数ある漫画のジャンルの中でも大きな人気を誇るジャンル、青春ドラマ。
思春期特有の感情や輝かしい日々の描写に、幅広い年齢層の方が胸を打たれるのではないでしょうか。
今まさに青春真っ只中の学生が主人公に共感したり、大人たちが学校生活を思い出して懐かしさを感じたり。心にじんわりくる作品が多い青春漫画ですが、割と似たような展開が多いのも事実です。
そんな中で、ちょっと特殊な学園青春物語なのがこちらの作品『銀の匙 Silver Spoon』。
なんとこの作品の舞台、酪農系の高校なのです。
自然や動物たちに囲まれながら、主人公が人との関わりや命の大切さなどを学び成長していく様子をリアルに描き出した青春物語。
今回はそんな酪農系青春マンガ『銀の匙 Silver Spoon』の魅力を語っていきます!
それでは早速『銀の匙 Silver Spoon』を紹介していきます!
『銀の匙 Silver Spoon』荒川弘(小学館) 基本情報
ます始めに『銀の匙 Silver Spoon』の基本情報から見てみましょう!
『銀の匙 Silver Spoon』あらすじ
超ヒット作『鋼の錬金術師』の荒川弘の最新作!大自然に囲まれた大蝦夷農業高校に入学した八軒勇吾。授業が始まるなり子牛を追いかけて迷子、実習ではニワトリが肛門から生まれると知って驚愕…などなど、都会育ちには想定外の事態が多すぎて戸惑いの青春真っ最中。仲間や家畜たちに支えられたりコケにされたりしながらも日々奮闘する、酪農青春グラフィティ!!
参照:https://booklive.jp/product/index/title_id/201013/vol_no/001
主人公は八軒勇吾。父の厳しい教育、進学校のプレッシャーなど様々なものを抱えながら日々を過ごし、学力競争からノイローゼ気味になってしまいます。親元を離れ息苦しい環境を変えるため、寮制の酪農系高校・大蝦夷農業高等学校(エゾノー)に入学を決めます。
都会育ちの八軒が、初めての酪農生活に悪戦苦闘しながらも大きく成長していく青春ストーリーです。
この作品、なんと『鋼の錬金術師』の作者・荒川弘氏が描いています。
前作は熱いバトルや美しく伏線が張り巡らせれたストーリー、早大で統一感のある世界観などが非常に印象的な作品であったため、初めてこの作品を読んだときはハガレンの作者が青春もの!?と感じたのを覚えています。
ただやはり大人気漫画の作者、バトルがなくてもめちゃくちゃ面白い。
確かに、ハガレンも人との繋がりが色濃く描かれた作品。そりゃ青春もの書いても面白いわけですね。
加えて、荒川氏本人の経験により(後述)酪農業界もかなりリアルに描かれており、その辺も面白い要素のひとつとなっています!
作者・荒川弘さんについて
参照:http://www.asahi.com/special/plus/TKY201010150469.html
北海道出身の漫画家で、よく男性に間違えられるそうですが女性漫画家です。
実家は酪農業を営んでおり、家業の手伝いをしながらエドモンド荒川のペンネームで活動されていたそう。
1999年、『STRAY DOG』がエニックス(現スクウェア・エニックス)主催の第9回エニックス21世紀マンガ大賞にて最高位である大賞を受賞し、月刊少年ガンガンに掲載されました。
その後、月刊少年ガンガンにて『鋼の錬金術師』の連載がスタートし様々なマンガ賞を受賞。アニメ化やゲーム化、さらには実写映画化もされるなど大きな人気を博しました。
2011年に当作品『銀の匙 Silver Spoon』の連載が週刊少年サンデー(小学館)にてスタートし、こちらもアニメ化、実写映画化される大ヒットとなります。
2013年には別冊少年マガジン(講談社)にて田中芳樹氏原作の小説『アルスラーン戦記』のコミカライズ版を連載、こちらもアニメ化されている人気作品。
いくつもヒット作品を手掛けている実力派の漫画家です!
漫画賞の受賞歴は??
様々な作品で漫画賞を受賞されている荒川氏ですが『銀の匙 Silver Spoon』でも多くの漫画賞を受賞されています!
- マンガ大賞2012 大賞
- 第3回ブクログ大賞 マンガ部門 大賞
- 全国書店員が選んだおすすめコミック2012 第2位
- 第58回小学館漫画賞 少年向け部門 受賞
などなど。
他にも様々な賞を受賞されていますが、中にはこんなものも!
農林水産省主催コンテンツ・アワード・オブ・ジャパン・フード・カルチャー2013 大賞
これは日本食や食文化を海外に普及させるという目的のもと、文化性・独自性・新規性・物語性・普及性の観点から審査し、およそ250作品から総合的に優れた日本の漫画・アニメを選出したようです。
日本の食文化の普及という意義を見出された作品たちの中で最高位の大賞を獲ってるんですからすごいですよね!
『銀の匙 Silver Spoon』の3つの魅力について解説!
ここからは『銀の匙 Silver Spoon』の魅力について、3つの観点から解説していきます!
魅力①:主人公・八軒の奮闘が熱い!
進学校に通い、父の厳しい教育のもと勉強一筋で生きてきた八軒は、もちろん酪農のことなんてさっぱりわかりません。テストでも一般科目なら八軒はトップクラスなんですが、酪農系はスペシャリストの同級生たちに負けてしまいます。
それでも努力して負けんとする八軒がかっこいいんですよ。日々肉体を使って、頭を使って、出来ることや新しい知識を増やしながら成長していく八軒。
一度学歴闘争からドロップアウトした彼が、新たな環境や価値観のもとで奮闘している姿に大きな勇気をもらえます。
参照:http://fanblogs.jp/heartmessage/archive/105/0
次第にクラスの中心となっていく八軒。いろんな人に頼られながらそれに応えようと必死に奔走し成長していき、父親にはっきりと自分の考えを伝えられるまでに。
参照:https://renote.jp/articles/8610/page/6
エゾノーに行ったことを録でもないと評価していた父親も、八軒の本気を見て本気には本気で返す、と。
この父親、結構いい奴かもしれません。笑
酪農に関しての成長もそうですが、家庭環境の中で垣間見える精神的な成長も非常に楽しめる部分です!
魅力②:酪農業界の現実がリアルに描かれている
実家が酪農業をしていたこともあり、酪農業界の現状がかなりリアルに描かれているのもこの作品の面白いところ。
命を奪って食べるということがどういうことなのかだったり、経済動物がどういうものなのかだったりが丁寧に描かれています。
また、上手くいくばかりではない牧場の現状なんかも描かれており、友人の実家の牧場が潰れてしまった影響で友人が自主退学になるなどの展開も。
残酷な部分や厳しい部分まで物語の中にきちんと落とし込まれているからこそ、面白い漫画になっているではないでしょうか。
参照:http://www.hellojapan.hk/?p=6511
八軒が育てている「豚丼」という名前の豚もいずれは食肉になる家畜。
時が来たときに八軒は食べられるのか、と聞かれてドキッとしています。
こちらはクラスメイトの駒場の実家の農場が潰れると知ったときの会話。本人の家族だけでなく、友人の実家にまで迷惑がかかってしまっている模様。
他のクラスメイトたちの農家も借金や経営難で苦しんでおり、かなり厳しい現実が描かれています。
魅力③:八軒と御影の関係性から目が離せない!
高校生といえば色恋沙汰も大事になってくるお年頃。もちろん八軒にも意中の相手がいます。
入学してすぐ、迷子になった際に出会った御影アキに一目惚れした八軒は、アキに誘われ馬術部に入ります。
そこからクラスや部活での時間、そしてプライベートな問題での関わりもあって、二人は距離を縮めていきます。
参照:http://blog.livedoor.jp/ikesanfromfr/archives/7520226.html
絶妙なすれ違い。青春ストーリにはお決まりの展開ですね。笑
参照:https://www.mangajunky.net/blog-entry-5576.html?sp
以前取り付けたデートの約束を忘れられていないか心配していた八軒。
御影父が交際に関してかなり厳しいのでハードル高めですが、かなりイイ雰囲気ではあります。はよくっつけ!笑
お互いにリスペクトし合っている関係性なのも素敵なポイントです!
『銀の匙 Silver Spoon』まとめ
参照:https://www.sunday-webry.com/detail.php?title_id=624
酪農がテーマとなった珍しい漫画『銀の匙 Silver Spoon』、いかがでしたでしょうか。
ただの青春漫画ではなく、農家の現実やと畜の描写など、命を食べるということを深く考えさせられる作品。
重いテーマを扱いながらもテンポのいい展開と人間味溢れるキャラクターで身近に感じさせるあたりは、さすがハガレンの作者だなと感じました。
ハガレン同様心に染みるような名言がたくさん出てくる漫画でもありますので、是非手にとって読んでみて下さい!
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