ビジネス本『苦しかった時の話をしようか』の魅力!最強マーケターが語る、働くことの本質がわかる1冊

本作の著者は、“日本を代表するマーケター”と称される森岡毅さん。
赤字続きだったUSJをわずか数年でV字回復させ、その後も様々な企業を再生させてきた凄腕のマーケターです。

著者は、ビジネスやマーケティングに関する本を多数出版されていますが、本作は、就職を控えるも「何をしたらいいかわからない」と悩む大学生の愛娘に向けて書かれた、親から子への手紙のような1冊。その他の著書とは少し毛色が違います。

特定の、しかも愛する娘の幸せを願い書かれた本書には、嘘偽りなく、この世界の本質が記され、この厳しい現代を生き抜くヒントが散りばめられています。

最強マーケターが語る、より良く生きるためのエッセンスをご紹介します。

 

著者の経歴


参照:https://katana-marketing.co.jp/member/

著者は、神戸大学経済学部を卒業後、P&Gジャパンにてヴィダルサスーンやパンテーンなどのヘアケアブランドを担当。その後はアメリカのP&G世界本社へ移籍、数年後にはP&Gが買収したウエラジャパンの副代表等を務めるなど、数々のポストを歴任し、輝かしい実績を上げました。

2010年には、経営が傾いていたUSJにヘッドハンティングされ、逆走するジェットコースターやハロウィーンイベント、ハリーポッターなどの革新的なアトラクションを生み出し、次々に成功させます。そして、入場者数が年々激減し低迷していたUSJは、著者の入社後数年で見事に息を吹き返しました。

2017年にUSJを退任した後は、マーケティングの精鋭たちを集めた「株式会社 刀」を立ち上げ、「マーケティングとエンターテイメントで日本を元気に」のスローガンのもと、現在もなお様々な企業の再建に尽力しています。

 

主な著書

・『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか』(角川書店)

・『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門』  (角川書店)

・『誰もが人を動かせる!あなたの人生を変えるリーダーシップ革命』(日経BP)

 

『苦しかった時の話をしようか』のあらすじ

あらすじ

京都の花街発・16歳が綴る台所物語!ここは京都のど真ん中にある花街。舞妓さんたちが深夜、お仕事を終えたあと帰ってきて、共同生活を送っているのは、「屋形」と呼ばれるおうちです。とある屋形で「まかないさん」として舞妓さんたちに毎日の食事を作っているのは、なんと弱冠16歳の少女・キヨ。彼女がまかないさんになったのには、ある意外な理由があって――。華やかな花街の舞台裏、普通の日のごはんを通して、温かな人間模様が描かれます。

参照:https://booklive.jp/product/index/title_id/601305/vol_no/001

冒頭で紹介した通り、本書は、就職活動を控えながらも、やりたいことが見つからず、何をしたら良いのかわからないと悩む著者の愛娘に向けて書いた虎の巻です。

著者がこれまでに直面してきた様々な困難や挑戦の数々や、問題の乗り越え方が記された本書は、読者に情熱や勇気を与えてくれます。

資本主義の本質や、自分の強みの活かし方などについても解説されたこの1冊。就活を控えた学生や、自身のキャリアに悩む社会人にもおすすめです。

 

『苦しかった時の話をしようか』のポイント

ここからは、本作のポイントをご紹介していきます!

1.やりたいことをが見つからないのはなぜか

やりたいことがわからないのは、世の中にどんな職業があるかの一つ一つを理解していないからではなく、自分自身を理解していないからだ、と著者は主張します。

問題の本質は、外側ではなく内側。自分の中に基準となる「軸」を持っていなければ、やりたいことが生まれるはずも、選べるはずもありません。

人は、自分自身を理解しているつもりでも、意外と知らないことが多くあります。

まずは、自分の特徴や、自分が持っている強みを理解する必要があるのです。

 

2.不安の正体とは

残念ながら日本の教育は、「自分が何者か」を考えさせないまま大人への階段を上らせます。自分が何者で、どんな特徴があって、どんな人生を送りたいか。大半の人は、そういった生きていく上で最も大切な、己の内面を問うことをスキップしたまま大人になり、いつの間にか人生の重要な選択を迫られるタイムリミットを迎えることになるのです。

そんなぎりぎりの状態で選択した道には、常に不安が付きまといます。

この不安の正体は、わからないことをずっと放置した、“うしろめたさの闇”から溢れ出ている、と著者は訴えます。

この闇を取り払うためには、自分の頭でよく考え、自分の内なる声を聞き、自分のことをよく知る必要があるのです。

 

3.自分だけの『宝物』を磨く

著者は本書の中で、『宝物』とは、今の自分を作り上げている特徴(強み)だと定義しています。この宝物は誰しも持っており、それが『宝物』か、『弱点』と捉えるかを決めるのは文脈である、と説いています。

著者は、施設が老朽化した西武園ゆうえんちの再建を担当した際、この文脈の変化を使い、施設が抱えていた課題を見事に解決しました。

それは、「古い」というマイナスな要素を、「昭和レトロ」に変換させること。

人付き合いが希薄になった現代の人々に、「昭和のあの頃の温かさ」や「ノスタルジー」を体験できる空間を提供したことにより、来場者は激増。

築40年超の古びた観覧車に新しい価値を与え、建て替えることなく施設の目玉として蘇らせました。

このように、マイナスに感じる特徴も、文脈によって、誰にも負けない宝物へと変換することができるのです。

そして、その宝物を磨くことこそが、人生において重要だと著者は訴えます。

 

4.この世界は残酷で、不平等だと認識する

残念ながら、人間は極めて不平等です。生まれた場所、住む環境、親の仕事や年収などによって、それぞれ進む道も、選択肢の多さもまるで違います。

ですが、それらはどうあがいても変えられない「定数」。

自分でコントロールできないものに目を向けるよりも、注視すべきは「変数」であり、自身の特徴を理解し、強みを磨き、それらを活かせる環境を自分で選ぶことに他なりません。

人と比べて嘆くのではなく、世界の誰とも違う自分を喜び、自分が持って生まれたものを最大限に活かすことが大切だ、と著者は説いています。

 

5.選んではいけない不正解

選んではいけない不正解とは何か。

それは、「自分にとって決定的に向いていない(自分の特徴が裏目に出る)仕事」に就いてしまうこと。そして、「どうしても情熱が湧いてこない仕事」に就いてしまうことです。

こういった仕事を選んでしまう原因には、「自己分析不足」が大いに起因しています。

就職活動や転職活動をする際、まるでたった1つしかない正解を探さなければならないような不安に苛まれたことは、誰しも経験があると思います。

しかし、著者は、選んではいけない数少ない不正解以外はすべてが正解だと言います。

たった1つの大吉を引こうとせず、大凶や凶を引かないよう、自分の特徴をよく理解し、自分の強みを活かせる仕事を見つけていくことが大切なのです。

 

6.何をしたいかではなく、どうありたいか

何をしたら良いかがわからない状態で、達成したい「こと」や、やってみたい「こと」を考えるのは苦しくなってしまいますよね。そんな時、どんな状態であれば幸せかという、自分の理想の「状態」から考える発想を著者は勧めています。

自分の理想の状態をイメージし、その理想を実現するために必要となる具体的な「こと」を考えることで、自分の進むべき場所への道筋が見えてくるのです。

 

さいごに


参照:https://booklive.jp/product/index/title_id/601305/vol_no/001

今回は、森岡毅さんの著書『苦しかったときの話をしようか』について解説しました。

この本の中には、マーケターとしての才能に溢れながら、私生活では、自分の娘とうまくコミュニケーションが取れない、どこにでもいる普通の父親である著者の姿が描かれています。

我が子への不器用な愛情と、人生を強く生き抜くためのヒントが詰まった、温かく熱量の高い1冊です。

自身のキャリアに悩む全ての人におすすめの本ですので、ぜひ一度手に取ってみてくださいね。

 

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