【ビズリーチ】南壮一郎さんトップライブへ潜入! ー 時代のムー"ヴ"メントを作る ー

「鉄は熱いうちに打て」という。

ならば、僕自身が彼の言葉で熱を帯びている今、キーボードを打たなくてはならない。

 

「ビズリーチ」CEOを務める、日本を代表する実業家・南壮一郎さんの講演を拝聴した。

 

渋谷の中心にそびえ立つオフィスビルの12階。

ビズリーチ本社が会場である。

そのエントランスは、いかにも「イマドキ」の会社という印象だった。

 

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芝生があるからだ。

 

芝生を生やしているオフィスは、問答無用で「イマドキ」なのである。

 

その芝生の空間に、丘のように盛り上がった小高い場所が作られていた。

そして、その丘を正面に見るカタチで100席ほどの椅子が並べられている。

いつも待ち合わせに早く着きすぎてしまう派の僕は、案の定一番前の席に案内され、待つこと15分。

 

南さんが現れた。

白いTシャツにタイトなジーンズ姿で丘の頂上に立つ。

我々が想像する「ITベンチャーの社長」のイメージにどこまでも忠実なその出で立ちに、絶妙な安堵感を覚える。

と同時に、その存在の凛々しさに会場の空気が一気に引き締まった。

南さんは語りかけるように、こう切り出した。

 

「インターネットの力で世の中の選択肢と可能性を広げていく。大きい志ではありますが、一瞬たりとも忘れたことはありません。」

 

一言目にしてすでに、見ている視座の高さ、存在の大きさに圧倒される。

(実際に丘の上に立つ南さんを見上げるカタチだったことも影響しているが…。)

 

今回の講演の主題は「課題解決としての創業・戦略的成長過程」である。

このテーマを軸に、1時間半に渡る南さんのトークライブが展開された。

 

 

ビズリーチCEO・南 壮一郎さんの経歴

 

本題に入る前に、南さんとは一体何者なのか。

まず南さんの経歴について触れておきたい。

 

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参照:http://bizpow.bizocean.jp/edge/bizreach/

 

・南 壮一郎 / 代表取締役社長

1999年、米・タフツ大学数量経済学部・国際関係学部の両学部を卒業後、モルガン・スタンレー証券株式会社に入社。

東京支店の投資銀行部においてM&Aアドバイザリー業務に従事する。

その後、香港・PCCWグループの日本支社の立ち上げに参画し、日本・アジア・米国企業への投資を担当。 

 

2004年、新プロ野球球団設立に興味を持ち、東北楽天ゴールデンイーグルスの創業メンバーとなる。

球団では、チーム運営や各事業の立ち上げをサポートした後、GM補佐、ファン・エンターテイメント部長、パ・リーグ共同事業会社設立担当などを歴任し、球団事業においては不可能とされていた初年度からの黒字化成功に貢献。 

 

その後、株式会社ビズリーチを創業し、2009年4月、即戦力人材に特化した会員制転職サイト「ビズリーチ」を開設。

インターネットの力で、日本の採用市場を可視化し、日本の新しい働き方、企業の採用のあり方を提案。 

また2010年8月、ビズリーチ社内で、セレクト・アウトレット型ECサイト「LUXA(ルクサ)」を立ち上げ、同年10月に、株式会社ルクサとして分社化。

2015年5月、ルクサはKDDI株式会社の連結子会社になる。 

 

・社外活動 

世界経済フォーラム(ダボス会議)の「ヤング・グローバル・リーダーズ2014」に選出される。

日経ビジネスが選ぶ「次世代を創る100人」(2015年)に選出される。

文部科学省「スーパーグローバルハイスクール」企画評価委員。 

 

・著書 

『絶対ブレない「軸」のつくり方』(ダイヤモンド社) 

『ともに戦える「仲間」のつくり方』(ダイヤモンド社) 

 

・連載コラム 

人材採用塾 ~理想の社員は自分で探す~(日経ビジネスオンライン) 

肉食採用AtoZ ~なぜ、あの会社には人が集まるのか?~(東洋経済オンライン) 

経営請負人の時代 ~社外から登用された社長&役員インタビュー(ダイヤモンドオンライン) 

激走!ベンチャー・スタジアム ~僕の楽天イーグルス創業記~(日経ビジネスオンライン)

 

 

 

驚くことに、南さんの第一言語は英語なのだそう。

帰国子女だからこそ、世界基準で日本を俯瞰し、おかしいと感じたことが多かった。

そして、その圧倒的な行動力から、違和感を解決する主体としてリーダーシップを発揮している。

改めて、すごい経歴だ。

(僕も一応南さん同様、帰国子女であることは、この際黙っておく方が賢明かも知れない。)

 

だからこそ、南さんから繰り出される言葉はどれもホット且つエキサイティングでマーベラスなのである。

本記事は、そんな南さんの言葉にフォーカスして、その真意を書き記したいと思う。

「事業を作っていくに値する課題は何か」

 

開始早々、南さんはビジネスの本質について我々に熱弁を振るう。

 

「ビジネスモデルじゃない。

稼ぎ方じゃない。

本質は、課題はどこにあるのか、である。」

 

と南さんは断言する。

 

当然ながら世の中はあらゆる課題で満ちている。

南さんは、その幾つもの課題の中から「事業を作っていくに値する課題」は何かを考えるという。

その課題を解決することで対価が生まれる、と。

そして付け加えるように「ビジネスモデルや稼ぎ方は後から考えればいい」とあしらった。

 

そうか、小手先のビジネスモデルでは何も始まらないのか。

ビジネスの本質且つ根幹は「課題解決」か。

数多のビジネス書に当然のごとく書いてあるような言葉だったが、南さんが言うと臨場感をもって伝わってくる。

何かを始めようとする時、まず形から入る僕にとって、そんな自分をたしなめるのには十分すぎる言葉である。

MacBookを買う前に、液晶保護シートを買う男だ。封筒っぽい革の入れ物を買う男だ。

大いに反省すべきだろう。

 

物事の本質を見極めることから始まっていく。

ビジネスにおいては、それは「世の中の課題の解決」ということである。

 

 

「自分自身で自分の「キャリア」「運命」握りゃいいじゃん?」

 

そして、ことビズリーチが「事業を作っていくに値する課題」として選んだのが、日本の「採用」における課題であった。

 

ここで南さんが持ち出したのは、「世界の国別の採用難易度ランキング」を示したグラフ。これによると、日本はブッチ切りの1位(最も人を採用できない・仕事が見つからない国)という結果だった。

 

そうか、自分が採用されないのは日本のせいなのか、と思ったそこの貴方。

大丈夫、僕もそう思ったよ。日本のせいだ。きっとそうだ。

 

南さんは言う。

 

「人はその人生の大半を仕事に費やす。

当然その長い時間の中で、自分らしい働き方や仕事を求めるようになるだろう。

だがこの国においては、採用難易度のグラフが示すように、採用できない・仕事が見つからないのである。

1つの会社で不満ばかり口にしながら一生働き続け、個人は会社にしがみつき、会社は個人を縛り付け、一緒に泥舟のように沈んでいく。

そんな事態が常に起こっている状態なのです。

 

いやいや、自分自身で自分の「キャリア」「運命」握りゃいいじゃん?

 

 

そんな世界観を作りたいと、南さんの語気が荒くなった。

 

つまり、これがビズリーチ創業に値する課題である。

「選択肢と可能性が見つけにくい」という日本の課題を解決する。

 

 

「ビズリーチは事業じゃなくてムーヴメントだよ?」

 

もし我々が100歳まで生きるのであれば、85歳までは働くことになる。

その長いキャリアを前にしてなお、窮屈そうに働いている人があまりに多い日本。

 

この課題感を前に、南さんは我々をたしなめるようにこう言った。

 

「この人生100年時代において、未だに(会社にしがみつく)旧態依然の働き方をしている人に、「もうそんな時代じゃない」と教えてあげたい。

鎖国時代から明治維新で開国して尚、ちょんまげ姿に刀を振り回している人に、それはもう古いよと伝える必要があるんです。

 

だけど、1人1人に教えて歩くのは正直難しいですよね?

 

だから私は、新しい時代に適合するような、自分のキャリアを自ら能動的に選択できるような「ムーヴメント」を生み出したいんです。

 

そう、これはよく言うんだけど、ビズリーチは事業じゃなくてムーヴメントだよ?

 

 

ム、ム、ムーブメント…!

いや、違う。

ムー「ヴ」メントか。

 

僕は下唇を噛み締めた。

 

 

「必ず言われますよ。” 即戦力人材は、いたんだ ” と。」

 

では、実際に南さんが起こしたムーヴメントとは、どんなものだろうか。

ビズリーチが及ぼしている世の中へのインパクトについて、南さんは分かりやすく説明してくれた。

 

いわゆる「ダイレクトリクルーティング」と呼ばれているモデルである。

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参照:http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44335

 

「転職したい人」と「採用したい人」がいる。

従来は、ここに人材紹介が間に入り、求職者に企業を提案し、企業に候補者を紹介する構図となっている。

ゆえに、求職者からは自分を必要としている全ての企業(選択肢)は見えず、企業側からもどんな求職者がいるのか、紹介されるまではわからない。

当事者同士の情報交換ができない。

求職者と企業の間がブラックボックス化していたのだ。

 

この問題に対しビズリーチでは「ダイレクトリクルーティング」というモデルを提案している。

「ダイレクトリクルーティング」は、インターネットの力を使い、求職者と企業をそれぞれ可視化する。

お互いが直接求めている人や企業にアプローチできるよう、ブラックボックスを取り払ったのだ。

(似たような事例として、インターネットの力で小売の壁を取り払ったのが、Amazonであり楽天であり…)

 

南さんはこう話す。

 

「世界では当たり前にあるサービスが、日本にはなかった。

だから僕が作ったんです。

創業して9年のビズリーチは、現在毎月2万人の方が登録して下さっています。

いろんな人に必ず言われますよ。

ビズリーチを使って下さる企業の方にお話を聞くと、必ず

” いたんだよ。即戦力人材は、いたんだ。 ” と。」

 

確かに、世にいる社長の中には採用に諦めがちの人も多いだろう。

 

「どうせ、大した候補はいないんだろ?」

 

という具合に。

 

 

・・・

 

ん?

 

・・・これは、すごい経歴だ・・・即戦力じゃないか。

 

おい君、一体どうしたんだ!

 

 

という要領で。

 

 

「普通のサラリーマンだった自分が、劇薬を飲んで覚醒してしまった。」

 

ビズリーチが世に起こしているインパクト、またはムーヴメントはすごい。

このムーヴメントを実際に巻き起こしてしまう南さんは、本当に天才起業家なのかもしれない。

だが南さんは自分のことを「普通のサラリーマン」だったという。

謙遜と言うよりは、前置きに近いニュアンスで。

 

ここで、南さんの話は遡ること10数年前。

ビズリーチを創業する前、仙台にて新球団「楽天イーグルス」を立ち上げた時代にタイムスリップした。

 

南さんは、新球団設立に際し150億円を託され、そのうちの80億円を使いスタジアムを新しく建て直したという。

この設立を機に、どんどんと街中がチームカラーの赤に染まっていった。

その光景を見るのは、「超楽しかった」と。

「本当に自分たちの力で社会を変えていくことが出来ちゃうんだ」と興奮気味に語った。

 

南さんとともにこの「楽天イーグルス」立ち上げに奮闘したメンバーは、現在ほとんどが社長をしているという。

その話を聞いた僕は、「やっぱスゲェ奴らが集まるとスケール違うんだなー」と感じた。

この僕の安直な思考を見透かし、一蹴するように、南さんはこう諌めた。

 

「もともと凄い人たちだった訳じゃない!

我々はごくごく普通のサラリーマンだったんですよ!

それが、本当にこの社会は変えていけるんだ、という楽天イーグルスの経験を通して変わったんだ。

言うなれば、劇薬を飲んでしまったんです!覚醒してしまったんです!

 

成功体験という劇薬は、普通のサラリーマンを、会社の・日本のリーダーへと押し上げる。

ヘパリーゼを飲んだら4次会まで割と大丈夫なように、その劇薬さえあれば僕たちだって覚醒できるのだ。

 

南さん、劇薬、近くのローソンに売ってますかね。。。

 

 

「僕はまだ(例えるならば)小5の3学期ですよ?」

 

それから南さんはビズリーチを創業し、9年という期間で日本に次々とムーヴメントを起こしている。

凡庸な僕は、南さんほどの活躍をすれば、もう十分胸を張って落ち着けるよなぁと考えてしまう。

だがそこは南さんである。キャリア・夢はもちろん終わらない。それどころか、「練習試合」とさえ言うのだ。

 

南さん曰く(85歳まで働くのであれば)

 

「20代は、修行。

30代は、練習試合。

40代~70代は、公式戦。

80代は、後進の指導じゃん?」

 

さらに分かりやすく別の例え話で解説してくれた。

社会人18年目の南さんは、60年間働くキャリアの中で考えると、まだ「30%」地点だという。

これは学生時代(小・中・高・大)16年に置き換えると(その30%は4.8だから)、「小学5年の3学期」だと。

 

小5ですか…。

「皆さんはもうすぐ最年長なんですから、低学年の子たちの模範となって…」の小5ですね。

 

南さんほどの人が小5だなんてと、これから自分自身に待ち受けるキャリアの長さを痛感した。

と同時に、やはり主体的に能動的に自分の成し得たいことを仕事として働いている人は楽しそうだと感じる。

 

「これからどんなインパクトを世に与えられるか」と夢想する南さんの屈託のない笑顔は、まさに春休みの訪れを待ちわびる小5の男子そのものであった。

 

 

 

「学び続けること・変化し続けることが、社会人の最大の強みなのです。」

 

小学校から大学生になるまでに、自分の打ち込むスポーツを変えない人は、あまりいないであろう。

野球部からサッカー部に。剣道部から水泳部に。

キャリアもそれと同じで、自分がしたいように変えていく。

数多の可能性の中から能動的に選択してゆくべきなんだ、と南さんは念押しするように言った。

 

ここで参加者から質問が飛ぶ。

 

「南さんは、金融・プロ野球を経て、異業種であるIT(もしくは人材?)の世界に踏み込んでいらっしゃいますが、前職とフィールドが異なる分不安はありませんでしたか?」

 

南さんはキョトンとした顔で聞き返した。

「あなたは小学校から中学校に上がる時、中学校のことを何も知らなかったですよね?でもいざ中学校に入ったら、中学のこと知ろうとしますよね。学びますよね?」

 

なるほど。

確かに中学に入れば、女子の「やばい全然勉強してないんだけどー!」が嘘であることを学ぶ。

やたらと覚えたての英語をクラス目標とかに入れ込みたがる女子の存在を知る。

 

仕事も同じだと南さんは続けた。

 

「知識や経験は時代とともに陳腐化する。

大事なのは、それまでの経験が通用しない世界に身を置いても、

常に学び続け、変化し続けることです。

言い換えれば、学び続けること・変化し続けることが、社会人の最大の強みなのです。

 

この力強い一言で、南さんの講演は締めくくられた。

個人的にも、この言葉が最もじんわりと深く、今なお熱を帯びた状態で心の中に残っている。

 

 

H・A・P・P・Yなキャリア形成のために

 

南さんの出で立ち、そして話し方からは、決してブレない軸と信念を感じる。

かと思いきや「泥臭くていいじゃん?」とおどけてみせる表情、軽快なトーク力はスタンダップコメディアンさながら。

 

…そうだ。誰かに似ていると思ったら、「あべこうじ」だ。

 

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参照:http://news.yoshimoto.co.jp/2016/11/entry62531.php

 

僕にとって芸人はどの職業よりもっともカッコイイと思っている。

だからこれは全くネガティブな意味ではないし失礼でもないと思っている。

(そもそも、それは失礼だという者がいるならば、そいつはあべこうじに失礼だ。)

 

南さんのビジネスに対する考え方・姿勢、ひいては人生哲学。

そこから学ぶことは非常に大きい。

この長いキャリアの中で、南さんの熱い言葉を胸に主体的に自分の道を切り開いていくのならば、

それはもう、(エイチ)・A (エー)・P (ピー)・P (ピー)・Y (ワイ) じゃない?

 

…あっ、ハッピーじゃない?

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