理想とはかけ離れていた。大手保険会社から支払いを拒否された貧しい家族や、社会的に弱い立場の依頼人が溢れる中、やがて彼は世の正義に疑問を持ち始める。(参照:https://www.allcinema.net/cinema/84044)

公開年

1998年

制作国

アメリカ

監督

フランシス・フォード・コッポラ

出演

マット・デイモン、クレア・デインズ
ジョン・ヴォイト、ダニー・デヴィート
メアリー・ケイ・プレイス他

興行収入

4590万ドル

おすすめポイント

ジョン・グリシャムの小説『原告側弁護人』を巨匠フランシス・フォード・コッポラが映画化した、新米弁護士が巨大保険会社相手に法廷で闘う姿を描いた法廷ドラマ。

法学部を卒業したばかりで正義感と野心に燃える新人弁護士ルーディ・ベイラーは、職探しに苦労した末、悪徳弁護士の事務所で働き始めます。最初に受け持つことになったのは、白血病を患った少年に対して治療費の支払いを拒否する保険会社の訴訟でした。理想に燃えるルーディは少年とその家族を救うために相棒のデックと法廷に立ちますが、やがて社会的に弱い立場の人が守られない法律の実態をしり、世の正義に疑問を持ち始めます。

本作でルーディは実利主義の企業弁護士、堕落した裁判官、虐待的な夫などを相手に法廷での長い勝負に挑みます。初めての法廷だけに苦戦しながらも、勝訴のために奔走するルーディの初々しさやますっぐな姿は、若かりし頃のマッド・デイモンの雰囲気にぴったり。陪審員に訴えかけるラストシーンには涙があふれます。

さすがフランシス・コッポラ監督の演出は素晴らしく、法廷劇特有の双方の弁護士、判事、陪審員との駆け引きは見応え抜群です。

理想と現実のギャップに苦しみながらも、若さと正義感でアメリカ社会が抱える法の闇に立ち向かう姿にさわやかな後味が残る作品です。

 

受賞歴

第55回ゴールデングローブ賞(1998年)

ノミネート 最優秀助演団優勝 ジョン・ボイト

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『無垢なる証人』  “INNOCENT WITNESS”

正義をあきらめかけた弁護士が少女との交流を通して無垢な心と勇気を取り戻していく

『無垢なる証人』  “INNOCENT WITNESS”

あらすじ
現実に妥協し信念を失いかけていた弁護士のスノは、ある殺人事件の容疑者の弁護を任されることに。被害者は80歳の老人で、その家の家政婦が犯人として疑われていた。唯一の目撃者は自閉症の少女ジウだけ。さっそく彼女に会いに行くスノだったが、最初は挨拶すらまともにできなかった。それでもなんとかして事件の真相を聞き出すべく、ジウとのコミュニケーションを図ろうとするスノだったが…。(参照:https://www.allcinema.net/cinema/370321)

公開年

2020年

制作国

韓国

監督

イ・ハン

出演

チョン・ウソン、キム・ヒャンギ
イ・ギュヒョンン、チャン・ヨンナム
パク・クニョン他

興行収入

1810万ドル

おすすめポイント

殺人容疑者の弁護士と、事件の目撃者で自閉症の少女ジウの交流を描くストレートに心を打つ映画です。

信念を貫くことをあきらめ、現実に妥協してあきらめかけた弁護士のスノは、出世のかかった殺人事件の弁護士に指定されます。スノが少女との交流を通して見失っていたものに気づいていく過程に心を洗われる思いです。

人間の多様性、人を理解するということを考えさせられ、人はみな「いい人」になれるように努力するべきだというシンプルな感想を持ってしまいます。自閉症の少女を「理解する」ではなく「知ろう」とする弁護士の真摯な温かい思いにも感動します。

どの役者の演技もすばらしいですが特に少女ジウを演じたキム・ヒャンギが素晴らしいです。

見たものを幸福にし、勇気を与えてくれる映画です。

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『告発』  “MURDER IN THE FIRST”

アルカトラズ閉鎖の知られざる真実。囚人と弁護士の友情に涙が溢れる傑作

あらすじ
全米一悪名高きアルカトラズ刑務所を閉鎖に追い込んだ、一人の囚人と彼を支えた若き弁護士の友情を描く、衝撃の実話。死刑確実と言われていたアルカトラズ刑務所内で起こった殺人事件を担当することになった若き弁護士ジェームスは、犯人の囚人ヘンリー・ヤングを調べてゆくうちに彼の有罪に疑問をもつようになっていった。やがて彼はアメリカ合衆国に真っ向から闘いを挑んでゆく……。(参照:https://www.allcinema.net/cinema/7791)

公開年

1995年

制作国

アメリカ

監督

マーク・ロッコ

出演

クリスチャン・スレイター、ケヴィン・ベーコン
ゲイリー・オールドマン、エンベス・デイヴィッツ
ウィリアム・H・メイシー他

興行収入

1740万ドル

おすすめポイント

全米一悪名高きアルカトラズ刑務所が永遠に閉鎖されるきっかけとなった裁判と、囚人と弁護士の闘いを描く実話の映画。

1930年代、米国、死刑確実と言われていたアルカトラズ刑務所内で起こった殺人事件を担当することになった新米弁護士ジェームス・スタンフィル。被告は軽犯罪によりアルカトラズに投獄された​​ヘンリー・ヤング。少なくともアルカトラズに投獄されるまでは人に危害を加えるような人間ではなかったヘンリーが何故凶悪な殺人事件を犯したのか。調査を進めるうちに彼が3年間もの間地下牢に閉じ込められ非道な扱いを受けていた事実が判明します。有罪に疑問を持ったジェームスは、ヘンリーの人間性を奪ったアルカトラズ刑務所の残忍で過酷な行為を告発、合衆国政府を相手に裁判を起こします。

光すら差し込まない独房に閉じ込められいたぶられる映像は凄まじく、どれだけの孤独と恐怖を味わったのだろうと思うと胸が苦しくなります。「ただ友達が欲しかったんだ」という一言に彼の人生が象徴されているような気がします。追い詰められ精神を病んでいくケヴィン・ベーコンの渾身の演技には脱帽です。

現在では観光名所となっているアルカトラズのイメージが強いため、これが実話であるとは俄かには信じがたく、見ているだけでも体力を奪われるかなり重い内容ですが、確実に見る価値のある傑作です。

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『ザ・ファーム/法律事務所』  “THE FIRM”

若きトム・クルーズが頭脳で勝負する息もつかせぬ法廷ドラマ

あらすじ
全米でもトップクラスの法律学校を優秀な成績で卒業したミッチは、ある法律事務所からの内定を受け取る。数いる優秀な生徒の中からたった一人自分にだけ白羽の矢を立てたその事務所は、他とは比較にならない最高の労働条件を彼に提示してきた。二つ返事で了承した彼だったが、その事務所には知られざる裏の顔があった……。(参照:https://www.allcinema.net/cinema/8987)

公開年

1993年

制作国

アメリカ

監督

シドニー・ポラック

出演

トム・クルーズ、ジーン・ハックマン
ジーン・トリプルホーン、エド・ハリス
ホリー・ハンター他

興行収入

2.702億ドル

おすすめポイント

最高の条件を提示した法律事務所に就職した若き優秀な弁護士が、事務所とマフィアの繋がりを知りマフィアのボスに立ち向かう、ジョン・グリシャム原作のスリル満点の法廷社会派サスペンス。

派手なアクションこそないものの悪事を暴く頭脳戦のスリルに一気に引き込まれます。場面展開のスピード、カメラワークなど引き込まれる要素がたくさんありますが、なんといっても若きトム・クルーズのカッコよさが際立ちます。追い込まれていく様子の描写もうまいですが、頭の回転の速さと知識で武装し、自分で道を切り開いていく様が観ていて気持ちがいいです。ジーン・ハックマンをはじめエド・ハリスやホリー・ハンターなどわきを固める役者の演技も見ものです。

グリシャムの描く「法に携わる人間のモラルとプライド」を追い求めて戦う若き弁護士に勇気をもらえる作品です。

 

受賞歴

第66回アカデミー賞(1994年)

ノミネート 助演女優賞 ホリー・ハンター

      作曲賞 デイブ・グルーシン

 

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裁判シーンが見所!法廷映画のオススメ作品45選・まとめ

裁判所のイメージ

さていかがでしたでしょうか。

法廷映画にはさまざまなドラマがあり、映画としての切り口も多種多様で面白いですよね。特に個人的にオススメしたいのは『12人の怒れる男』です。ほぼ密室の会話劇だけで物語が展開してゆく脚本は圧巻です。

皆さんも本記事でご紹介した中から気になるものがあれば、ぜひこの機会に見てみて下さい!きっと法廷モノにハマってしまいますよ!

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それでは素敵な映画ライフを!

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