【日常を斜めから見る】漫画『それでも町は廻っている』(石黒正数)レビュー

今年12月に発表された「このマンガがすごい!2019」において、オトコ編の第1位に輝いた『天国大魔境』。
 
この作品の作者・石黒正数の代表作が
『それでも町は廻っている』である。
 
 
主人公・嵐山歩鳥の型破りさが、ごくありふれた商店街の日常の中に、ちょっとしたハプニングを作り出す。
ただぼんやりと通り過ぎてしまっている町や日々も、ちょっと角度を変えてみたら面白いかも? と思える物語になっている。

漫画『それでも町は廻っている』あらすじ

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人情あふれる丸子商店街に存在するメイド喫茶(カフェではない)「シーサイド」。まさに、天真爛漫!女子高生にして名探偵に憧れる嵐山歩鳥は、地元丸子商店街のアイドル(?)兼お騒がせ娘。ありふれた町のちょっとおかしなメイド喫茶を舞台に繰り広げられるドタバタ活劇!
 
タイトルから非常に魅力的な本作であるが、その内容は想像をはるかに超える面白さ。
数ある魅力を3つにまとめてご紹介したい。
 

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嵐山歩鳥と町の住人が生み出す「質の高いギャグ」

 
この漫画の大きな魅力は、ギャグの質の高さである。
主人公の嵐山歩鳥は天真爛漫で破天荒。
 
そんな歩鳥に巻き込まれて町人たちが振り回されるような展開が多く描かれるのだが、それぞれの会話や振り回され方がとにかく笑えるのだ。
いわゆるギャグ漫画の開き直った笑いとも違い、巧妙な言葉遊びや意外性のあるハプニングで絶妙に笑わせてくる。
この質の高い笑いには中毒性があり、基本的に1話完結であるにも関わらず、次の話、次の話、とページをめくる手が止まらない。
 
 

ハイクオリティーな「ちょっとした」ミステリー

 
嵐山歩鳥は探偵に憧れる女子高生である。
彼女にかかれば、平和な町で起こる日常もちょっとしたミステリーへと変えてしまう。
謎解きに奔走する歩鳥の真剣さと、いつもどおりの平凡な町とのテンションさが面白い。
 
そして、ミステリー仕立ての話にはしっかりとオチが用意されているところが粋である。
 
 
歩鳥の推理は的外れなことも多いが、物語そのものは様々な事象が結末へと華麗に繋がっていたりする。
その緻密さに読者はアハ体験的な刺激を受けるのだ。
 
 

時系列に隠された謎

 
この作品は完結16巻であるが、その全巻を通して1つのトリックが仕込まれている。
なんと巻数どおりに時間が経過している訳ではなく、各話ごとに時系列がバラバラになっているのだ。
 
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だから、この話の次が過去に遡っていたり、だいぶ先のことだったりする。
そしてその正確な順番を我々読者は推測するほかない。
各話ごとの作り込まれた展開もさることながら、この全巻を通して仕込まれた壮大なミステリーには胸が踊る。
多くのファンが時系列を推理して楽しんでおり、漫画の新しい楽しみ方を提案されているような斬新な作品である。
 
 

漫画『それでも町は廻っている』まとめ

 
この作品の魅力をあげれば上記以外にも枚挙に暇がないが、その魅力の全ての根底には「緻密さ」がある。
1つ1つの話が練り上げられたストーリー性を持っており、また全体を通しても謎解きを用意してくれている。
 
「緻密」に作り込んでいなければ到底成し得ない芸当である。
この計算された物語に知的好奇心をくすぐられる喜びを、ぜひ体験してみて頂きたい。
 

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