【令和4年1月②週目】メディア編集部が注目する今週のおすすめ漫画!

編集部オススメ漫画アイキャッチ

さて「編集部が注目する今週の漫画」では、毎週本メディアの編集部がオススメする漫画をご紹介していきます。

2022年1月②週目は5冊をご紹介。

今週も注目作品を多数集めました。読みたい良作漫画を探している方、ぜひ参考にしてみてください。

 

 

『没イチ』きらたかし / 小谷みどり(講談社)

最愛のパートナーを失くしたら、人はどう生きてゆけばよいのか

『没イチ』

あらすじ
愛妻が急逝して半年。家事のほとんどを任せきりだった白鳥学(45歳)は“フツー”の日常生活を送るのにも悪戦苦闘中。「この先、自分は一人で生きていけるのか?」そんな漠然とした不安を抱えていた学に、まったく予期せぬ事態が起きてしまいます!“残された人の人生”を考えるドタバタ“没イチ”ライフ、開幕です!
引用:https://booklive.jp/product/index/title_id/951516/vol_no/001

注目ポイント

本作のタイトルである「没イチ」とは、一度離婚した人を指す「バツイチ」にちなんで、パートナーに先立たれてしまった人のことを指す造語です(あくまで個人的解釈ですが…)。

物語は、主人公の白鳥学(45)が妻を失うところから始まります。突然の出来事に言葉を失い、涙も出ない学。妻に家事を任せきりだったため生活もままならず、漠然と時間だけが過ぎてゆく日々を送っていて…。半年後、学は同僚から気晴らしにと婚活パーティーに誘われ、そこで同じ境遇(没イチ)である女性・百瀬美子と出会います。

本作は、学が徐々に妻との死別から立ち直っていく過程を描いたエッセイ本のような物語であり、その中で「没イチ」の人の抱える苦しみが分かりやすく描かれているところが注目ポイントです。例えば、パートナーと死別しているために常に悲しんでいなければいけない、次の恋に進むべきではない、などの声に苦しむなど。ともすれば自分も無意識に加害側になってしまうかもしれないケースを拾い上げて、当事者の声を代弁している良作です。

『没イチ』コマ

参照:イブニング公式Twitter

 

選定理由

本作の企画である小谷みどりさんは、実際にご自身が夫を亡くされた「没イチ」であり、原作となった『没イチ パートナーを亡くしてからの生き方』の著者であることから、物語のエピソード一つ一つにリアリティがあり重みを感じることから選定しました。(編集長・たけだ)

 

 

『ルックバック』藤本タツキ(集英社)

SNSで話題沸騰、天才・藤本タツキが贈る長編読切マンガの傑作!

『ルックバック』

あらすじ
自分の才能に絶対の自信を持つ藤野と、引きこもりの京本。田舎町に住む2人の少女を引き合わせ、結びつけたのは漫画を描くことへのひたむきな思いだった。月日は流れても、背中を支えてくれたのはいつだって――。唯一無二の筆致で放つ青春長編読切。
引用:https://booklive.jp/product/index/title_id/992962/vol_no/001

注目ポイント

あの『チェーンソーマン』の作者である藤本タツキが描く長編の読切漫画(1巻完結)です。2021年の夏、漫画アプリ「少年ジャンプ+」で全編無料公開されるやいなや、瞬く間にSNSで口コミが広がり大評判となりました。

学生新聞で4コマ漫画を連載している藤野は、クラスメイトから絵を褒められるたびに自分が小学4年生で一番絵が上手いと確信するのですが、不登校の同級生・京本の4コマが学生新聞に載るとその絵の上手さに絶句。次第に2人は漫画を通して心を通じ合わせていくというストーリー。

注目すべきは、セリフではなく緻密な「コマ絵」でシーンを描き出す映画的な見せ方です。たとえば、机に向かう藤野の部屋の窓から季節が移ろう様子が描かれており、月日の流れ(時間経過)と藤野の変わらない漫画への熱情を著しているシーンは特に象徴的。(ルックバックというタイトルも「背中」を描いたシーンが全体的に多いことから「バック(背中)」という言葉が含まれているのだろうと)。登場人物たちの絶妙な表情や街の情景が、言葉以上に訴えかけてくるものがあり、心掴まれます。

そして創作者の挫折と成長が描かれた「漫画家マンガ」としても傑作です。何かを作る人間であれば誰もが感じる嫉妬や挫折、そしてそこから這い上がる努力と成長…著名な漫画家である作者本人の心情がものすごく反映されたようなアツい創作道の描写に胸打たれます。だからこそ、その先に待っている現実もまた一層切なく感じます。

『ルックバック』コマ

参照:MEN’S NON-NO WEB

 

 

選定理由

2021年夏にSNSでバズって以降、宝島社『このマンガがすごい!』2022年度版ランキングでオトコ編1位を獲得し、同年のマンガ大賞にもノミネートされるなど、漫画賞を席巻している本作を選ばない理由がありませんでした。(編集長・たけだ)

 

 

『ドミトリーともきんす』高野文子(中央公論新社)

もしも現代の学生寮に、歴史を作った科学者たちが暮らしていたら…

『ドミトリーともきんす』

あらすじ
不思議な学生寮「ともきんす」に暮らす〈科学する人たち〉朝永振一郎、牧野富太郎、中谷宇吉郎、湯川秀樹……彼らが遺した文章と一組の母娘の出会いを描く、高野文子11年ぶりの新作コミック。
引用:https://booklive.jp/product/index/title_id/439726/vol_no/001

注目ポイント

本作は「もし、のちに有名科学者となる学生たちが共に学生寮で暮らしていたら…?」という発想から始まったユニークで興味深い物語。

とも子さんが営む下宿「ドミトリーともきんす」には、2階に科学を勉強する学生たちが住んでいます。その学生とは、朝永振一郎、牧野富太郎、中谷宇吉郎、湯川秀樹など、のちに研究の功績が認められる錚々たる科学者たちでした。彼ら学生たちは、日常の何気ない一コマから科学のヒントを見つけます。その様子を、彼らが実際に遺した文章と共に、とも子さんが見つめていく構成になっています。

注目ポイントは、学生たちのキャラクターが「完璧な科学者」としてではなく、「科学をする普通の人」として描かれているところ。好きな科学に没頭するあまり時間を忘れたり、疑問を解明することができず泣いてしまったり、科学者たちの人間臭い姿が描かれており親近感が湧いてきます。彼も私たちと同じ人間だったんだと当たり前のことに嬉しくなります。

特に、科学者として十分な成果を得られず、大学の同級生であった湯川秀樹の功績と比較して劣等感を抱いてしまう朝永の姿や、昔描いた自分の文章を読み返すたびにアラを見つけてしまい羞恥心に駆られる湯川の姿など、非常にリアルな彼らの姿が当時の文章と共に描写されており、科学に精通していない人でもエッセイとして楽しめる内容です。

『ドミトリーともきんす』コマ

参照:WEBメディア「MATOGROSSO」(イースト・プレス)

 

選定理由

本作は2017年に刊行されたものですが、今も尚、選書に力を入れている書店や本好きの集う古本市などで頻繁に見かける名作です。改めて扱う題材や設定の面白さを伝えたいと考え、いま選定しました。(編集長・たけだ)

 

 

『ブランチライン』池辺葵(祥伝社)

四姉妹、それぞれの人生から描きだす家族のあり方

『ブランチライン』

あらすじ
『プリンセスメゾン』の池辺葵、心の最深部に触れる最新作!4姉妹と母。女たちが抱く罪悪感と宝物。アパレル通販会社で働く4姉妹の末っ子・仁衣。喫茶店を営む三女・茉子。役所勤務の次女・太重。シングルマザーの長女・イチ。そして、実家を一人で守る母。今はそれぞれ離れて暮らしているが、女5人で育てた長女の息子・岳は、皆にとっての宝物だ。けれど、岳にとっての女たちは、いつも正義であっただろうか――?あなたにもきっと、思い当たる感情がある。だからこそ、この物語はあなたの呼吸をふっと軽くする。池辺葵が紡ぐ様々な世代の女たちと家族のあり方について。
引用:https://booklive.jp/product/index/title_id/848135/vol_no/001

注目ポイント

本作は、四姉妹とその家族が織り成すあたたかな物語。登場する四姉妹のキャラクターたちは別々に離れて暮らしていますが、しっかり「家族」として繋がっています。群像劇でありながら、互いにどこか似ているところや影響を受けているところがあり、それらの描写がより家族の時間を感じさせる巧みな表現。うっとりしてしまいます。

注目ポイントは、池辺葵先生が紡ぐ「セリフの力」です。この物語はとにかくセリフが素晴らしく、ずっと読み返したくなるような言葉とたくさん出会えるんです。それは、些細な感情を言語化したものから人生を肯定してくれる格言まで様々ですが、どの言葉からも胸にスッと染み入るような優しさを感じられます。

個人的には、亡き父の遺影を前にする母に対して、三女の茉子が語りかけた

「好きな人と一緒になって、ずっと好きで、ずっと好きでいてもらって、大事にして、大事にしてもらって。それは奇跡みたいなことよ」

というセリフがとても刺さりました。この家族のあたたかさが伝わってくる言葉です。

『ブランチライン』コマ

参照:フィール・ヤング編集部公式Twitter

 

選定理由

本作は、宝島社『このマンガがすごい!』2022年度版ランキングでオンナ編9位を獲得。作者の池辺葵さんは以前も『プリンセスメゾン』で同賞にランクインしている漫画家であり、その優しい物語はより多くの人に届けられるべきであると考え選定しました(編集長・たけだ)。

 

 

『僕らが恋をしたのは』オノ・ナツメ(講談社)

人生最後の恋?定年後の男たちが謎の美女に恋をする

『僕らが恋をしたのは』

あらすじ
とある山奥で定年後の田舎暮らしを楽しむ、4人の男。お人よしの「大将」、プレイボー イの「キザ」、ワイルドな山男の「ドク」、無口な「教授」。そこにある日突然、謎めい た美女が現れる。ひとり旅の最中に立ち寄ったという彼女だが、果たしてそれは偶然なの か。「男の楽園」の新しい住人となった彼女のあだ名は「お嬢」と決まり、お嬢が語る過 去を聞くうちに男達はしだいに彼女に惹かれていくが……。これが人生最後の恋になる !? 平均年齢70歳の男女が織りなす、大人の恋と豊かな人生の物語。
引用:https://booklive.jp/product/index/title_id/1048511/vol_no/001

注目ポイント

リタイアした高齢男性が集まるシェアハウスが舞台の本作は、平均年齢70才の大人の恋を描きだした作品。4人の男と、1人の女性が同じ屋根の下で互いに心を通わせていく物語となっています。

注目すべきは、定年男たちが豊かな自然と共に暮らすシェアハウスの生き方が、とても現代的で憧れ性のある設定となっていることです。今は結婚をせずとも生きていける社会へと価値観がシフトしている中で、老後をどう過ごすべきかは新たな課題となっています。そんな折、本作のような独り身の気ままな定年男たちが互助を前提としながら暮らすという世界観は、非常に理想的であり課題に対する一つの解のようにも感じられます。

そして、そのシェアハウスに謎の美しい中年女性がやってくることで恋が動き始めるのですが、彼女の存在をきっかけに男たちの背負った過去が徐々に明かされていく構成も興味をそそります。人生を70年ほど生きてきた男たちだからこその言葉や人生観に触れられる点でも、読んでみる価値のある作品になっています。絵のタッチも世界観と合っていてとてもお洒落なテイストに。

『僕らが恋をしたのは』コマ

参照:コミックDAYS公式サイト

 

選定理由

有名書店員・花田菜々子さんの勤める書店「日比谷コテージ」の推薦漫画の一つであり、『リストランテ・パラディーゾ』のオノ・ナツメさんの新作であることから、作品への期待値を含めて選定しました。老後の田舎暮らしの豊かさを感じる一冊です。

 

以上、令和4年(2022年)1月②週目、編集部の注目マンガでした!

前回の編集部注目マンガ(2021年1月①週目)はこちらをご覧ください。

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