【令和4年1月①週目】メディア編集部が注目する今週のおすすめ漫画!

編集部が注目する今週の漫画!

毎週、本メディアの編集部がオススメする漫画をご紹介していきます。

2022年1月①週目は5冊をご紹介。題材が斬新なものや、出版業界・書店員界隈で話題となっている注目のマンガを中心にリストしていますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

『スケッチー』マキヒロチ(講談社)

マキヒロチ新作は、2021年話題となったスケボー漫画

『スケッチー』

あらすじ
レンタルショップの社員・川住憧子。仕事に彼氏、せわしないけれど、どこかぼんやりとした毎日を送る彼女は、ある日、一人のガールズスケーターに心を奪われる。ちょっとずつ見失ってきた希望、ちょっとずつ見えてきた将来。自分を変えるには今しかない。スケートボードに魅せられた女子の挫折と再生の日々。
参照:https://booklive.jp/product/index/title_id/690046/vol_no/001

注目ポイント

本作はスケートボードに魅せられた女子たちの人生模様を描く群像劇です。ありそうでなかった「スケートボード」を題材にした漫画であり、東京五輪2020でもスケボーが話題になった今もっともホットな物語ではないでしょうか。

主人公はレンタルビデオショップで働く川住憧子(31)。女性の勝ち組の概念に馴染めず釈然としない毎日を送っていますが、路上で滑るガールズスケーターたちと出会いスケートボードに魅せられます。憧子の何もなかった日々は、スケートボードによって徐々に変化してゆくことに。他にも憧子がスケボーを通して出会ったガールズスケーターたちなど、主に6人の女子たちがそれぞれ悩みを抱えながらもスケボーと共に日々を乗り越えてゆく群像劇になっています。

注目ポイントは、マキヒロチ先生の描く女子たちのリアリティー溢れるキャラクター。誰もがぼんやりと感じている焦りや嫉妬など、等身大の生きづらさを繊細に描いており、どの登場人物たちにも共感してしまいます。彼女たちの日々には劇的な変化は訪れませんが、他の登場人物やスケーターたちとの交流を通して少しずつ考え方や生き方に変化が現れてゆく姿に、とても励まされます。大袈裟なドラマにするのではなく、あくまで現実に根ざした葛藤を描いているからこそ、自分と重ね合わせながら共感をベースに読むことができる物語です。

またスケボー漫画としても読み応え抜群の内容になっています。主人公の憧子が初心者なので、憧子と共にゼロから学べる構成になっています。内容として具体的には「カルチャー」としてのスケートや、「技術」として学ぶこと、そしてスケボー界で活躍する「プロ」たちの情報など、複合的な観点からスケボーの世界を覗き見ることができるので、興味のある方や始めてみたい方は必読です。

『スケッチー』コマ① 『スケッチー』コマ②

引用:漫画『スケッチー』公式Twitter

選定理由

『吉祥寺だけが住みたい街ですか?』 『いつかティファニーで朝食を』などで有名なマキヒロチの最新作であること。そして、2020年の東京五輪から正式種目となったスケボーが同大会を通して話題となっていることも注目すべき理由の1つです。(選定者:編集長たけだ)

 

 

『怪獣になったゲイ』ミナモトカズキ(KADOKAWA)

偏見への抵抗、そして自己肯定感の獲得

『怪獣になったゲイ』

あらすじ
「この手があったか!」と驚かされた新時代のゲイ・ストーリー。自分で自分が嫌いな人、好きな人、好きでも嫌いでもない人、全ての人に読んでほしい。―――田亀源五郎( 『弟の夫』『僕らの色彩』)ゲイの高校生・安良城貴(あらしろたかし)はいじめの標的にされながらも片思いの相手・黒田先生を心の支えに耐え忍んでいた。しかし、黒田の発した偏見にまみれたゲイ否定が彼を「怪獣」に変える……。
参照:https://booklive.jp/product/index/title_id/20034028/vol_no/001

注目ポイント

耐え難い苦しみを抱えたとき、自分の姿が「怪獣」になってしまう。本作は、そんなとんでも設定を通して「同性愛」について切り込んだアグレッシブな作品です。ゲイである高校生の主人公・安良城(あらしろ)は、好意を寄せる担任教師・黒田からの無意識な偏見によって傷つき、頭部分が怪獣に変身してしまいます。途方に暮れる安良城ですが、そんな彼に絡んでくるいじめっ子・成瀬もまた秘密を抱えており…。

本作の魅力は「人の弱さ」に焦点を当てているところ。誰もが自信のなさを補いたくて、鬱屈した気分から逃げたくて、誰かをいじめの標的にすることで目を逸らそうとしている。そしてまた差別も同じ、マジョリティー側にいることで安心しようとする心理によって生まれている側面があり、だから差別はなくならない…ということが主人公のモノローグを通して淡々と語られます。

そしてそう語る主人公・安良城も決して綺麗な性格をしているわけではなく、ドロドロとした汚い感情を抱えているところもリアリティーがあって面白いポイントです。当然、いじめっ子には復讐を考えていたり、自分を見下している黒田先生にはその差別意識に気付くことで絶望してほしいと願ったり。当事者の内面を決して善人として描こうとしない姿勢もまた、ある種の偏見に抵抗しているように感じられます。

『怪獣になったゲイ』コマ

引用:作者・ミナモトカズキ先生公式Twitter

差別意識の根底にある人間の未熟さをとことん描く本作は、どの立場に立っている人にも気付きを与えてくれる良作です。ぜひ読んでみてください!

選定理由

2021年、Twitterで話題になった漫画の一つです。同人誌から編集担当の目に留まり単行本化したというだけあって、作品が持つ独特な世界観とパワフルな叫びに圧倒されました。(選定者:編集長たけだ)

 

 

『ひらやすみ』真造圭伍(小学館)

今日が良い日であることが、一番大切なのかもしれない。

『ひらやすみ』

あらすじ
心救われる、もらった平屋モラトリアム。生田ヒロト、29歳、フリーター。定職なし、恋人なし、普通ならあるはずの?将来の不安も一切ない、お気楽な自由人です。そんな彼は、人柄のよさだけで、仲良くなった近所のおばあちゃん・和田はなえさんから、タダで一戸建ての平屋を譲り受けることに。そして、山形から上京してきた18歳の従姉妹・なつみちゃんと2人暮らしを始めました。しかし、彼の周りには生きづらい“悩み”を抱えた人々が集まってきて…
参照:https://booklive.jp/product/index/title_id/20036920/vol_no/001

注目ポイント

阿佐ヶ谷にある平屋の戸建に住むフリーターの主人公・生田ヒロトと、その従兄弟で美大生のなつみとの二人暮らしを見つめた描いた、令和のモラトリアム漫画。ヒロトは29才にして定職につかないフリーターですが、その境遇に焦る様子は全くありません。そんなヒロトの温厚でフリーダムな性格は、不思議と周囲の人々を惹きつけていきます。彼の人生のペースに影響され、生き急いでしまう人々がふと立ち止まってみたくなる…心の豊かな暮らしがそこにあるのです。

ヒロトと一緒に暮らすことになった美大生のなつみも、とても魅力的な女の子として描かれています。大学デビューに失敗しなかなか友達ができなかったり、家事もままならない面倒くさがりだったり、ダメな部分がチャーミングな愛されキャラ。なんでも受け入れてくれるマイペースなヒロトとの暮らしから、少しずつ生活のペースを掴んでいきます。

『ひらやすみ』コマ

引用:作者・真造圭伍先生公式Twitter

本作の注目ポイントは、何気ない日常が面白く描かれているところです。大きな事件が起きるわけでもなく、驚くような大どんでん返しがあるわけでもなく、2人のマイペースな日常を描いているのですが、そのモラトリアムな世界観や穏やかであたたかいセリフの数々にぐんぐん惹き込まれてしまいます。「ずっと読んでいたい!」と思える漫画なのです。やはり「なんでもない日常を面白く描ける」ということが、作者である真造圭伍先生のすごいところ。ぜひこの世界観を堪能してみてください!

選定理由

本作は連載前から雑誌「BRUTUS」でも紹介されるなど、各メディアも大注目を集めました。先の見えない時代だからこそ、今この瞬間の日々を愛することを優しく語りかけてくれる物語が必要だと感じました。(選定者:編集長たけだ)

 

 

『午後9時15分の演劇論』横山 旬(KADOKAWA)

演劇をつくる人間の自意識を巡る物語

午後9時15分の演劇論

あらすじ
某有名美術大学・表現学部・舞台コース(夜間学部)。制作発表会に向けて集まった学生たちは、ドロドロモヤモヤと腹にイチモツを抱えた「変わり者」ばかりだったーー。元・引きこもりの役者。有名劇団員の娘の舞台監督。建築士の親を持つ舞台美術に、大金持ちの衣装メイク……。ひとクセもふたクセもある夜学生たちに、自称天才演出家・古謝(こしゃ)タダオキ(19)が、根拠のない自信だけを武器に立ち向かう!!これが「学生演劇の作り方」!!板の上に全てを懸ける、曲者たちの青春ソワレ、開幕!
参照:https://booklive.jp/product/index/title_id/20028506/vol_no/001

注目ポイント

演劇の舞台を作る演出家の葛藤を描いた本作は、何かをつくっているクリエイターなら思わず共感してしまうような「自意識」との格闘の過程が描かれます。よって、物語の多くが演出家の主人公・古謝の脳内でつぶやかれる言葉(モノローグ)たち。舞台を成功させるため、ああでもないこうでもないと考えるうちに、自分が一体何を表現したいのか、そして何が正解なのか、全くわからなくなってしまう主人公。その過程がなんともリアルで共感できるんです。

そして、クリエイターとしてのプライドや他者への嫉妬など、創作物に直接的には関係のない感情(言ってしまえば邪念)に振り回される主人公の様子も描かれます。このように、タイトルが表現する本作の「演劇論」とは、何か確立された高尚な演劇論ではなく、演劇とは何かを必死に模索する主人公が右往左往する中で考える「演劇論」なのです。だからこそ、とても身近に感じられ肩肘張らずに面白く読み進めることができます。

『午後9時15分の演劇論』コマ

引用:コミックナタリー

また、演劇サークルに所属していたり演劇を生業とする人にとっては、本作で描写される演劇作り過程は「あるある」の連続なのではないでしょうか。舞台照明や美術、制作などの役職についても語られるので、ぜひ経験者は特に読んでみることをオススメします!

選定理由

小説家であり書店員である花田菜々子さんの勤める書店「日比谷コテージ」の推薦漫画の一つであり、クリエイターの自意識を巡る旅の再現度が高かったことから、ピックアップしてみました!2021年の年末に完結したばかりであり、まとまった作品として面白く読める作品だと思っています。(選定者:編集長たけだ)

 

 

『銀河のカーテンコール』北駒生(講談社)

終わりは、はじまりの予感を連れてくる。年の差の恋はどこへ向かうのかー

『銀河のカーテンコール』

あらすじ
2歳年上の婚約者と別れたばかりの図書館司書・眞は、引退したばかりの庭師・誠二郎とたまたま出会い、“終わった者同士”で意気投合し、会話を重ねていく。携帯電話も持たない誠二郎は、頑固一徹ジジイのように見えて、実は植物に対して溢れるくらいの愛を持つ、心優しい男性だった。彼の愚直な物言いに、心を惹かれる眞だったが、二人の間には40もの年の差が。そんな二人には、実はある因縁があった…。終わった経験を持つからこそ、この想いは大切に育みたい──。『あさめしまえ』『火色の文楽』の北駒生が描き出す、大人のための年の差ラブストーリー。
参照:https://booklive.jp/product/index/title_id/998629/vol_no/001

注目ポイント

30代の図書館司書の女性と70代の元庭師の男性の「40歳」差の恋を描く本作は、まさに大人のラブストーリーという印象。物語の世界観は静かなトーンで進んでいきますが、その随所に表現や言葉の力強さを感じ、とても圧倒されてします。それはメタファーの表現が巧みで、アイテムが的確に人物たちの感情を写すからだと感じています。

本作のキーアイテムは「花・木」。それは70才の男性・誠二郎が職業が庭師だったこと、そして30代の図書館司書の女性が大切にしている花があること、などに由来します。その花や木の一つ一つが感情表現のメタファーとなり、胸に秘めた想いを後押ししてくれるような役割を担うのです。その比喩表現がとても巧みで、物語の世界にグッと惹き込まれます。

またセリフが繊細で且つ、ロマンチックなことも推しポイントの一つです。互いに不思議と惹かれてゆく庭師の誠二郎と図書館司書・眞は、自分の中に溢れてくる初めての感情に戸惑いながらも、それを一生懸命つたえようと奔走します。だからこそ、発せられるセリフは感性が研ぎ澄まされていて、きらきらと光っているように感じられます。まるで詩を読んでいるかのようなロマンチックなセリフに、一層惹き込まれてしまいます。

設定が設定なだけに少し敬遠されてしまう方もいるかもしれませんが、すごく爽やかな大人のラブストーリーになっているので、興味のある方はぜひ読んでみてください。

『銀河のカーテンコール』コマ

引用:漫画『銀河のカーテンコール』公式Twitter

選定理由

ブックライブの名物書店員「すず木」さんの推薦作であることから手に取り、その詩的なセリフと構成力に惹き込まれたため、推しました。40歳も離れた歳の差の恋という設定でありながら、煌めくような爽やかな世界観で綴られており、2022年の漫画賞にノミネートされるのではないかと感じるほどです。(選定者:編集長たけだ)

 

 

以上、令和4年(2022年)1月①週目、編集部の注目マンガでした!

前回の編集部注目マンガ(2021年12月③週目)はこちらをご覧ください、

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